まわり道のつづき。
右手の中指に影が落ちて、ばっと手を引いた。虫のようなものが落ちてきたと思ったが、それはただの、影で。私は何に怯えているのか。
今回のまわり道。
私たちは何のために、
まわり道をするのだろうか。
前回のまわり道は、学生の、モラトリアムの、最後の、まわり道。社会人になる前の、足掻きのようなそんなまわり道。
私たちは、それなりに、
自分のお金で生活ができるようになった。
社会的に属するものも(一時的にしろ)、ある。まわり道の先に。
でもなんだろう。
まだ、まだまだまわり道をしている。
本当に行きたいところってどこだっけ?
この道でよかったんだっけ?
脱線しないようにそれなりのルートが引かれているようだ。
この大通りを横断したいのに、そのためには、あの、ガードレールの果てにある、あの歩道橋まで、いかなくちゃいけない、ということになっている。歩道のすぐ横を車がびゅんびゅんと走っている。
私たちは、まだ道の途中なのに、この歩道をたどって進んでいる限りは、車に轢かれることはない、ということになっている。(車が脱線して突っ込んでくることも、あるというのに)
ささやかなこの命を、
なんのために燃やそうというのだろう。
私たちは、まだ道の途中なのに。
信じられるものってなんだっけ。
信じたいものってなんだっけ。
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