47日間の留置所生活。

さて、父は47日間留置所(32日間は拘置所)で生活をした。朝から夜までご飯を食べる以外に取り調べがずっと続いた日もあったそうだ。時には夜食べ終わった後も。

7月7日に父は接見禁止となった。接見禁止となった日から、約79日の間、私たち家族を含め会うことは許されなかった。父が会うことを許されていたのは当時担当していた弁護士さんのみだった。(この弁護士さんは基本民事しか担当したことがなかったので刑事事件には不慣れだった。最初の裁判が終わって父が保釈されたあとに解任となった)

父と直接会って話すことが出来なかったため、毎回弁護士さんに頼み言付けしてもらったり、父の様子を見てもらったり・・・そこでしか父が元気なのかどんな様子なのかを知ることが出来なかった。

この当時の父の日記を見ると、

接見禁止なので、弁護士さんが来てくれると安心する。

とあった。相当不安で心細かったんだろうなと感じた。そりゃそうだよね。誰とも会って話すことができないんだもの。私だったら発狂してしまう。

取り調べは基本毎日。多い日で朝から夜まで。こうした取り調べは・・

朝9時30~11時30、午後13時~16時、夜18時30~20時30

こんな調子で行われていた。そして、父の日記を読み返してみると、取り調べの際ほぼ毎回のように談合はしていない!と書かれているのが目に留まる。そして、最後まで警察官調書に父は押印しなかった。その強さはどこからきてるんだろうと感心する。

起訴される少し前にこんなやり取りを父が記録している。(7/21日記)

刑事が諭すような話し方で、

「裁判所が父を談合罪と認め逮捕したのだから罪を認めなくても処分される。だから早めに認めたほうが25日にここから出られるかもしれない。もし裁判になればしばらく家族に会うことはできない。だから早く罪を認めたほうがいい。もし認めない場合は、今年度落札した工事全て調べ、長くなりそうなので、どうしても認めたほうが父にとって得だ」

と何度も話したそうだ。

この時父は、(この両刑事が話していることは脅しだと思った)

と日記に残している。

7/20と21の2日間父は刑事から上記のように早く認めろとかなり強く言われていたようだ。ここの日記からもかなりの心労がうかがえる。5/27から同じことを何度も何度も聞かれ、そのたびに父はきちんと答える。何度も聞くことで何か穴を探していたのではないだろうか。(どちらの時も父は納得がいかずに押印はしていない)

7/22の検察庁での調書は検事が7/20に作成した調書を破棄し新しく作り直してくれたそうだ。この新しい調書には父がきちんと説明したことを記載してくれ、納得がいったからここで初めて押印をした。この7/22に検察庁へ向かう前の警察署の入り口で取り調べで散々認めろと言っていた刑事2人がニヤニヤと父を見ていたそうだ。

(取り調べ担当の刑事2人がニヤニヤしていたので忘れない)

と日記には記載されていた。

7/24検事より呼び出され父はここで起訴される旨を伝えられた。

そして7/25、起訴された。

父の日記は7/5以前の5/27から書かれている。

父が逮捕されてから、日記の中で多く目にするのは

家族の心配と会社の経営や、社員への心配だ。

自分のことで精いっぱいなはずなに日記にはこのような文がたくさん書かれている。

(自分の家族へ心配しないように伝えてほしい)

(新社長と部長が役所へ挨拶に行くが耐えられるか心配になる。自分の責任でこんなことになり申し訳なく思う)

(自分の妹、新社長、部長に頑張るように伝えてほしい)

(妻はその後調子はどうなのか)

このような言葉が多くみられ、私は父を改めてすごい人だと感じた。自分がつらい立場なのにここまで心配したり、応援したり、精神面の強さに驚愕である。

また、父は留置所にいる際こんなつらいことも綴っている。

エアコンの調子が悪く、ずっと室温が24-25℃で寒い。その年の夏はかなり暑く、外の気温は毎日34℃を超えるような夏の時期だった。寒いと担当に伝えたら、エアコンが壊れていて調整が出来ないとのこと。もし寒ければ着込んでくれとの指示。

上も下も、靴下も2枚づつ着ていたようだ。そんな環境で父は風邪をひいて薬を何度か飲んでいたようだ。

日記を読み返すだけで私はつらい。あの時の事を思い出してしまう。母は睡眠障害を起こし、少しの間近所を歩くのもつらかったため、犬の散歩を早朝行ったり、夜遅くに行ったり、近所の人が犬を連れだしてくれたりと。

こんな辛い出来事がまさか私たちの家にやってくるなんて思ってもみなかった。起訴までの流れを日記で見ていて、こんなにもドラマで見たことが現実にも起こるのかと落胆し、日本の警察の汚さを知った。

早く家族に会いたいだろとか、孫に会いたいだろ

なんて絶対に言っちゃいけないよ。父はきちんと日記には担当刑事の名前を記している。こうしてひどいことをされた本人は最後まで覚えているんだよ。なんだって同じ。

さて、今回はこの辺までにしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?