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イーロン・マスク

イーロン・マスクって人がいてさ。

まあこれが、すごい人でさ。

「世界を変える人」って言われてるんだ。

アメリカの起業家で、「PayPal」を作った人なんだよ。今は「テスラモーターズ」っていう会社と、「SpaceX」っていう会社をやってて、テスラっていうのはニコラ・テスラから取った名前だけどさ、テスラは電気自動車を作ってて、自動運転も研究してて、石油に依存する現代の社会をひっくり返そうとしてるんだ。「SpaceX」ってのは宇宙開発の会社で、自分たちで作ったロケットをばんばん打ち上げてて、「人類を火星に移住させる」のが最終目標らしくって、まあ、この人が言うなら本当に行くんだろうなって世界中の人が思ってる。

まあそんな感じですごいんだけど、超エリートっていうよりは叩き上げで、南アフリカで生まれて、こどもの頃はものすごくいじめられてたらしい。大学も2日でドロップアウトしたり、社員にクーデターを起こされたり、だいぶ苦労してるね。だから人間もできてるんじゃないかな。顔もハンサムだし説得力もあるし富豪だしまあなんの隙もないよ。

で、そんなすごい人が、「地球は、エイリアンがやってるゲームのシミュレーションの中にあるかもしれない」って言ってたんだ。ものすごくかしこい宇宙人がいて、そいつらがゲームを作るみたいに地球を作って、ぼくたち人間はそのなかで動いているプログラムみたいなものなんだって。「わたしたちが生きている世界がシミュレーションではないという可能性は、10億分の1しかありません」って。

そういえば前に聞いたことがあるけど。「宇宙は巨大なホログラムに過ぎない」って。遠い宇宙のどこかに実態があって、ぼくらはそのゆらゆら動く影にすぎないらしい。

そんな事言われても、そんなの確かめようがないんだけど。目の前に見える壁がまぼろしだとか、このほかほかのラーメンが実在してないとか、このビルがほんとうは存在していないとか、別にそんなのどっちだっていいと思う。ラーメンのおいしそうな匂い、箸で麺を持ち上げたときの重力、食べたらお腹がいっぱいになって眠くなって、寝て起きたら朝が来るとか。そんなの全部幻想だって言われても、そんなの本当にどっちだっていいんだ。

でももしこの世界が全部まぼろしだとしたら、僕が君を好きだっていう気持ちも本当は存在しないってことになる。そう考えるとほんとうに悲しい。

君も僕も、単なる光の錯覚でうまれたまぼろしのかげろうかもしれない。その事実には傷つかないし、それだったらしょうがないと思う。

でも今僕が、君がこの世界に存在していることがうれしくて、君を思い出すだけで幸せな気持ちになれるって思うこの気持ちががまぼろしだって思うことには耐えられない。その考えだけは、本当に僕を悲しくさせるんだ。



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