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【もしベビ②】ママ友ネットワークとグラノベッター

今回の内容は、ムスメが新生児だったころ(産後1-2か月)の時に考えていたことです。

一人目のこどもだと、産後のお出かけはとっても精神的ハードルが高い。小さな赤ちゃんを連れ出して病気をもらったらどうしよう、出先での授乳やオムツ換えどうしよう、ベビーカーで電車乗ったら迷惑がられないか・・・等々、育児ビギナーの外出を萎えさせる要素はてんこもりなので、結果として引きこもってしまいます。私もそうでした。近所に買い物に行っても「わー小さな赤ちゃん!」と言われるたびに罪悪感を感じたり。今思うと、あれは単なる感想だったのだけど、なんとなく引け目を感じている身としては責められてる気になりました。

でも、私は初めての育児こそベビの1ヶ月検診が終わったらなるべくおでかけをしたほうがいい、そのためにBaby Bjornのベビーキャリア等の気持ちを楽にするツールには投資したほうがいい、と思っています。

私は合理的な方ですが、それでも初めて子どもを連れて電車に乗って出かける、というのはとってもとっても怖かった。出来ればずっとおうちにこもっていたかった。でも、出産前に「1ヶ月検診が終わったらエクササイズをはじめるといい」と聞いていたので、産後2か月目にNPO法人マドレボニータさんのバランスボール・エクササイズのクラスを受講することにしました。で、もちろん初めてのお出かけは超・超緊張なのですが、そんな自分を奮い立たせるためにも「○日にクラスを受けるために出かける」という目標を掲げて、さっさとお金も振り込んでしまいました。そして、ベビーキャリアを購入したり、近所の商業施設のベビールームで外出おむつかえを練習してみたり、夫に付き添ってもらってベビ連れで電車に乗る練習をしたり、その日に向けて心と備品の準備を進めました。目的意識の効果は大きくて、ゴールを設定したらなんだかんだで達成できてしまうものですね。逆に設定していなかったら、ダラダラと言い訳して初外出のタイミングが遅くなっていったと思う。

で、そんな感じで出かけたバランスボール・エクササイズで、たくさんの産後女性・いわゆる「ママ友」と出会いました。そしてこのママ友との出会いが、それ以降の育児を飛躍的に楽にしてくれたんですよね。

学習プロセスにおいては、他者の観察や他者との交流による学習は非常に効果的。特に育児のような形式知化や概念化があまり進んでいない事柄については、他者の観察はとても貴重な学習リソースです。私の場合、ここで第二子の産後女性(つまり育児は1回経験済みの人たち)を観察できたのがすごく役に立ちました。初めての育児がなぜ難しいかというと、閾値が分からないこと、そして分からないがゆえに慎重になりすぎてすごく高いところ(すなわち手をかけすぎてめんどい)、または甘く見すぎてすごく低いところ(後から気づいてももう遅い)に閾値を設定してしまうことだと思っています。でも先輩ママを見ることで、閾値を適切なところに設定することが出来るようになるのです。また第2子の子育てはけっこう適当なのでw、あそこまでは手を抜いていいんだと肩の力が抜けます。で、そうして閾値が設定できるようになった結果、私はとても育児が楽になりました。

また、育児に関しては情報の非対称性がたくさんあります。例えば保育園情報なんてその最たるもので、第1子ママがわりとのんきに構えがちなのに対して、第2子ママは妊娠中から活動を始めてたりします。タイミングを見誤らないためにも、ママ友ネットワークでの情報交換はめちゃめちゃ大事です!

私は早期にお出かけしたために、そういったママ友ネットワークで交わされる有益な情報に早期にアクセスできたけれど、もし引きこもっていたらアクセスできない→学習機会を逃す→育児が大変なまま→さらに引きこもる、というループにはまったと思います。だから、えいやと出かける、しかもなるべく早い時期に、なるべく自分にとって参考になる情報を持っている属性の人に会えるところに、といいんじゃないかと思います。

この現象を見ていて、ネットワーク理論でグラノベッターが提唱した「弱い紐帯の強み(The strength of weak ties)」を思い出しました。これは、情報の伝達において、濃い関係の人(strong ties)よりちょっとした知り合い(weak ties)のほうが価値ある情報をもたらすという理論です。より具体的にいうと、strong tiesの人は自分と持っている情報に重複が多いため、あまり新たな情報をもたらしてくれる存在ではないのに対し、weak tiesの人は情報の冗長性がずっと低いので、新たな情報をもたらしてくれる可能性が高い。だから情報の探索においてはweak tiesのほうが有益だ、というお話です。そして、ママ友ネットワークってweak tiesなんだなと腑に落ちました。

ママ友ってなんかイメージ悪いじゃないですか。うまく付き合わなければ仲間はずれにされる的な。そんな人間関係に私は果たして適応できるのかって不安だったけど、これはweak tiesのネットワークなんだ、その中で気が合う人に出会えたらそれは幸せなことだけど、情報交換が目的の関係性なので別にがんばって全部の人と深い関係(strong ties)になる必要はないんだと思えたら気楽になりましたし、自分が出会うべきママ友がどういう人なのかということも分かり、ママ友作りに積極的になることができました。そしてママ友が増えるのと比例して育児は楽になっていきましたし、深く付き合いたいと思える人にも何人も出会いました。

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