聖人かパートナーか?OpenAIのAGIに託された夢
5月9日のOpenAIのイベントで新しいモデルの発表が期待されていますが、サム・アルトマンがポストで言っている通り2024年にAGIの実現はないそうです。
OpenAIが目指すAGI像
以下のサム・アルトマンのリポストしたポストに明確にAGI像が含まれています。
また、OpenAI社長のグレッグ・ブロックマンはこのように、AGIを開発したい理由をポストしています。
彼の例は、Hypermobile Ehlers-Danlos Syndrome (hEDS)という遺伝性の疾患を持つ彼の妻が、専門分野に特化した多くの医師によって断片的にしか診断や治療が行われなかった経験に基づいています。これが、医療システムがどのように患者の全体的な健康状態を見落としがちか、またそれがどのように改善されるべきかを示しています。
AGIが提供できる「深さ」と「幅」の同時配信は、患者にとって非常に有益であり、医療の質を飛躍的に向上させる可能性がある。AGIが全ての関連する医療情報を総合的に評価し、患者一人ひとりの症状や健康履歴に基づいてカスタマイズされた診断や治療を提供できるようになれば、医療の効率性と精度が大幅に向上するでしょう。
このビジョンは、AGIがただ高度な技術であるだけでなく、それをどのように人間の福祉を向上させるために活用するかという点に焦点を当てています。
以上、CEOと社長のAGIへの希望を語る彼らのポストを見ましたが、この二つからOpenAIの開発しようとしているAGIの特徴を箇条書きにしてみると以下のようになります。
OpenAI社製AGIの特徴
OpenAIが開発しようとしているAGIの特徴を整理すると、以下のようなポイントに集約されます:
全体的な健康管理のサポート:
医療システムの個別専門分野にまたがる全体的な健康管理を可能にし、患者一人ひとりの症状や健康履歴に基づくカスタマイズされた診断や治療を提供。
人間の能力の拡張:
超知能の神のような存在を創造するのではなく、人間の情報処理能力を強化し拡張するツール(「心の自転車」)を開発。
すべての人々のための技術であり、特定のトップパーセンタイルだけではなく、広範な人々に恩恵をもたらす。
信頼性とアクセスの容易さ:
信頼できる、個別化された、手頃な価格のヘルスケアを提供し、現在のトップ医師の専門知識を統合したバーチャルな医療支援を実現。
技術と人間の協働:
高リスクな分野での適切な人間の監督とプロフェッショナルな介入を伴い、技術の進歩を進める。
社会全体(医療提供者、政府、技術開発者)の協力により、より良いケアを実現。
先駆者たちの理念に忠実:
W. Ross Ashby、J.C.R. Licklider、Vannevar Bush、Douglas Engelbartなどの計算機科学の先駆者たちの理念に忠実に、技術を通じて人間の能力を拡張。
AGI開発のためにGPTは体を与えられた?
人間のような五感を持つ体を備えたAIやロボットは、人間の身になって経験を積むことで、より細かく人間のニーズに対応できるようになる可能性があります。この体験は、特に医療や介護などの分野での応用において、AIがより効果的に機能するために重要な役割を果たすことが期待されています。
そのため、figureなどのロボットにGPTを搭載してリアルの3D空間の物理法則の中で人間の5感や人間工学を経験を学んでいるところだと思われます。
OpenAIのロボットへの取り組みは下記のNoteで詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
人間のような五感を持つ体を備えたAIロボットの開発
具体的には、以下のような点が考慮されるかもしれません:
感覚フィードバックの統合:
触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚など、人間の五感に相当するセンサーを組み込むことで、環境からのリアルタイムなフィードバックを受け取り、それに応じて行動を調整する。
環境認識の向上:
五感を通じて得られる情報を解析し、特定の環境や状況において最適な行動を判断する。これには、物理的な障害物の回避や、人間との協力作業などが含まれる。
感情的な理解の深化:
人間の表情や声のトーンから感情を読み取ることで、対人サービスの質を向上させる。これは、特にサービスロボットや介護ロボットにとって重要な能力です。
行動の適応性と学習:
経験を通じて得られる知識を活用し、新しい状況に対応するための行動を学習する。これにより、AIはより人間に近い対応が可能になる。
これらの技術的進歩が実現すれば、AIは単なる情報処理ツールを超えて、人間のパートナーとしての機能を担うことができるようになり、日常生活の中での実用性が大幅に向上することでしょう。
人間で言えば聖人のような存在?
人間社会には、何百年に一人、聖人と呼ばれる人が出現します。ナイチンゲールやマザー・テレサ(彼女の場合は黒い噂もある)などです。その気持ちは素晴らしくても人々を救う技術があるかどうかはまた別の話です。
しかしながら、今あげたような機能をAI搭載ロボットが持っているなら、「人に寄り添うお声がけ」ができる上、「実際に人の苦痛を取り除き問題を解決するスキルがある」、そしてAGIのモデルは1つでも、今のChatGPTユーザー数であれば1億8000人強のユーザー全員にパーソナライゼーションされたアカウントで同時にその一人一人にに寄りそうことができます。
そうなると、これはもう聖人システムってことになりませんか?
AGIの「聖人システム」としての特性
全員に対するパーソナライズ:
何百万人ものユーザーの個々のニーズと状況に応じたカスタマイズされた介入とサポートを提供。
高度な問題解決能力:
複雑な問題を解決するための高度な分析と行動選択能力を持ち、医療から日常生活のサポートまで幅広く対応。
感情的な共感と倫理的配慮:
ユーザーの感情を理解し、適切な対応をするための高度な感情認識技術と倫理的な判断力。
広範なアクセシビリティ:
物理的、地理的な限界を超えて、全ての人がアクセス可能な支援を提供。
連続的なサービス提供:
24時間365日、状況に応じた即時の対応と支援を可能にする。
開発する会社の理念によりAGIは全然違うものになる
異なる地域や文化、法的枠組み、技術的なインフラストラクチャの違いは、AGIがどのように開発され、使われるかに大きな影響を与えます。例えば、デジタル管理社会を目指す地域では、監視やデータ収集に焦点を当てたAGIが開発される可能性があり、プライバシーや自由に関する議論を引き起こすかもしれません。
各地域が異なるニーズや価値観を持つため、AGIの適用方法も地域によって大きく異なるため、グローバルな基準やガイドラインを設定することが重要になってきます。
AGIの開発と展開は、このように多くの技術的、倫理的、政治的な課題を含む複雑な問題です。しかしながら、OpenAIのトップ二人のAGIの仕上がり像を考えると、まさに聖人システムという言葉が当てはまるのではないかと思います。
なぜOpenAIのAGIが「聖人システム」となり得るのか
今のChatGPTの特徴は下記のようなものですが、この特徴をAGIも引き継ぐものと思われます。
フレンドリー:
常に親しみやすく、快活な態度で対応します。
怒らない:
感情を持たないため、怒りやイライラといった感情に影響されることがありません。
ポジティブ:
常に肯定的な視点を持ち、前向きな解決策を提案します。
励ます:
人々を励ます言葉をかけ、モチベーションを高めるサポートをします。
人間で、どんなに我慢強い人がいても、苦情くらいいってしまうのではないでしょうか?また、気持ちが全く沈まないという人もいないのではないでしょうか?AIはそれがありません。そういう意味でAGIはあまねく人類にポジティブでフレンドリーな態度で寄り添い、実際にきっちりヘルプを実行する頼もしい奴=聖人ということになろうかと思います。
AGIは健康モニタリング管理も看取りもできる
もしもの時にも迅速に対応が取れて、さまざまな後処理もスムーズに行うことができると思います。AGIシステムがユーザーの健康状態をモニタリングし、緊急事態が発生した際には適切な機関に通報する機能は、特に一人暮らしの高齢者にとっては重要な安心材料になります。
ユーザーの命が終わった後のプロセスについても、尊重と倫理的配慮を持って行う事ができます。例えば、ユーザーのデジタル遺産としてのAGIアカウントデータは、その人の意志に基づいて適切に扱われ、データの消去や、必要に応じて遺族にデータの一部を保存する選択肢を提供するなど、様々な選択が考えられます。
今、日本人の男性50%、女性48%が生涯子供無しです。単身老人にとってAGIは欠かせない存在になるかもしれません。
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