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生活 2015/3/11

3.11から4年経ったその日最後の仕事は夜九時から恵比寿で雑誌の取材。夜中までかかる予定だった。寒い日だったので「あったかいもの」が食べたくなった。六本木から向かう地下鉄のなかで、もうこれは完全にスープストックしか無いだろうと心を決めていた。そういうことってあるでしょう。食べる前からもう口の中はスープストック。

恵比寿の駅ビル「アトレ」にあるスープストックに到着すると、女性たちが長い行列を作っていた。ド平日の夜。店内を埋め尽くすのも一人の男性を除いて全員女性。みな流行の洋服に身を包んだ小奇麗でおしゃれな若い女性たち。大学とかお仕事帰りのようである。

彼女たちは黙々とスープを食べていたり、食べる前に携帯で写真を撮ったり、食べ終わって本を読んだりしている。ふと見た女子が読んでいたのはマガジンハウスから出た梨花のライフスタイル本「MY NAME IS...RINKA」であった。

うおお

恵比寿のOLさんが、会社帰りにスープストックに立ち寄って、マガジンハウスから出た梨花の本を読んでいる。

ゴダールは「勝手にしやがれ」で

「密告者は密告し

強盗は強盗し

人殺しは人を殺し

恋人は恋をする」

と言った。

ああ、まったくその通りで、密告者は密告するし、人殺しは人を殺すし、恵比寿のスープストックにいるOLさんは低カロリーのスープを会社帰りに飲んで梨花の本を読むのである。

しかもそれは、どんな意図によるものでもない。どうして恵比寿のOLさんというものは、吉牛に行ってスポーツ新聞を読んだり、ラーメン二郎に並んだりしないのかと思う。イメージと実体というのはどちらが先にあるものなんだろうか。

ちなみに恵比寿のBAGEL & BAGELもこんな感じで女子率99%だ。もちろん例外だってたくさんたくさんあると思うけど、こういうのを見ると性差というものはホントにあるよなあと実感する。



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