人類が本物の肉を食べられなくなる日

この前「お肉が食べたいな〜〜〜」と思ってスーパーに行ったら、やっすい肉が売ってて、「これでいっか」と思い購入。

すると!!!!!

バラバラの肉が入っているのに、同じ形をしているのである...「充分に焼いて食べてください」と書いてあったので、よく焼いた。

そして実際に食べてみると!!!!

おやおや!!!

肉なのに!!!

肉の味がしない!!!

たしかに甘辛いタレの味はするのだが、肉の旨味というものがまったくないのだ。ボソボソとした口触り、食感はまるで味のないカマボコのようだった。甘辛くタレの味がついた薄いゴムを噛んでいるような感覚である。これでは白米も進まない。

はっ?!とパッケージを見ると「成型肉」と書いてある。成型肉...!それは屑肉を寄せ集めて牛脂などで肉のかたちにしたもの。見た目はまるっきり肉と変わらないのだが、その味は肉とは似ても似つかない...

これまでに成型肉を食べたことはあったが、ここまで本物の肉とかけ離れているものは初めてだった。

いつかそう遠くない将来、食糧難が訪れた時に、人類は本物の肉など食べられなくなるのだろう。売られているのは”合成肉”ばかり。ビタミン剤などが入っていて栄養に遜色はないが、味は似ても似つかない。本物の肉は違法で取引されていて、庶民には手の届かないすさまじい値段になる。「わしらが子供の頃にはなあ、本物の肉を食べたもんだ。一口噛むと、肉汁が溢れてのう...」と語る長老。「そんなにおいしいの?!」と目を輝かせる子供たち。「わしゃ死ぬ前に本物の肉がもう一度食べたいんじゃ...」とうめく、余命いくばくもない父のために、ユリ子はヤミ市で取引される本物の肉を求めて、怪しい路地へと足を踏み入れるのだった...

というところまで箸を握りながら考えた。

成型肉は既にファミレスや激安食べ放題焼肉には導入されていて、その違いは「ナイフを入れたときに肉汁が出ないこと」だそうだ。マルシンのハンバーグとかは大好きだが、こういう紙みたいな味の焼肉はどうにも受け入れがたい。こんな肉が山盛りになっている焼肉屋さんに行ってしまったらSFレベルの恐怖だ。今回の成型肉焼肉がトラウマになったわたしは、これからはちゃんとパッケージの表示を見て買うようにしようと心に決めたのだった...


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