タラレバ娘

齋藤さんってきっと「タラレバ女」好きですよねと言われることがあって、実際に「わーすごいおもしろいな」と思って読んでるのですがたまに納得いかないことがある。以下4巻より

そんなの幸せな人いるのかな?!いないよね!?

いつもニコニコ話を聞いてくれていた!!優しくてかわいい彼女が!!実は脳内で!!こんなこと考えてんだとしたら.............!!!!人間不信で即入院するくらい怖い!!もう他人と会話なんて出来ない!!

「女と話してる方が楽しいけど結婚してくれるからクソつまんねえ話でも楽しそうに聞いてあげている」という状態が「普通の」お付き合いであるとしたら...!

それは非難される紋切り型の「身体目当てで優しくしてくれて終わったら捨てるクズのような男」よりもよっぽどタチが悪いんじゃないだろうか。影響ある時間の対比でいうと、クズの人=一晩、クソつまんねえ話=一生ということで、クズの人に同情するレベルでひどい話だ。でも一生側にいたいとは思ってくれているということなんだろうから(?)、もはや喜ぶべきなのか悲しむべきなのか判断がつかない。

これはきっとそもそもその人に興味がないということなんだと思う。恋愛というのはその人の触るものが全部金になってしまうみたいなすごい錬金術で、その人にまつわるものなら何でも興味が出るし好きになる。マンホールの蓋を見るたびに「そういえば電話でマンホールの蓋につまづいたって言ってたな〜」と思い出すのが恋だ。

そもそもニコニコして相槌をうっている人は、「この人が何いってんのか全然わかんないけど、この人がしゃべってるのを見てるだけでうれしい」と思っているのが尊いのである。「ニコニコして相槌を打て」というのはそういうことをしろってことだ。そして恋をするとそういうことが出来るのだ。

この話では「ダークナイトのうんちくを語られて興味がないのでつらい」ということになっているが、映画好きの女子だったらいいんだろうし、そもそも映画に興味がなくても、その人に興味や関心があれば、理解をしなくても同じ空間にいるだけでニコニコしていることができる。

それが出来ないのは相手が悪いんじゃなくて、相性が悪かった。残念ながら。ダークナイトを見るのが嫌なら、ほかの何かを提案してみるのはどうだろう。「どうしてもそれが見たいんだったら、ちょっと2時間どっかいってくるから、終わったら飲みながら話しましょ」とか。

そういう問題じゃなくって、「わたしが興味がないものをリサーチしないで雑に突き付けてくる神経が耐えられない」っていう殿様のような要求なのだったら、「わたしが興味が有ることリスト」を提出してみてはどうだろう。そしたら石田三成みたいに、鷹狩りで喉が渇いた秀吉に最初はぬるいお茶を出し、二杯目はちょっと熱いお茶を、三杯目には熱くて濃いお茶を出すという気配りをしてくれて、「15歳なのに気が利く奴だ」と、あなたを感動させてくれるかもしれない。

でも、ある特定の「何か」を一緒にしなければ幸せだと思えないのなら、それは恋ではないのだろう、たぶん。

とかなんとかいろいろ言ってるけど、結局「何を話しててもニコニコうなづいて聞いちゃう」みたいな人ができたら、その女子は「SATCを見る」みたいな女子会にはパッタリと来なくなる。だからまあ、こんなこと言うだけ時間の無駄だ。

現場からは以上です。

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