"The Prodigal Tongue" Lynne Murphy(Penguin Press)

 根っこでは友好関係にあるのに、イギリス英語とアメリカ英語の形式がいかなる経緯で敵対して見えるようになったのか、本書では皮肉たっぷりのユーモアと学術的な見識を交えて語られている。
 それには歴史が一役買っている。1776年以後、「純正英語(King's English)を拒絶することは、王を拒絶するべつの方法だった」。しかし、保守派の努力——イギリスの言語学者には古英語に戻すことを主張をする者もいた——や、ノア・ウェブスター[訳注:アメリカの辞書編纂者]のような綴りを近代化する奮闘にもかかわらず、古い語彙も私たちの共有財産として残されている。
 言語学者である作者は、綴り、文法、用法を細部まで楽しんでおり、私たちの暮らし、つまり変わりつつある言語を愛しているのが伝わってくる。コミュニケーションをとる際、と彼女は書く。「私たちはロボットではなく、詩人なのです」。

The NewYorker [June 18, 2018]

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