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一本の煙草

昔が舞台のドラマに喫煙シーンがあることが問題になっているそうですが、ハリウッドの作品って昔が舞台だと男も女もバカバカ煙草吸ってますよね。ここで「ディス・イズ・アス」というドラマについて言及したい。(以下第一話のネタバレ)

【第一話ネタバレ】

ディス・イズ・アスの第一話では、4人の主人公が出てくる。

1. ケヴィン。主演しているクソみたいなソープドラマが大ヒットして金持ちになったけど、本当はもっとちゃんとした作品に出演したいと思っているハリウッドのイケメン俳優、兄。

2.ケイト。 太っていることにコンプレックスがある妹。兄のマネージャーをしている

3. ランダル。黒人で出世して幸せな家庭を築いているエリートビジネスマン。弟。愛する妻と子どもと幸せな家庭を築いている。

4. ジャック。愛妻家の若い男性。妻(レベッカ)が三つ子を出産する。

1.2.3.の最初の3人は兄弟。そのうち1.2.は白人で、ビジネスマンだけ黒人。なぜ兄弟で人種が違うのかというと、ビジネスマンは養子だから。

第一話では舞台は兄弟たちが誕生日を迎える、ある日を描く。

最初、兄弟と若い男性には何のつながりもないように思える。そこで視聴者は「あーこれは普通の群像劇なんだな、ふむふむ」と思いながら見ていく。舞台は現代だ。みんな普通の若者である。それぞれ自分の人生に悩み、喜びの瞬間がある。

しかし終盤のクライマックス。4.の主人公は、病院で、保育器に入った生まれたばかりの子どもを眺めている。妻は三つ子を妊娠していたが、分娩の時に3番目の子どもを流産してしまった。それで呆然と保育器に入った我が子を眺めている。

そこに、消防士がやってくる。消防士は「君の子か?かわいいな」と言う。そしておもむろに、ポケットからマルボロを取り出して、「吸うか?」と主人公に差し出すのだ。

その時、視聴者は初めて気づく。

「あ!!この人だけ時間軸が違うんだ」ということに。

4.の若者は、実は1.2.3.の父親だった。3人が生まれた日のことを描いていたのだ。他の3人の舞台は現代だが、父親のタイムラインだけは兄弟が生まれた36年前の日のことを追っていた。

それが、一本の煙草を差し出されることだけでわかる。それがすごかった。すごい体験をさせてもらった。

ディス・イズ・アス、このあとも面白いので見て下さい。アマゾンプライムで配信中です。

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