見出し画像

人生経験豊かな高橋源一郎さんに、悩みごとを相談してみませんか

家にWIFIが通った。めでたい。これからは1日1本ブログを書きたいんだ。毎回思い立って毎回すぐに終了している毎日書きたい宣言。あんなに忙しい糸井重里が毎日書けているのに私のような暇人が書けないというのは甘えだと思うので毎日書きたい。ちなみに質は問いません。

今日の話は高橋源一郎による人生相談のこと。この答え、すごくないですか。新聞の隅っこに載っている、なんてことない人生相談だけど、文学作品100冊分くらいの真実が書いてある。「自分自身」というのは、確かにいるんだけど、すぐに見えなくなってしまうんだ。文学が掴んでいきたいのはその「自分自身」というものなんだろうなと思う。あまりにすごいお答えなので一日に3回ぐらい読み返しています。原文は毎日新聞にて。

20年ぶりに夫以外の人を好きになりました。今でも夫のことも好きで別れる気持ちはありません。好きな人とは、本当に時々ですが、一緒に映画に行ったり、飲みに行ったりします。とっても楽しみにしている一方で、夫にウソをついて出掛けるので、ひどく自己嫌悪に陥ります。すごく後ろめたいです。時々、話ができるだけで幸せなのですが、自分の自己嫌悪と、どう付き合ったらいいのでしょうか。(44歳・女性)
 相談者に子どもがいるのか、「好きになった人」が既婚者なのか、それがわからないので、お答えは、少し一般的になってしまうと思いますが、一言でいうなら、「誰でも自由に生きる権利がある。ただし、そのことで起こるあらゆる結果には自分で責任をとらなければならない」ということだと思います。
 わたしたちは誰でも、社会的な「顔」を持っています。「会社員」とか「先生」とか「妻」とか「母」とか、さまざまな。そんな役割を担って、わたしたちは生きてゆきます。けれども、それとは別に、わたしたちは、他の誰にも気づかれない「自分自身」というものを持っています。その「自分」に一番必要なものが「自由」だと思います。
 相談者は、夫以外の方を好きになられた。「妻」ではない「自分」として。それがなければ、あなたがあなたでなくなってしまう「自分」というものが、生きて動いた。それを止めることは誰にもできません。
 けれども、「自由」の、あるいは「自分」の、恐ろしいところは(それが素晴らしいところでもあるのですが)、満足を知らないことです。いまはまだいいでしょう。だが、「話ができるだけ」で、いつまでも満足できるでしょうか。あなたも、その方も。その日が来たとき、あるいは、外の「社会」に知られたとき、責任を持って決断ができる自信をお持ちなら、このままお進みください。あなたの人生が豊かであるよう、お祈りしています。(作家)

Copyright 毎日新聞


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?