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貴重な体験(前編)

あれは20年くらい前、当時スナックでチーママ(今もそんな呼び方する?)として働いていた。

ママは50代で美人ではあるんだけど、反社との繋がりがとても多くアウトローな人。
お店にはあまり顔出さず、知り合いの雀荘で麻雀ばかり打ってる人だった。

当時、キャストもたくさん抱えていた為、お店は繁盛していた。

キャストの中に「あすか(仮名)」19歳がいた。
もちろん未成年なのでお酒は飲ませていなかったが、とても可愛く性格もいいのでお店でもNO.1の存在だった。

ママは1時間に1回くらい外から店に電話をしてきていた。
「どんな感じ?」と
「新規が○名と、○○さんと~」みたいな感じで報告しているとママは
「新規はどんな感じ?あすかは?」と必ず聞くので、「あすかは新規につけてます」と答えると

「あすかは新規につけないで!そしてあすかはもう早上がりさせて!」と謎に私は怒られていた。

あすかに「ママがもう帰っていいって」って声かけると「わかりました」ってしょぼんとして帰っていた。

ママに「あすかは新規につけたらダメなんですか?」
と何度も確認したけど、いつも曖昧な返事しか返ってこず私も困っていた。

ある日それは突然やってきた。

いつものように営業していると、男女合わせた10人組がお店に入ってきた。
新規か、と「いらっしゃいませ!」と席に案内しようとすると……


「警察だ!表のシャッターを閉めろ!」

?!????!?

手には礼状みたいなのを持っている。

後から考えたらホントにラッキーだったんだけど、まだ早い時間帯でお客さんがゼロだった。

「○○(苗字)あすかはいるか?」

警察から聞かれ、あすかを見ると泣きそうな顔で俯いていた。

警察は店内をカメラでどんどん撮影していく

伝票や名簿等、どんどん押収していく


何が起きているのか把握できない
ママはどうしたのだろうか、電話していいのだろうか

警察があすかに近付く


「○○あすか、お前16歳だな?」


あすか小さく頷く。


うぉおおおおお!
マジか?!お前16歳なの?
ちょっとそれは勘弁して!
え、てかあすかってママの知り合いの娘じゃなかったっけ?!
ええええええ!!!


頭の中、混乱していると警察が

「○○←(ママの本名)は逮捕した、あすかと、他に責任者は?」

一斉にキャストの女の子たちが私を見る。

「え?私?そりゃそーだよな、私も知ってたって思うよな」
混乱する私。

激渋で

「責任者、私です」と名乗る。

警察が私に近寄ってきて
「あなたも署まで来てください」


終わった…
知らなかったとはいえ知らなかったで済む話なんだろうか…

「わかりました」と言い裏で私服に着替えようとすると女性警官が私を見張りについてきた。
何も証拠持ってないし、逃げもしないよ。
着替える様子をずっと監視している女性警官に無性に腹が立った。

そうして、あすかと私は別々のパトカーで警察署に連れて行かれた。

ドラマでよく見る景色。
両脇に警官。

家に帰れるのだろうか、飼っているネコを友人に頼みたい。
とても携帯を触れる状況にない。
後で聞こう。

絶望的な気持ちで警察署に向かう。
サイレンの音にも無性に腹が立っていた。

長いので後編は後日書きます。

アデュー。

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