40歳を過ぎたおじさんがマジで恋愛コラムを書いたらどうなるか

クラウドソーシングの潜入調査を始めてから、一つ困っていることがある。

それは連日のようにしつこく恋愛コラムの依頼が送られてくることだ。最初は完全に無視していたが、一定の間隔で同様の依頼が何度も送られてくる。

おそらくクライアント側は、プロフィールなど一切見ずに、評価の高いライターに向けてリクエストを一斉に送信しているのだろう。

そして、その中の何人から連絡や応募があればいいと思っているに違いない。

だが、私はもう40歳を過ぎた立派なおじさん。

そんなおじさんが書いたコラムなど一体誰が読みたいと思うのだろうか。あまりの無能さに思わず頭を抱えたくなってしまう。どんなにシステムが良くても、それを使う人間が無能なら何の役にも立たない。

・・・・・・しかし、決して「書けない」わけではない。

恋愛コラムだろうが、不倫コラムだろうが書こうと思えば何でも書ける自信はある。

それに、一度書いたものをクライアントに見せた方が、その「ひどさ」がはっきりと伝わり、もう二度と依頼してこなくなるかもしれない。

そう思い直して、本気で恋愛コラムを書いてみることにした。


恋愛コラムの依頼書を徹底チェック!

以下は先日私のもとに届いた恋愛コラムの依頼書の抜粋である。

(以下、引用)

ブログ用に記事コンテンツを作りたいと考えており、ライターの方を募集しています。

○目的・概要:

・恋愛に関するコラムのリライト記事の執筆です。

・(例)「彼氏の名前の呼び方のパターンは?」「告白の上手な断り方5選」など

ご自身の体験だけではなく、ネットの情報を調査していただいても問題ありません。

恋愛経験豊富な方から、そうでもない方まで、幅広くお待ちしております!

(引用はここまで)

依頼された記事数は10 記事で、文字数は(1記事あたり) 800 文字 〜 2000 文字。予算は3,000円となっている。

あいかわらず、低賃金の労働を強いてくる悪質クライアントの臭いがプンプンするが、今回は恋愛コラムを書くことが目的なので、とりあえず放っておこう。

参考にしたい記事としては、以下のサイトが紹介されていた。

http://slism.net/love/how-to-fawn.html

http://za-sh.com/confession-woman-sign-3476.html

「恋愛コラム」というと長い文章をイメージしてしまうが、上記の参考サイトを見てみると、決して長文ではない。

大きなメインテーマがあり、それについていくつかの項目に分けて説明されている。

最初に書くのは短めのリード文で、最後にまとめの文。

中心となる各項目の書き方の細かい指定はなく、とにかく伝えたいことがはっきり伝わるようにポイントをしぼって書くようにする。

内容的には、ありふれた内容を避け、読者が気づきにくい点を意識して書くようにする。また、使用する言葉は極めて平易で分かりやすいものを使う。

もちろん、アドバイスの内容は誰でも実行可能なものでなければならない。容姿に関わることなど、NGになりそうなことは書かないようにする。

と、まあ、そんなところだろうか。

実際にはクライアントからマニュアルのようなものをいただき、それに沿って書くことになる。

また、文中にSEO対策のキーワードを入れるように指示されることが多いが、今回は恋愛コラムを書くことが目的なので省略する。

それでは実際に書いた恋愛コラムを紹介しよう。

まず、タイトル。

知らなきゃ絶対ソン!

40歳以上のダンディな男性のハートをわしづかみにする5つの方法

(リード文)

40歳以上のダンディな男性はとても落ち着きがあり、温かな包容力に満ち溢れているもの。

最初は興味のなかった人でも、長くいっしょにいることで、知らず知らず心を奪われてしまう女性が多いようです。

そこで今回は40歳以上のダンディな男性のハートをぎゅっとつかむ方法をご紹介!

相手に自分の存在をさりげなくアピールする方法をぜひ身につけてみてください。

1.ロマンを語らせる

男性はどんなに歳をとってもロマンティストなもの。そして自分のロマンを聞いてくれる女性を追い求めています。

もしもあなたが、彼と二人きりになる機会があったら、これまでずっと胸に秘めている夢を聞き出して、その話にじっと耳を傾けましょう。

彼の話を真剣に聞けば聞くほど、彼はあなたに興味を抱くようになります。

<要注意! こんな女性は嫌われる!>

現代では女性でも自分の考えをしっかり持つことが期待されています。たしかに他人に流されず、自分の意見をしっかり話せることは大切なことでしょう。

しかし、彼の話をロクに聞こうともせず、一方的に自分の考えを押し付けようとする女性はかえって嫌われます。自分の考えを述べるのは、彼が十分に話し終えた後にしましょう。

2.お魚をきれいに食べる

40歳を越えた男性はお肉よりもお魚を好む傾向があります。そのため、食事の際にいっしょに焼き魚を食べる機会も増えてきます。

その際はできるだけ焼き魚をきれいに食べるようにしましょう。いっしょに食事をするパートナーがきれいにお魚を食べているのをみた男性は、再びあなたを食事に誘い出したくなります。

<要注意! こんな女性は嫌われる!>

彼がいっっしょにお魚を食べたがっているのに、強引にお肉を注文するのはやめましょう。特にダンディな男性は、ガツガツお肉を食べる肉食系の女性を敬遠しがちです。間違っても、「食欲旺盛で健康的な女性方がモテる」などという勘違いをしないようにしましょう。

3.アナログが好き

ダンディな男性の愛用品はすべてアナログ。本当はスマホも持ちたくありませんが、仕事のために仕方なく使っている人が多いようです。そんなダンディ男性にはとにかくデジタルでのコミュニケーションは禁物。できるだけ直接会ってお話するか、手書きでメッセージを書いて送るようにしましょう。

<要注意! こんな女性は嫌われる!>

新しいスマホを買ったからと言って、しょちゅういじってばかりいるのはやめましょう。また、LINEやTwittterなどでしつこくメッセージを送るのも禁物。あなたがSNSなどでコンタクトしようとすればするほど男性はあなたに魅力を感じなくなります。

4.ふだんは人には見せない子供っぽい一面を見せる

男性は40歳を越えると自然に「保護者」としての意識が芽生えてきます。未熟でか弱いものを見つけると、なんとか「守ってあげたい」と思ってしまうのです。あなたが彼に、子供っぽい一面をほんの少し見せれば、男性はあなたのことを守ってあげたくて仕方がなくなります。

<要注意! こんな女性は嫌われる!>

子供っぽい一面を見せようとして自分の欲しいものをむやみやたらに買ってほしいとせがむ行為は厳禁です。40歳以上の男性は警戒心が強いので、そんなことをすれば「自分を騙そうとしているな」と疑うようになってしまいます。欲しいものがあった場合は、一つだけに絞り、あくまでもさりげなく相手に伝えるようにしましょう。

5.さりげなく自分をアピールする

40歳以上の男性は、観察力が高く、相手の視線や表情から気持ちを読み取ることができます。そのため、あなたがさりげなく見つめたり、会話しようとしたりしていることにも気づいてくれます。無理に自分の気持ちを伝えようとせずに、いっしょに長く過ごすことを心がけましょう。

<要注意! こんな女性は嫌われる!>

自分の気持ちを伝えようとあせるあまり、強引に彼を飲みに誘うのはやめましょう。あなたがしつこく迫れば迫るほど相手の気持ちは逃げていくものです。追いかけるよりも相手と心地いい関係を築くように努力しましょう。彼の家へ押しかけるのは言うまでもなく厳禁です。

(まとめの文)

40歳以上の男性は落ち着いているように見えても、新しい出会いを望んでいるものです。5つの方法で効果的にアピールすれば、きっとあなたの存在に気づいてくれることでしょう。ただし、相手が既婚者の場合はあきらめしょう。不倫はトラブルの始まりです。あくまでも片思いで終わらした方がいい恋もあります。

最後に

いかがだったろうか。40歳以上のおじさんが恋愛コラムを書くと、このようにロクでもないことになることが分かっていただけたと思う。うちに恋愛コラムの依頼をしつこく送ってくるクライアントはどうかこれを見てあきらめてもらいたい。

ところで、恋愛コラムというのは、予想以上にすらすら書けるもので少しびっくりした。恋愛コラムはあくまで主観的なものなので情報収集にかける手間が少なくて済むのがいい。だが、これを10本書くというのはかなり骨が折れる。おまけに報酬はたったの3千円(※実際はそれ以下になることが多い)。この労力とかけた時間のことを考えれば、最低でも5千円。いや、8千円以上もらわなければ割に合わない。

よほどの恋愛マニア恋愛オタクでなければ引き受ける必要はないだろう。

それにしても、「恋愛コラム」って意外に面白い。40歳以上のおじさんでも思わずハマってしまいそうになる。

もう二度と恋愛コラムは書くことはないけれど。

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