ゼロから「1」を生み出す仕事術

天才画家として知られるパブロ・ピカソはたった一枚の絵を描くために、同じモチーフの絵を何十枚も描いていたという。

ピカソといえども一つの作品を生み出すのは容易なことではなく、普通の人と同じように努力が必要だったのだ。

けれども、私たちはいくら努力をしたところでピカソのように「天才」の域まで達することはできない。

それどころか、努力してもいっこうに創造的になれないことが多い。

「努力」は偉大な仕事を成し遂げるために必要なものであっても、「創造性」を生み出すものではないのだ。

ピカソから学ぶこと

では私たちはこのエピソードから何を学ぶべきだろうか。

その答えは彼が一つの作品を生み出すまでの「過程」そのものに隠されている。

彼は全く同じモチーフの絵を常に「0」の状態から描き始めた。

これは言い換えれば、彼が昨日生み出した作品を「仕上げよう」としなかったということでもある。

おそらく彼は「MAX 1(マックス・ワン)」(最も創造的になれる状態)のときに、最も創造性の高い仕事をしようと心がけていたに違いない。

彼にとって創造性の高い仕事とは、昨日生み出した作品を「仕上げよう」とすることではなく、常に新しいものを生み出すことだったのだ。

普通の人が犯しやすいミス

私たちが最も犯しやすいミスは、「MAX 1」の状態にもかかわらず、高い創造性を必要とする仕事に取り組まないことである。

私たちは一つの作品を仕上げようとするあまり、昨日の作業の続きをしてしまう。すでに生み出された「1」を「10」や「100」にまで伸ばそうとしてしまうのだ。

そのため、一つの作品にかかりきりになり、他の作品を生み出すのはその後になってしまう。だが、本当に創造的な人というのは、決して一つの作品にかかりきりにならない。

何か新しい作品を生み出した翌日には、全く異なる作品にとりかかる。そして、その翌日にはさらに新しい作品を生み出している。

これは「MAX 1」の状態に常に創造性の高い作業を優先して行うためだろう。そこでは何かの「続き」ではなく、全く初めてのことへの「チャレンジ」が常に優先されている。

「完成」よりも「チャレンジ」を優先する

全く何もない状態から何かを生み出そうとすることは非常に大きなリスクを伴う行為である。下手をしたら何も生み出さずにその日一日が終わってしまう可能性も十分にあるだろう。

だが、「何もない」という状態は、創作者にとっては非常にスリリングで同時にエキサイティングな行為でもある。そこで作り上げるものは創作者自身も知り得ない「何か」であり、この先どうなるかすら分からない「未知」との遭遇になる。

分かりやすくいえば、本当に創造的な人というのは、毎日、何が待っているか分からないブラックボックスの中へ飛び込んでいるということになるだろう。

彼らは決してリスクを恐れず、それどころからリスクそのものを楽しんでいるのだ。時として通常の人から見て芸術家が非常に生き生きと見えるのはそのためである。

彼らはたとえ年齢を重ねていったとしても常にチャレンジを試みる。そして新しい何かを求めて続けていく。

「型」を超越して創造する

一般の人が犯しがちなミスをもう一つ紹介しておこう。それは何かうまくいった「成功体験」があったとき、それを手本として「型」を作ってしまうことにある。

「型」は本来、次の成功を導くためのきっかけになるものだが、「創造的な仕事」をするうえではかえって邪魔なものになる。

なぜなら、それを持つことによって人は何か新しいものを生み出そうと「チャレンジ」することをためらうようになるからである。

失敗を恐れるあまり、過去にうまくいったことを何度も何度も繰り返そうとする人は、いつの間にかワンパターンに陥り、創造性を発揮できなくなる。

本当に創造的な人は「チャレンジ」することを決して恐れない。過去にうまくいったことでも他の方法でもっとうまくいく方法がないか模索する。彼らにとって「成功」とは「型」(パターン)ではなく、乗り越えるべき過去なのだ。

「MAX2」・「MAX3」ですべきこと

すでに述べたように「MAX 1」ではどんどん未完の作品が生み出されることになる。

そうなれば、例えば小説の場合、章の途中でストップしてしまったもの、あるいはすべて書き終えて校正を待つだけのものなど未完成の作品がいくつか溜まることになる。

その場合、それぞれの作業にどれくらい創造性が必要とされるかを考えて優先順位を決めた方がいいだろう。

例えば、今日一日で「書きかけの小説の続きを書く」ことと、「前章の校正」という二つの仕事があったとしよう。

二つの仕事を「創造性」がどれだけ必要とされるかを考えて優先順位を決めると、「MAX2」では書きかけの小説の続きを書き、「MAX3」では前章の校正にあてた方がいいことがわかる。

このように創造性の高さに応じて仕事を割り振ることで、高い成果を生み出すことができる。

<次回予告>

ここまでは製作過程に関することを中心に書いてきた。次回はここまでの内容をふまえたうえで、製作する前の段階、すなわちアウトプットするための準備について説明していく。





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