Radiohead ”A Moon Shaped Pool”

MADEGGくんが勧めていたのでなんとなく聞いたレディオヘッドの新譜があまりにも素晴らしくて腰が抜けた。この素晴らしい音楽との出会いに身体が震え、感動の涙で目の前が霞むほどだ。

正直言って、レディオヘッドに期待することは何もなかった。アルバムが出ていることは知っていたけど、なんかGoogleがフライング公開の大失敗 みたいなゴシップで食傷気味になって、「フーン出たんだ」と思うくらいで聴きもしなかった。AppleMusicによってタダで聴けるのにも関わらず。

なんて恐ろしい時代なんだ、2016年。レディオヘッドの新譜が無料で聴けるのに、検索すらしないんである。まさかそんな時代がやってくるとは思わなかった。

それはさておき、まずこの一曲目「Burn The Witch」をお聴きください。

震えるような名曲だ。ジョニー・グリーンウッドのストリングス・ワークがあまりにも素晴らしくて気絶しそう。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のサントラも素晴らしかったですけど、単に美しいハーモニーのストリングスではなくて、ピチカートとか不協和音とか、かつてギターで行っていたことを置き換えているような、テンションのあるストリングス。弦楽器の表現の可能性の幅を広げた、素晴らしいアレンジではないでしょうか。それが「魔女を燃やせ、間違った魔女を」と歌うトム・ヨークの唯一無二のボーカルと融合し築かれる、ポップスでありエレクトロニカであり前衛音楽でもある、力強く壮大な世界観。

彼らが「Ok Computer」を経て「Kid A」で成し遂げた、オルタナティブ・ロックと電子音楽の融合による唯一無二の音楽性。それがこの曲ではさらに発展を遂げ、とてつもなくスケールの大きな音楽になっている。この曲が好きすぎてまだ他の曲が聴きこめてないんですが、アルバムを通して胸が震えるような曲ばかりです。擦れっ枯らしのわたくしは「もうレディオヘッドに期待することは何もないぜ」と思って斜に構えていましたが、まさかこんな曲が聴けるなんて、感動に打ち震えるばかり。

”A Moon Shaped Pool”が2016年に発売されるというのはとてつもないことだ。普通であればマンネリに陥るであろう、メンバーチェンジなしで20年以上に渡るキャリア。そこからこうした世界的なポップミュージックのマーケットにおいて、このアルバムが流通することに驚きと喜びを感じる。

この20年で音楽業界は激変し、いまや音楽はとても軽々しく”消費”されるものになってしまった。その激動に身を置きつづけ、”消費”され続けている彼らが、どうしてこんな純粋で驚きに満ちた、瑞々しい音楽を作れるのだろう。これは本当にすごいことだ。マジで音楽というものに希望を感じる。

彼らは多分もう本当にCDの売上なんかどうでもよくて、業界の動向もどうでもよくて、本当に音楽のことしか考えていないんじゃないだろうか。世界に対して斜めに構えず、皮肉から身を置き、この世界の奇跡に驚き、音楽を奏でられる喜びが溢れている。”A Moon Shaped Pool”はそんなアルバムである。やっぱりイギリスはすごい国だ。ほんとにびっくりした。みんなも斜に構えずちゃんと聴くように!!!


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好きです!!!!
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akiko_saito

音楽と芸術

コメント1件

納得の逸品ですね。隙が無いです。
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