見出し画像

ドラクエ映画の何が辛かったのか(詳細なネタバレ含む)

オッス!オラ、いま話題のドラクエ映画を見てきたぞ!

「君の名は。」のトラウマからか、日本のアニメ映画に拒否反応が出る自分....しかもあの悪名高き山崎貴が総監督...ということで、公開前から「宗教上の理由で見ません」と公言していたが、ツイッターであんまりにも賛否両論になっていて、無限に検索して感想を読んでしまう、、

どうもネタバレによると、「ラスト10分に興ざめする超展開になる」ということで、詳細を見ると「うわーたしかにそれはないわな」という内容だった。納得しながら、また無限に「ドラクエ 映画」で検索して阿鼻叫喚を眺め続ける、、なんで、、なんでこんなに気になるの、、

そんな一日を過ごした後、「だめだ、あまりにも気になりすぎる、やっぱり見に行こう」と決意を固め、行ってきたのでした。

その結果は!!

ネットのネタバレを踏んだくらいでは回避できないくらいのすさまじい地獄

だったのだった。

みんな、インターネットで得た情報でわかった気分になっていないか?ネットの文字だけではわからないものがある、その恐ろしさに震えて帰ってきたぞ。

これが見終わった直後の感想だ。

「吐き気を催す映画体験」

したことあります?「ゲド戦記」だって「意味わかんねー!マジつまんねー!金返せ!」くらいだったのに、見終わった後あまりの胸糞悪さに吐き気が止まらなかったんですよ。なので夕飯は食べずに済みました。ダイエットになってラッキーでした。

■ラストの胸糞展開

これはもうネットで散々言われているのでみんなご存知だろう。「VRオチ」なんですね。

映画は最初主人公リュカが父と魔物にさらわれた母を探す冒険から始まり、父がゲマというモンスターに殺され、奴隷にされて10年後にまた母を探す旅に出るという「ドラクエ5」のストーリーで普通に進んでいきます。このパートはヘンリー王子がゲームよりもすごい好感度高いキャラだったり、フローラがめちゃくちゃかわいかったりして、主人公もバトルでちゃんとバギクロス使っててまあまだいい。キラーパンサーも「ゲレゲレ」という名前で原作に即している。まあ概ね予告の通りですわな。

のだが、ラスト10分、やっと父を殺し、自分を奴隷にして石像にした憎きボス、ゲマを倒すとなんか画面がおかしくなるんです!

画面が切り替わってみると、そこはお台場とかにありそうなVRランド!なんと、実は主人公は子供の頃ドラクエ5をプレイしていたサラリーマン!VRランドのアトラクションで、「子供の頃にやった懐かしいゲーム」である「ドラクエ5」の最新テクノロジー版、VRバージョンを体験していたのでした。これまでの物語は「主人公になりきってプレイしていた」VRのゲームだったんですね。

ところが、なんとそのVRゲームに「ウイルス」が仕掛けられていたんです!突然画面がフリーズし、倒したゲマの後に出てきたのはなんかよくわかんないくっそダサいデザインのマスクの男!そいつが主人公(サラリーマン)に向かってこう言うのです。

「フフフ、、わたしはミルドラース(ドラクエ5のラスボス)。というかこのゲームに仕掛けられたウイルスなのさ。お前が見ている世界は全て虚構。さあテクスチャを剥がしてやろう!当たり判定をなくしてやろう!見ろ!ゲームなんてものから目を覚ませ!」

キャー!!今まで一緒に冒険していた仲間たちがあっという間に泥人形に!そんな悪者に対抗する主人公(リーマン)!

「やめろお!何のためにこんなことをするんだ!」

そして答えるラスボス!このラスボスがまーまたよく喋る。

「フフフ、、わたしは天才ハッカーの気まぐれによって作られたウイルス、、作り主様はお前らのような奴らが心底嫌いでね、、お前らが好きそうなゲームにわたしを仕込んだのさ、、(ここでスーファミソフトの実物をポイッと放り投げるラスボス)作り主様が言っておられたよ、『大人になれ』とね」

そこでフラッシュバックする主人公(リーマン)の少年時代!スーファミカセットをフーフーしてSFCに差し込みスイッチオン!さあ冒険の始まりだ!わあ楽しいな!ああいい思い出だったなあ!そして叫ぶ主人公(リーマン)!

「たかがゲームじゃない!みんな、一緒に冒険してきた大切な仲間なんだ!僕にとっては大切なものなんだ!壊さないでくれ!」

監督の計算によるとここで観客が感情移入して「そうだよね!(号泣)」となるはずらしい。で、主人公の仲間だったスライムが実はアンチウイルスソフトでした!そして天空シリーズなのになぜか出てくるロトの剣!それで主人公がラスボスにガツーン!と一撃、「ギャアア」と死んでいくラスボス。ちゃんとドラクエ5の世界も元に戻り、世界は平和になったのでした。めでたしめでたし

■何が怖かったのか

いや、見る前は単にこの「実はVRでした〜!」っていうどんでん返しが胸糞なんだと思ってたんですよね。

でも実際に見ると全然違った。

一番怖かったのは、ラスボスが倒されてドラクエ5の世界が戻った後に、

「あ、これ、虚構なんだ」

って実際に思っちゃったんですよ。

「どうしたの?ボーッとしちゃって、変な人」

って言ってくるビアンカ(かわいい)が、

「あ、これ、絵なんだ」

としか思えなかったんですよ。それがめちゃくちゃ怖かった。

今までの人生で、一度だってそんなことなかったんです。映画見てるときもゲームやってるときも漫画読んでる時も、一度もそんなこと思ったことなかった。

それが、原作未プレイ、この映画のオファーを4年間断り続けた山崎貴総監督による「おっ!ええ案思いついたった!これで(やったことない)ドラクエファン、全員ドラ泣きやでえ!」という使い古されたクソメタ展開によって、覆されたんですよ。実質5分くらいでしたが、怖くて怖くて仕方がなかった。

これから、「こんなのただの誰かが作ったプログラムじゃん」「誰かが紙の上に描いた漫画じゃん」としか思えなくなったらどうしよう?

そう思ったら怖くて怖くて、めちゃくちゃ震えました。

いやーそんなんドラクエでやる必然性全くないですよね。「レディ・プレイヤー1」でスピルバーグが最後にリア充になった主人公に「VRの世界だけじゃなくリアルも充実させような!」って言わせたのとかもありましたけど、「レゴムービー」でこのメタ展開が胸糞じゃなかったのはレゴはそもそも「自分の頭の中でストーリーを組み立てて遊ぶもの」だったからだし、ほんとにこのアイデアを既存の超絶大人気を誇るドラクエというIPでやるべきじゃないですよ。

「サマーウォーズ」を思い出しちゃったね。覚えていますか。ドイツ人の男の子が、「僕のアカウントを使ってください」ってポコンと出てきた時、、あれは泣いた、、あれは虚構のゲームでしたが、それでも爆裂に感動して泣いたんだよ。ああこれだよな、インターネットってこれだよなって、、それと反対のことをドラクエ映画ではやっているというわけです。

■全部セリフで説明する感動ポルノのクソ説教

で、そんな見てる方からすると地獄みたいなオチを、監督が

「ゲームファンの心に寄り添った善意」と思って作ってることが何よりも怖かった。

みんな、ゲーム好きだよね!大人になってもさ、あの冒険はこころの中に残ってるよね!わかるよ!って

エアプに言われても

めちゃくちゃ困る。

まあ、つまり、ドラクエ映画は

「全部セリフで説明する感動ポルノのクソ説教」

が全編に渡って貫かれてるんですよ、、

で、それは山崎貴総監督や川村○気プロデューサーらによる

通常運転の邦画しぐさ

なんですよ。

なんか人気のコンテンツを有名人にいろいろやらせて中身スッカスカにした挙げ句大々的に宣伝してSNSでは真のファンからマジギレされる...いわゆる邦キチ案件です。ドラクエ映画もこの邦画しぐさなので、それについていけない人間は気に入らなくて当然です。見に行くほうがおかしい。隣の部屋ではワイスピやってますよ?

えーと、ここからビアンカフローラ問題に入りますね。

原作の「ドラクエ5」だと、ずーっと一緒に冒険してきた幼馴染のビアンカか、突然出てきた富豪のフローラか、どっちかを選んで結婚しろという選択が出てきます。幼馴染で、一緒に冒険してきて、一緒に強くなってきて、それから選択するんですよ。だから公式でもビアンカ推しになってるし、ソフトのカバーもビアンカです。

なのだが、この映画では

幼い頃に主人公リュカとフローラは一度だけ会ったことがあり、フローラはリュカに一目惚れ。それ以来密かにリュカのことを想い続ける。成長したリュカも、再会したフローラが美しく可憐(しかも莫大な富を誇る)ということで秒でフォーリンラブしてしまい、めでたく両思いになった二人。一方ビアンカは、子供の頃に一緒にいたことはあるが、その後離れ離れ。酒場でたまたま再会、たまたま一回だけ一緒に戦う。

という設定に、、なんで、、

で、こうなったらもうフローラルートで!ってなるじゃないですか?別にそういう設定ならそれでいいですから。

なのに!!!!!

実はビアンカは主人公のことが好き、、それに気づいたフローラは、ババアの占い師に化けて主人公に「自分の本当の気持ち」に気づくことができるという薬を飲ませる。すると!!!実は自分はフローラよりビアンカの方が好きだったということが判明!!!フローラとの結婚を断りビアンカと電撃結婚したのでした〜!!「リュカさん悲しい..でもわたし、ビアンカさんの気持ちに気づいてしまったの...」と影で泣くフローラ。

なんだそれーーーーー!!!!!!!!!!!!マジで意味がわかんねえ!!

というのは、

監督が「イイ話」にしたかったから作っただけのクソ設定なんですよ!!!というのも、主人公が占い師のババアに

「いやあ、あんたのせいで、おしとやかでお金持ちの文句なしのお嬢さんと結婚するチャンスを逃しちゃったよ。本音をズケズケ言ってくる、金のない結婚をすることになっちゃった」

って言うんですよね。うれしそうに。これって監督の

金とか名声に目をくらまされずに自分の心に正直に!

っていうクソ説教ですよね?それで「いい話だな〜」って言ってほしいんですよね?

そのためにフローラが傷つけられて、、なんてかわいそうなんだ、、この映画の中でもフローラはかわいかったので本当にかわいそうでした。

■その他の文句

・ドラクエ5なのにガンガン他のナンバリングの曲を使いまくってくる。ていうか5の曲使えや。そしてテーマ曲は無駄に4回ぐらい流れてくる。他の曲使えや

・効果音がおかしい。門番と話をするときに、モンスターが仲間になる時のSEが流れる

・バトルシーンでフィールドを歩くBGMが!!!!

・その割に船に乗ってる時に船のテーマが一ミリもならねえ!船に乗ってんだから船の曲流せ!!!

・主人公とヘンリーが奴隷になって10年経ったことを示すためなんだろうが、無精髭が伸びてるんですよ。これがめちゃくちゃ汚い。キモい。いる?いらねーだろ、、

・登場人物の手が巨大。手のリグが大変だからだろうか

・人間の肌がリカちゃん人形みたいな質感で、三白眼で怖い、、

まあここで、箸休めに最新ハリウッドフルCGアニメでも見てください。死ぬほどかわいい

・主人公が「僕、弱いからそんなモンスター倒せません、、」て言うんだよね!!じゃあレベル上げしろよ!!お前は何のゲームなんだよ!フィールドに行け!敵と戦って経験値を稼いでレベル上げて来い!この映画、RPGが原作ですが町/フィールドの区別、レベル上げなどの概念がなくて怖い。


とにかくドラクエ映画は「全部セリフで説明する感動ポルノのクソ説教」という通常運転の邦画しぐさをよりによってドラクエでやられたので怒ってる人が多いということで、邦画しぐさに拒否感がない方は楽しいと思います。

次はルパンファンの皆さんの番です。

生きて帰って。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?