見出し画像

時代はローカル・オーガニック・ゼロウェイスト! ブリュッセルのアーバニストたちの食事情。

ベルギーの首都ブリュッセルに住んで、とってもときめいたのが「良い食」の手に入りやすさだ。

ブリュッセルは、人口120万人規模の都市で、だいたい東京の10分の1サイズ。そのいいサイズの都会生活を楽しんでいるアーバニストたちの暮らしには、ローカル&オーガニックの食材、そしてゼロウェイストな買い方がとても身近だ。

ローカル・オーガニック・ゼロウェイストなお店の宝庫!

なんと、私の住むアパートから徒歩10分〜20分圏内に、ローカル・オーガニック・ゼロウェイストをビジョンにしているお店が、6箇所もあった! 日本にも進出している「Bio c'Bon(ビオセボン)」や、ブリュッセルに7店舗展開しているローカルスーパー「farm」、そのほか個人商店の「Stock」、「Dolma Magasin」、「Belgomarkt coop」、「Bulk」の6つ。特に気に入っているのがfarmとStock。

ローカル&オーガニックな上に、使い捨てのごみをなるべく出さない「ゼロウェイスト」な量り売りを実践している。野菜や果物はプラスチック包装されておらず、まるで屋外のマルシェのような雰囲気。値札には生産地の情報が書いてあり、どこで作られたのかがすぐにわかるようになっている。ベルギー、フランス、スペインなどの近郊からの食材が中心で、中にはブリュッセル産の食材もあるほど。

お米やパスタ、ナッツ類、グラノーラなどの乾き物は、量り売りコーナーが充実している。

横にある紙袋か繰り返し使える布の袋を持参して、好きなぶんを詰めて、重さを測り、出てきたレシートを貼り付けてレジへ。↓パスタいれまーす。

チョコレートやクッキーなどのお菓子類も量り売り! さすがチョコの国ベルギー。

日本に比べて湿度が低く、ものが腐りにくいためか、基本的にパンは個包装はされずに、棚にそのまま置いてある。

ガラス容器に入ったジュースやヨーグルトなどは、洗って瓶を返すと次回の買い物から割引してくれるリユース制度がある。プラスチックのレジ袋も配布していない。→今週、セブンイレブンが2030年までにプラのレジ袋配布をやめ、紙袋に切り替えると発表していた。個人的には、あと10年もかかること、紙に代替するだけで「使い捨て」そのものを見直していないことを残念に思う。

ブリュッセルでも、大手スーパーは生分解性の袋を有料で配布し、個人商店のコーナーショップやデリバリーではプラスチックのレジ袋がまだ使われている場面はあるのだけど、こうしたビジョンのあるスーパーでは、すでに配布は終了している。「レジ袋いりません」って言わなくて良いのが、こんなにストレスフリーだとは。

日本のイオンや西友のような現地の大手スーパー「カルフール」や「デレーズ」にも、オーガニックコーナーの勢いがすごい。きっとアーバニストたちからのニーズがあるのだろう。

日本のオーガニックスーパーと比較

次に、日本のオーガニック市場との比較をまとめてみる。

1. ベルギーでは、オーガニック食材と普通の食材の値段がほぼ同じ
大手の格安スーパーに比べて価格差は肌感で1.2倍くらい。量り売りでは、むしろ安くなることも! 実際、スパイス類やパスタはむしろ普通の商品よりも価格を抑えることができる。ローカルでオーガニックな食材をそのくらいの差額で買えるのはとてもありがたいと思ったし、農家の人々が誇りを持って農業を続けるために適正な価格を支払いたい。むしろ、格安スーパーの方が変だ。国内産よりも何千キロ遠くの国から輸入した食べ物の方が安いことがあるけど、地元の食材を中間マージンを抑えて売れば、そっちの方が安くなるのが正常な食システムなのでは。

あまり価格差がない理由をお店の人に尋ねたところ、量り売りだとパッケージ代が要らないのと、客側も必要な分だけ買えるから割安感があるんじゃないかということだった。必要な分だけ買える仕組みがあることで、家庭での廃棄食材(フードロス )も防ぎやすい。一石二鳥どころではない!

2. いろんな客層が買い物に来ている
以前、東京の三鷹に住んでいた頃も、オーガニック食材を中心に扱うお店が近くに2店舗あり、そこでなるべく買い物をしていた。主な客層はやや年齢高め、食の安全を気にしてそうな女性で、レジが混み合うことはあまりなかった。対してブリュッセルのスーパーは、一番混む夕方の時間帯には、お店のレジに長蛇の列ができることも! そして若いお客さんが目立つ。仕事帰りのサラリーマンや若い男女、子連れの人、おじいさん、おばあさん、あらゆる人たちが来ているのが印象的だった。 

3. 食材の種類が豊富
三鷹のオーガニックスーパーで買い物してたときは、正直そこだけで全部食材を揃えるというのは、品数が少なく、合計金額もすごいことになってしまうので、普通のスーパーも併用しなければいけなかった。ブリュッセルでは、ローカル&オーガニックで生鮮食品からパン、お米、お菓子までだいたいの食材が揃うから、何軒もはしごしなくていい。買い物が楽。日本食含め、アジアの食材もオーガニックのブランドが充実してるから、とてもありがたい。

良い食にアクセスできる都市デザイン

この食の観点から、ブリュッセルのアーバニストたちが、どんな価値観を持って暮らしているのか、少し見えてきたような気がする。誰がどのように作ってるか見えないけど、とにかく安い食材が年中手に入る巨大なグローバル食システム。それよりもっとシンプルに、地元産のオーガニック食材をごみの出ない方法で必要な分だけ買うのがいい。そんな価値観が社会に浸透してきていて、それを可能にする都市デザインができつつある。ブリュッセル首都圏政府は、「Good Food」というローカルでオーガニックなお店を奨励するお祭りを主催するなど、こういう時代の動きを街をあげて後押ししている。この点はまた今度書いてみたい。

日本でオーガニックを支えているのは、食の安全を気にする人や、環境を配慮する個人が中心だと思う。都市や自治体がもっとバックアップできることがあるのでは。良い食にアクセスしやすい都市デザインがあれば、もっといろんな層の人が買うようになる。自然と「良い食」に手が伸びるようなデザインが、東京を含め世界のいろんな都市に広がっていったらいいな。

「Farm」で販売されている手作りのお菓子Brookie。ブラウニーとクッキーをかけあわせたアイデアで、史上最高に美味しい! もちろん、プラにパッケージされていない。



私の発信が、何かの役に立てたら嬉しいな。「心の声に耳を傾け、自然体で生きていく。」よりナチュラルで自分らしい暮らしに興味のある方に、今後も日々発見したことを共有していきたいと思います!