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映画『オーシャンズ8』

映画『オーシャンズ8』を見た。『オーシャンズ』シリーズは豪華絢爛、軽妙洒脱なアクションが売りの人気シリーズで、今回初めて女性キャストのみの『オーシャンズ』が作られた。サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、リアーナなど錚々たるメンバーが揃い、オシャレなファッションに身を包む彼女たちを見るだけでも眼福の映画だが、オープニングシーンがとにかく最高だった。

主人公はサンドラ・ブロック演じる、ダニー・オーシャンの妹、デビー。映画は彼女が5年8ヶ月も服役した刑務所から出所するシーンから始まる。

彼女は出所時の面接で切々と語る。

「犯罪を起こしたのは間違いでした。出所したら、シンプルな生活をしたいの。仕事をして、友達を作って、請求書を払って....」

ついにその刑務所を出るとき、彼女は顔馴染みの看守に「ブツが入ったら自分で吸わないでみんなにちゃんとさばいてよ」と話しかける。刑務所に入っていた間も、彼女はぜんっぜん反省なんかしていなくって、違法なブツをさばいていたのだ。「ここから出たらどうするの?」と聞く看守に彼女は言う。

「40ドルも持っているの、どこにだって行けるわ」

有り金たったの40ドル!一体彼女はこれからどうなるんだろう。

派手な服装で刑務所から出た彼女は、ニューヨークの高級デパートに向かう。きらびやかな化粧品売場で、ショッピングをするようだ。40ドルじゃ、化粧水だって買えやしない。それでも彼女はひょいひょいと高級品を次から次へと手に持ってレジに向かっていく...

違った。彼女が向かっていたのはレジではなかった。両手いっぱいの高級口紅や香水を彼女が差し出したのは返品カウンターだった。デビーは店員に言う。

「これ、先週買ったばっかりなんだけど、気に入らなくって。返品したいの」

店員は答える。

「そうなんですか、お客様。ぜひ返金させていただきたいんですが、レシートはお持ちですか?もしくは、その時に使ったクレジットカードは?」

デビーはうんざりしながら答える。

「今日は持ってないわ。ダメなの?先週買ったばっかりなのよ!」

店員は決まりきった返答をする。

「お客様申し訳ありません、そうしますと、店の決まりで、返品はできないことになっているんです」

「わかったわ、もういい。じゃあ、持って帰るから袋を頂戴」

「もちろんです、どうぞ」

そしてデビーはまんまと高級コスメを手に入れ、堂々とデパートを去るのだった。

デビーが次に向かったのは高級ホテルだ。エントランスを通るデビーは、チェックアウトする裕福そうな夫婦連れの会話を盗み聞きする。

「チェックアウトするよ。2814号室のゲイリー・ランダルだ。」

レセプショニストは答える。

「ご滞在はご満足いただけましたか?」

「ああ、素晴らしかったよ」

「わたしの名前はモニカです、何かお手伝いできることはありますか?」

夫婦が出ていったあと、デビーはロビーにあるふかふかのソファにどっかりと座り込み、雑誌をペラペラとめくりながら、電話を手にする。そしてどこかに電話をかける。彼女が電話口に向かって言うことは信じがたいものだった。

「もしもし、わたしランダル夫人ですけど...2814号室の。モニカを出してもらえる?」

電話口にさっきのレセプショニストが出る。デビーは心底困った声で彼女に話しかける。

「もしもしモニカ?ランダルよ。なんと、わたしたちのフライトがキャンセルになっちゃったの。サイアクの空港ホテルなんかに泊まりたくないから、さっきの部屋に戻ってもいいかしら?同じ部屋がいいの。...本当?ありがとう。素晴らしいわ」

そうしてデビーはまんまと高級ホテルの部屋を手に入れる。他人の請求で。デビーは抜け目なく、ベルマンが抱えているカートからふわふわの真っ白な毛皮のコートとトランクをエレベーターで失敬することも忘れない。その後には清掃用のカートからアメニティをいくつかくすねることも忘れない。

翌日、ケイト・ブランシェット演じる昔なじみの犯罪仲間、ルーに会ったデビーは、刑務所の中で5年8ヶ月に渡り練り上げてきたという犯罪計画を語る。それは、全世界が注目するファッションの祭典「メットガラ」で、カルティエが作った1億5000万ドルもする高級な宝石を盗み出すというものだった。あまりにも規模が大きく、メチャクチャな計画に驚いたルーはデビーに聞く。

「どうしてそんなことをする必要があるの?」

デビーは答える。

「わたしはそれが得意だからよ」

すごくシンプルな答えだ。デビーは得意なのだ。世の中の常識やルールをやすやすとすり抜けて、なにかをうまーく、盗んでしまうことが。

ほかのオーシャンズ・レディーの活躍も目に楽しい、軽く見られる良作です。ちゃんとアジア人も活躍します。活躍する女子を見るのが好きな方、お時間あったら、ぜひ。

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