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元気ない

最近会う人全員に「元気ない」って言われる。というのは前回も書いたけど、昨日久しぶりの人にたくさん会う機会があって、8割の人に「元気ない」って言われた。すごい割合だ。

元気かあ、ないんだろうなあ、ないんだと思う。

いま見える世界はいちめんの灰色。おお、かつてこの世界がきらきらと輝いて見えたこともあったのに。色を失った世界、それはなににも興味を持つことができない世界。もうなんだか「価値がある」みたいなもの全てがよくわからなくなった。わたしがいま暮らす東京はそういうものに興味がなくなってしまうと、けっこうきつい。だからといって大草原でも見に行けば心が晴れるのかというと多分そんな感じでもない。

もうなにもかも投げ捨てて海に身を投げるなんてどうかしら?実家に帰るのもいいだろうし、北海道の牧場で働くとか、ヨーロッパの小さな国のど田舎で牛を育てて暮らすとかもいいかも。

そういう謎の気分は、自分の世界の捉え方次第であって、同じところが天国にも地獄にもなるのも自分次第というのはわかってはいるんだけど、まあ人間たまには調子が悪いときもある。

きょうも、世の中ってほんとに灰色に塗りつぶされているなあ、、と思いながら東京の路地を歩いていた。冬の冷たい雨が降っていて、若干雨足が強まってきたのでわたしは差していた透明のビニール傘をしっかりと握った。ふと傘を見あげると、降り注いだ雨粒が丸くビニール傘の上に乗って、それらが重なってつながり、ゆるゆると落下していくのが見えた。

美しいなあと思った。

世界は美しい。流行りのお店や人気の俳優に興味が持てなくても、世界は変わらず美しい。

「元気」がどうやったら出るのかはわからない。とりあえずのところは、ビニール傘についた雨粒が綺麗に見えたとか、そんなレベルの喜びをいくつも積み重ねていくことで生きながらえてみようかと思う。

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