アイドル刺傷事件について考える

現役の女性アイドルが刺傷された事件が盛んに報じられる中、歌手や声優として活動する優月心菜さんの発言が注目を集めている。 

「アイドルは、あなただけのものじゃない」 刺傷事件を受けたアイドルの投稿に反響 

葉月さんはツイッターで「病んで女の子に嫌がらせを始めてる自分が居たらもう残念ながら、あなたはファンではないです。」などと訴えかけ、一部は4000件以上リツイートされるなど反響があったという。

 そんな葉月さんのツイートの中で、最も考えさせされるのが以下のツイート。

 憤りしかありません。 ファンはアイドルをアイドルとして見て、アイドルとして扱うのが大事です。1人の女の子、女性としてみてはいけないと思う。 
書き方が悪るかったかもだから、一つ補足すると、 職業、アイドルだけど女性としてみるのは、当然。人間扱いするのも当然。心があるから。1人の女性として女の子としてというのは、恋愛対象として、って意味です。 

たとえアイドルであっても一人の人間として接するのは当然であり、アイドルに対しても節度ある関係であるように努めるのはファンとしての義務である。 

そうした意味で、富田さんの訴えは至極まっとうな意見として受け取れる。 


ファンが納得するか疑問

しかしながら、「アイドル」という職業がファンの好意を土台にして成り立っていることも事実である。 

ファンの中には自然とアイドルに恋愛感情を抱いてしまうファンも多く、それをどこで線引きするかという問題も生じてくる。


アイドルとの距離感

 昭和期のアイドルとは違い、現代のアイドルはファンとの距離が異常に近い。 

ひとたびイベント会場に向かえば、憧れのアイドルが手を伸ばせば届くような場所に立っている。

そして、ファンは遠くの手の届かない存在よりも、自分が手をのばせば届くようなアイドルを好む。

それはつまり、恋愛対象にできるアイドルを選んでいるということではないだろうか。


大衆化したアイドルとファンの心理

現代のアイドルは以前では考えられないほど大衆化している。それによってファンとの距離感が急速に縮まり、従来のファンとの関係を狂わせている。

優月心菜さんは事件後、ファンに節度ある関係を呼びかけ続けているが、果たしてどれだけのファンが自分の恋愛感情を理性的に抑えることができるのだろうか。

ファンに好意を求めながら、恋愛感情は抱いてはならないというアイドル側の要求に対して、ファンが本当に納得するかどうか疑問が残る。


犯人の異常な心理

事件を起こした岩埼容疑者はどのような人なのだろうか?

岩埼容疑者の兄(34)によると、同容疑者は小学校から柔道が得意でスポーツ推薦で地元の高校に進学したが、人間関係のトラブルなどからすぐに退学。

その後は、いくつかアルバイトを経験したが、数年前に「庭師になりたい」と京都へ出たという。 

その後、岩崎容疑者がどのように暮らしていたかは定かではないが、荒んだ生活をしていたことは彼のブログからもうかがえる。 

2016-05-17 01:49:41 の投稿 
冷めやすい。醒めやすい。 夢も希望もない。 惰性で、仕方なく、していたようなもんだけど、もうそれすらあきらめました。 頑張れないよねー 自分が楽しければ、それでいいのなら、いくらでも頑張れるんだけど、それじゃダメな仕事で社会に属しちまってる。 頑張るって、我慢するってこと。 忍耐力ないなー 厭なことからは逃げたいよ 全部失っても逃げたいよ どうでもいい人生 クソったれな人生 惨めなだけの人生 もう怒りでしか動けそうにない 


彼の書いたテキストからは、「将来に対する絶望感」と「報われない人生に対する怒り」がひしひしと伝わってくる。 

毎日まじめに働いても、この先に何もいいことなんて起こりえない。 たいしたいい暮らしができるわけでもなければ、理想に近い恋人を手に入れることもできない。 

仮に希望を持って何かに取り組んだとしても、それはやがて幻のように消え去って、ただの夢だったことに気づかされる。 

途方もなく深い失望感。閉じ込めきれない激しい怒り。 彼の精神はいびつにねじ曲がって奇怪なまでに変容していく。


上のブログは事件が4日前に書かれたものであるが、すでに彼の精神は異常なほどに病んでいたとみるべきだろう。


何が「ストーカー病」を生み出しているのか

岩埼容疑者は最初富田さんに好意的なメッセージを送っていたが、プレゼントを返送されたことをきっかけに嫌がらせのメッセージを送るようになった。

 精神科医・福井裕輝によると、こうした行動は「ストーカー病」特有のもので、拒絶する相手に執念深く嫌がらせを行い、相手が苦しむ姿を見て自分の心の痛みを和らげている状態だという。


「ストーカー病」というのはあまり聞き慣れない言葉であるが、福井氏によれば、それはたんなる嫌がらせなどではなく、誰でもが加害者、被害者になりうる「病理」であるという。


もちろん、「ストーカー病」という病気が正式に認められているわけではない。

正式な統計資料もないので、福井氏の主張が正しいかどうか今後検証していく必要があるだろう。

だが、しかし、現代の社会が「ストーカー病」という特異な現象を生み出したことは事実である。

この現象は社会の負の一面であり、歪んだ精神を生み出す根源になっている。


今回の事件を通して私たちが最も考えなければならないのは、まさにそうした社会全体の問題である。

犯人を生み出した背後にあるもの、人々が気がついていないところで人の心を歪ませている根源になっているものは何か。

痛ましい事件が二度と起こらないために、私たちは自らに問いかけ続ける必要がある。






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