0910/やりたいことをやればいい

【得るは捨つるにあり】
といふ言葉に縛られていた時期があった。何かを求める時には、何かを捨てなくてはいけない、と、そんな風に思っていた。就活生のわたしにはやりたい(と思い込める)仕事があって、そこに向かっていた。

でも。結局ふられちゃって、よかった、ような気もする。結局のところ私は何も捨てる覚悟ができてなかった。そして、「大切な人を大切にできる」人でありたかった。

私はあの時、結果的に、何かを「捨てた」のだろうか?それは、わからない。まだ諦めていないつもりである。「つもり」がつもりつもって、ただの塵になってやしないだろうか。それだって、まだわからない。

………
夫に「やりたい仕事」ができるチャンスがこのタイミングでやってきている。もしかしたら、そっちの部署に移動する話になるかもしれない、とのことだ。
いい話なのに、何かそわそわしているようで、私に「大丈夫かな」と合意を求める。

「心を決めなくては」
という目が不安と静かな興奮で潤んでいる。

その「やりたい仕事」は、いまより更に忙しくなるってことは、知ってる。なんなら3ヶ月全く帰ってこれなくて、1ヶ月は休める、みたいな、遠洋漁業のような生活になる。

子供が生まれたばかりの不安定な状態の時に、それで大丈夫なのだろうか、なんでこのタイミングで…と、すこしでも躊躇ってくれているその気持ちはうれしい。家庭と仕事となんとか両立したいと思ってくれている、それだけで、うれしい。

だけど
「やりたいことをやればいいよ」
いろんな不安を飲み込んで、私は言う。

そう言い続けるために、一緒になったのだ。

……

【得るは捨つるにあり】というけれど、私は何も捨てられない女だ。だって全部欲しい、と思ってしまう。それは強欲だろうか。

私たちは家族になった訳で。
だから、夫の「やりたいこと」は私にとっても「やりたいこと」になり得るはずで。一緒に「やりたいことをやればいい」と思う。できることを、分担しあえばいい。不安は、別の解消方法だってあるはずだと探りながら。(あゝこの辺はちょっと無理矢理言い聞かせてるな…と、思う、けれども、そうでありたい)

一緒に生きていきたい。

帰って来る場所があるから遠洋漁業にだって出られるだろう。「遠洋漁業の妻モード」開拓をしよう。さみしさの埋め方を工夫しよう。頼れる人に、頼ればいいのだ。


そう思いながらも、不安ではある。
でもほら【一石二鳥】って言葉もあるし。
なんて自分を誤魔化すのであった。

やりたいことをやる覚悟。

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