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映画「レボリューショナリー・ロード」

今日も相変わらず地球に馴染めなかった。ふう。この世界というのは、なんだかたくさんのひとたちがいて、みんながお揃いのダンスを上手に踊っているのに、どんなに練習してもうまく踊れないみたいな気持ちがする。手をあげて足をあげてジャンプしてまた手をあげて、みたいに、きっと決まったやり方があって、それが出来ればいいだけのこと。誰にでも出来ることらしいなんだけど、なぜだかわからないけど、わたしはどうやってもうまくやることができない。特になにかあったからというのではなく、まあなんかだいたい毎日そんな気持ちがしている。

でもまあそんな日でもいいことはある。今日あったいいことは、Appleミュージックで映画「レボリューショナリー・ロード」のサントラをひさしぶりに聴いてやっぱり超最高だなと思ったこと。こちらからどうぞ

https://itun.es/jp/UVT2r

この映画は「アメリカン・ビューティ」とか「007」も撮ったサム・メンデス監督の作品で、「タイタニック」の主演コンビが贈るということですてきなロマンちっく映画かと思いきやとんでもないホラー。死ぬほどコワイので未見の方はぜひ見ていただきたい。どんなにホラーかはこちらのブログに書いたのでお暇な方はどうぞ。「ゴーン・ガール」を見て「女ってコワイ」と言う人がいるが、あれはわかりやすいサイコなのでこの映画に比べたらホンワカ童話みたいなものである。

で、その恐ろしい話にこのうえなく美しいトーマス・ニューマンのサウンドトラックが乗っている。「アメリカン・ビューティ」から10年、そのメロディの美しさとアレンジの巧みさは揺るぎなく、重厚なハーモニーのストリングスは草木を揺らす風のようで、そのうえを跳ねるピアノの音は朝の光に輝く朝露のようである。響きが良いアコースティックな音色と、まったく異質なメタリックなシンセのドローン音が重ねられているのが現代的に感じる。その音の動きに身を委ねていると、木と鉄が交じり合い、有機的に動く生きた彫刻に背中を撫でられているような気持ちになる。

彼の音楽には、酔いしれてしまうような甘くメランコリックなフレーズと、その酔いしれるロマンチシズムを冷め切った目で見ているクールさがつねに同居している。いまここにある静寂を見つめるいっぽうで、その平穏を壊すなにかがやってくる予感がするような、コップの水が縁から溢れてしまうような不安定さがある。トーマス・ニューマンの音楽はそういうところが好きだ。サントラに挟まれている、のんびりとしたオールディーズの曲までが、痛ましいものに思えてくるのも音楽と映画のマジックである。

よかったらぜひ聴いてみてください。

https://itun.es/jp/UVT2r



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