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「コブラ会」がめちゃくちゃおもしろいから見て

いま局地で話題沸騰の「コブラ会」。YouTubeプレミアムで配信されているドラマのタイトルだ。これはあの1980年代の大ヒット映画「ベスト・キッド」の続編で、主人公のライバルで悪役だったコブラ会のジョニーが主人公になっている。ガラの悪い、冴えないオッサンが主役のドラマ?興味ないわという人こそ見てほしい。コブラ会はたくさんのことを教えてくれる。

主人公のジョニーだが、稀に見る手のつけられない悪役で、毒親に育てられたアル中のクソ野郎。LAの安アパートに住み、修理工(なんでも屋)の安い仕事をしてどうにか生計を立てているが、クライアントに「そんなビッチなこと言うなよ」と言って雇い主に「ビッチって言われた!!」という苦情が行き、あっさりクビになる。ジョニーはミネラルウォーターの代わりにビールを飲んではクダを巻くただのダメなオッサンなのである。そんなジョニーが同じアパートに住む高校生を偶然救ったのがきっかけで、空手道場「コブラ会」を立ち上げる。

高校生の名はミゲル。シングルマザーの家庭でおばあちゃんとお母さんと暮らす、ヒスパニック系の移民だ。イケてないグループにくくられており、高校でイジメられていて、いつもいじめられっ子にボコボコにされている。ジョニーはそこにたまたま居合わせ、ミゲルをいじめるいじめっ子をカラテで撃退したことから「僕にもカラテを教えて」と言われたわけだ。

そんなジョニーの人生の宿敵が、「カラテ・キッド」の主人公、ダニエル。彼にカラテを教えたミヤギ先生は他界し、いまは高級カーディーラーとして大成功。豪邸に住み、裕福な暮らしを送っている。ジョニーとは正反対だ。この二人のライバル関係がエキサイティングなんだ。対立していて口を聞くのも嫌な癖に、一緒にドライブする羽目になって、ラジオでレオ・スピードワゴンがかかって、一緒にハミングする場面もあったりする。

まあその他にダニエルの娘とかジョニーの息子とかも絡んできていろいろ複雑になっていくのだが、この先のお話はドラマを見てもらいたい。一話30分とか20分なので気軽に見られる。

ひとつ、泣いてしまったエピソードを書いておく。

カラテ道場を開いたジョニーだが、彼はカラテ精神に反して生徒に暴言を吐く。アメリカでは身体に言及することは絶対にタブーだ。その人がチョイスしたアイテムなどを褒めるのはいいが、本体自体(美人とか痩せてるとか太ってるとか)に言及することはものすごいタブーとされている。

でもジョニーは、唇にすごく目立つ手術の傷がある子を「おいリップ」なんて呼ぶ。アメリカではありえないことだ。あまりにもありえないので、「それは失礼です」と他の生徒が言い、リップと呼ばれた子は道場を出て行く。そりゃそうだ。

しかしジョニーは言う。「世の中は厳しい。一歩外に出れば辛く当たられる。やられる前にやれ」と。

アメリカでは建前が大事だ、でももちろん陰口もイジメもある。それが現実だ。ジョニーは綺麗事じゃない現実と闘え、そのためのスキルを教えると生徒たちに言うのだ。

さてジョニーに罵られたリップだが、彼はなんと、道場に舞い戻ってきた。しかも、ものすごくクールなブルーのモヒカン姿に変身して。そんな彼はホークと呼ばれるようになった。

俺は泣いたね。マジで。ポリコレは大事だ。でも現実ではポリコレなんか少しも気にしてくれない。弱いものはいつだって傷つけられる。

俺たちが生きてる世の中は容赦なく残酷だ、でも自分の態度次第でこの残酷な世界に立ち向かうことが出来る。コブラ会はそれを教えてくれるんだ。

そして、ダメ人間のジョニーが教えてるはずの生徒(ミゲル)に逆に教えられたり、影響を受けたりして、ちょっとずつマシな人間になっていくのもアツい。完璧な人間なんか存在しない。先生だって所詮は人間だ。

でも人間は変わることができる。成長することができる。とにかくアツい「コブラ会」、YouTubeプレミアムのお試しとかあるそうなので是非見てみてください。


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