この日、気温が一気に上がった。もう寒くなかった。朝自宅を出ると温かい太陽の光が降り注いでいた。目黒駅に向かう住宅街の道。ここは道がせまいので車があまり通らない。おじさんが家の外に出て、さんさんと輝く日光の下でのびのびと体操をしていた。隣のおうちでは、外出前のおばさんが家の前に植えたお花の咲き具合をチェックしている。お向かいの奥さんはベランダのガラス戸を開けると、足ふきマットを干してぱんぱんと叩いた。コンクリートのブロック塀の上は野生の花がかたまってこじんまりと咲いている。ブロック塀の上にお花畑が出来たみたいだなと思った。

春がやってきたのだ。