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【要約書き起こし】安倍総理 ポスト安倍を大いに語る

元動画: https://www.youtube.com/watch?v=mNJk89-pUw0

ここから要約書き起こし
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榎戸教子キャスター(以下、榎戸):今日はよろしくお願いします。

芹川洋一日本経済新聞論説フェロー(以下、芹川):よろしくお願いします。

安倍晋三内閣総理大臣(以下、安倍):よろしくお願いします。

榎戸:この1年振り返ると、日経平均は2割上昇、景気は持ちこたえている印象。経済を重視してきた内閣として、来年への課題・抱負は?

安倍:経済に於いては、国際的な課題が多い一年だった。米中貿易摩擦、ブレグジットなど。日本国内の雇用においては、高い水準、良い数字だった。有効求人倍率、失業率など。若者に希望が持てることが重要。正社員の有効求人倍率も1倍を超えている。賃金については、高い水準の賃上げが続いている。緩やかな景気回復が継続しているので、維持していきたい。来年に向けて、今年は災害が多かったので、復旧もしっかりやる。海外のリスクにも対応する。オリンピック後を見据えて補正予算26兆円の予算を組んだところ。

芹川:内政上の課題でいうと、全世代型社会保障制度改革の中間報告まとめが取りまとめられた。方向性は出されているが、もうちょっとという声もある。そこをどうやるのか?

安倍:安倍政権は、少子高齢化問題に真正面に取り組んでいく。全世代型社会保障制度への改革を行っていく。今年10月から、幼児保育の無償化を行った。これは、子育て世代を支援するもの。子どもたちへの投資でもある。来年4月からは、真に必要な子どもたちへの高等教育への無償化も始まる。今までの社会保障制度改革は、年金・医療・介護の給付と負担のバランスを中心とした議論だったが、今回は、更に働き方を中心に据えて、高齢になっても働きたい方が働ける環境を作る中に於いて、年金医療介護のあり方を考えていく。その中で、現役世代あるいは次の世代の負担がなるべく過剰にならないような改革を行っていきたい。

芹川:立憲民主党の枝野さんが、先週のこの番組に出られた際、桜を見る会を追及するとのことだが、この件についてはどのように考えているか?

安倍:これからも国会に於いて誠実に説明していく。

芹川:世論調査を見ても、納得していない方が多いが。

安倍:招待の基準が曖昧だというご批判は、その通りだと思う。来年は中止とし、改めてやり直していきたい。

芹川:IRの件で秋元議員が逮捕されたが、どのように考えているか?

安倍:現職の国会議員が逮捕されたことは遺憾。個別の案件については、捜査中でありコメントは差し控える。来年1月から、カジノ管理委員会が発足する。公平に公正に審査をしていくものと考えている。

芹川:スケジュールとしては予定通りに進めていくのか?

安倍:国会での進め方については、党や国対で検討していくことになると思う。

芹川:(逮捕された秋元氏は)副大臣だった。この点も悩ましいですね。

安倍:副大臣を経験した現職の国会議員が逮捕されたことは、遺憾だ。

芹川:憲法改正については?2020年に実現したいと発言していたが、スケジュール感をどう考えているか?

安倍:自由党と民主党が合同した時に自由民主党が結党した原点でもある憲法改正であるが、70年間できていない。困難なことではあるが、先の参議院議員選挙に於いても、憲法改正の議論をすべきと訴えて勝利した。その後、自由討議も行われた。国民の声は「憲法改正の議論をせよ」だと考えている。国会議員の義務として、国民の前でどういう国を創ろうとしているのかを堂々と議論をし、自民党も活発な議論することを期待している。私は、 第一党の総裁として憲法改正を決意している。

芹川:平成から令和への代替わりはスムーズに行われ、良かったと思っている。その中で、特例法で退位することが成立したが、女性宮家のことが盛り込まれた。女性天皇、女系天皇のあたりの議論をどのように考えているのか?

安倍:古来より男系継承が行われてきた伝統の重みは、噛み締めなければならないと思う。その上に於いて附帯決議がある。附帯決議も踏まえて議論していかなくてはならない。

芹川:時期について、春先あたりから具体的に進めようということか?

安倍:国会での議論もあるかと思うが、私としては、落ち着いた静かな雰囲気の中で議論を進めていくべきだろうと思う。

芹川:雑誌の中で、安倍さんは昭和22年に皇籍離脱した男系男子で、というお考えであると記憶しているが、お気持ちはそういうことか?

安倍:当時、一つの選択肢として、今までの伝統とも鑑みながら提案したものである。国民の議論や関心も踏まえて進めていかなければならないと考えている。

芹川:女性と女系の区別が付いているのかどうかという問題も残っているが、世論調査では、7割くらいの支持があり、悩ましいところではあるが。

安倍:世界を見回すと、日本だけが皇室の存在が126代に渡って継承されてきた。儀式の際に、世界中のリーダーが集まるのは、即位礼正殿の儀だけだろうと思う。これは、日本の持つ伝統の力であるし、国民が長年に渡って紡いできた歴史の素晴らしさだと思う。

榎戸:日韓・日中関係について伺う。先日、日中韓首脳会談が中国で開かれた。ムンジェイン大統領と1年3ヶ月ぶりに会談があった。元徴用工問題については継続協議だと思うが、戦後最悪の日韓関係と言われており、今後良くなっていくのか?

安倍:隣国である韓国との関係は重要と考えている。ぜひとも改善したいと願っている。おそらくムンジェイン大統領も同じ気持ちだろう。大切なことは、国と国との約束を守っていくことだと思う。日韓関係は、1965年の日韓基本条約や日韓請求権協定を礎(いしずえ)としてスタートした。しかし、残念ながらこの協定が守られていない状況が作られてしまった。そこは、韓国側に改善して頂きたい。この点を大統領に要請した。

芹川:少し前に動いていくと考えて良いのか?

安倍:いずれにしても、対話が必要だと考えている。厳しい問題があるからこそ対話すべきだと申し上げてきた。世界中、隣国同士は様々な課題を抱えている。課題があるからこそ、対話は重要であるし、その中で大切なのは、民間レベルの交流を途絶えさせてはいけないこと。このことも、大統領に申し上げた。

榎戸:近く日韓首脳会談は行われる可能性は?

安倍:まず事務レベルで、あるいは外相レベルで、またその下のレベルで意思疎通をしていくことが大切。こういう議論をしてこうという点で、ムンジェイン大統領と一致をした。基本となるのは請求権協定であり、この約束が守られないのであれば、関係が成り立たなくなってしまう。そこは、韓国にしっかりした判断をして頂きたい。

芹川:基金案が出ている。企業間の寄付を募ってという内容。日本としてどう受け止めているのか?

安倍:韓国議長の案のことだと思うが、これは、韓国の立法府で議論されることであるので、コメントは差し控える。大切なことは、韓国が国家として正しい判断をすることだろうと思う。

芹川:先だって日中首脳会談があった。尖閣沖に中国公船が来ている、香港の人権問題などある状況下で、国賓として日本に招くことについて、どうのように向き合っていくか?

安倍:いわゆる自民党の保守派からも、厳しい批判が出ている。親しい方からからも直接話を伺っている。今回、習近平主席と良い会談ができたと思う。「来年春の習近平主席の国賓訪日を極めて重視している」と申し上げた。必ず日中の未来のために成功させなければいけない。その中で、私も、尖閣の問題、東シナ海の問題、中国で日本人が拘束されている問題、香港の問題、ウイグル地域に於ける人権状況、これら全てを提議し議論した。同時に、来年の習近平主席訪日の機会に、日中間は世界から何を期待されているのか。日中はGDP2位3位という経済。中国は大きな軍事力も持っている。だからこそ、地域や世界の平和や安定や繁栄に大きな責任を持っている。この責任をしっかり果たしてく意志を明確に世界に示していく訪日にしなくてはならない。そのためには、お互いが努力する必要があるとお話をし、様々な課題についてもお話をした。国際社会は、日本と中国が角突き合わせることを望んでいない。日本はG7の国でもあるし、自由や民主主義や人権や法の支配を尊ぶ(たっとぶ)国である。(聞き取り不明)国の中の中心的な国であると各国が認めていると思う。その日本が中国と関係を作り、普遍的価値を共有する国々が考えていることを相手にも伝える。その中で、中国が健全な発展をする。その機会にしたい。

芹川:日中国交正常化、平和友好条約などに続く5番目の文書を作りたいということか?

安倍:成果をどのような形にするかは、まだ何も決まっていない。これは更に日中で議論しながら進めていきたい。

芹川:俗っぽい訊き方だが、習近平とはどんな人か?

安倍:13億を上回る民のトップ、激しい戦いを勝ち抜いてきたと思う。同時に、重い責任がある。国内だけでなく、地域や世界に対して大きな責任がある。最初は、用意されたことだけを話すというような、話しにくい人と思っていたが、今回も含めてここ3回くらいは、自由にフランクに話し、中国をどうしたいか、どういう人生を歩んできたか、など率直に語る人である。

榎戸:ムンジェイン大統領はどんな人か?

安倍:物腰が柔らかい紳士。これからもっと頻繁に会えるような関係にしたい。

榎戸:対中東・対米外交についてお話を伺う。中東海域の自衛隊の派遣を閣議決定された。先日、20日には、イランのロウハニ大統領との会談があり、年明けには中東訪問を検討しているとのことだが、一連の流れについてどう考えているか?

安倍:原油の輸入の9割は中東に頼っている。これが途絶えれば、日本経済、国民の生活は大変なことになる。中東地域の平和と安定というのは、日本にとっては死活的に重要な問題である。その中で、イランの核合意を日本は支持しているが、大変危険な水準になってきている。中東情勢の緊張の高まりが続いており、強く懸念している。だから、日本の役割を果たさなければならない。その想いで6月に中東を訪問し、ハメネイ最高指導者とも会談を行った。そして、12月20日にロウハニ大統領が訪日された。そうした外構努力を行いつつ、同時に、関係する船舶がホルムズ海峡を通り、日本に原油資源を運んでくるわけだから、航行の安全を確保することが大切。27日に、外交努力をしていく、航行の安全を徹底的に確保する、情報の収集を行う、そうしたことを総合的に勘案し、日本独自の取り組みとして、自衛隊のアセットを派遣することを決定した。その中に於いて来日したロウハニ大統領は、「日本が航行の安全を確保しようという取り組みは理解する。そして、詳しく説明したいただいたことを評価する」と、私も述べたが、外に向かっても発表して頂いた。そうした努力もしつつ、派遣される自衛官達の安全も確保しながら、航行の安全、地域の安定に日本として独自の貢献をしていきたいと思っている。その観点からも、年明け事情が許せば、中東を訪問することを検討している。

榎戸:日本の役割だが、アメリカと中東地域の橋渡し役ということか?

安倍:アメリカとの関係に於いては、トランプ大統領との信頼関係の元、最も強固な同盟関係を築けていると思う。国際社会からも評価されていると思う。その中で、イランとしては、日米同盟関係の強さを頭に入れつつ、日本にも来日されたんだと思う。仲介をそう簡単にできるとは思わないが、イランとアメリカ両方から信頼されている日本でしかできないことはやっていきたいと思っている。先般の大統領の訪日後、北朝鮮の問題も含めて、トランプ大統領から電話を頂いた。イラン情勢、ロウハニ大統領との会談の中身も含めてトランプ大統領とお話をした。

芹川:アメリカは来年11月3日に大統領選挙に向けて動いていくことになるが、日本として悩ましいと思うのは、米軍駐留経費の負担増について。トランプ大統領は、色んな形で言ってこられると思うが、どのようにかわしていくか?

安倍:米軍駐留軍経費について、日本は7割以上負担している。これは、恐らくどの国よりも高い比率である。日本にいる米軍のプレゼンス、海兵隊員のほとんどだが、アジア地域のアメリカの権益も守っていて、アメリカにも利益をもたらしている。まさに、極東の平和と安定全体を担っているし、もちろん、日本にも防衛という義務もある。同時に、極東の平和と安定に資することになっている。アメリカのパワーの源泉でもあるだろう。こういうことをお話をし、その都度、了解を頂いている。駐留軍経費のことを議論する時には、日本は日本としての主張をしっかりしてきたいと思っている。

芹川:トランプ大統領は、安倍さんと話しているときは理解するが、その後またすぐに元に戻るというようなことがあると聞いたが、本当に大丈夫か?

安倍:米軍の最高指揮官としては、若い米兵が命を懸けて日本を守っているということは理解してくれという気持ちの発露だと思う。そのことについては、北朝鮮問題などある厳しい安全保障状況の中で、米軍の存在抜きに日本の安全は考えられないので、そのことについての気持ちは常に表明している。このことについて、しっかりと議論してきたい。

芹川:政局について。トランプ大統領が再選されると、4年の任期となる。そのことも考えると、安倍総裁に4選してもらったほうがいいのではないかとの見方があると思うが?

安倍:私は4選を全く考えていない。大ベテランの方達にそう言って頂けるのは光栄なことではある。自民党は人材の宝庫であるので、例えば、岸田さん、茂木さん、菅官房長官、加藤厚労大臣などがいるし、いま名前を挙げた人以外にも良い人材がいる。

芹川:岸田さんと当選同期で波長が合うと言われているが、そういうところがあるのか?

安倍:岸田さんは、誠実な方で相手を尊重される方。あの人といると居心地が良いと感じる人は多い思う。ジョンソン首相と会うと、「フミオは元気か?」と言われる。二人でウィスキーを呑みあった仲らしい。

芹川:石破さんについては?

安倍:石破さんは勉強熱心で、チャレンジ精神にあふれた方だろうと思う。

榎戸:驚きなのは、4選は本当に考えていないのか?

安倍:本当に考えていない。そもそも、あと1年9ヶ月も任期がある。これは平均の総理の任期に近い長さが残っていて、まだやるべきことが沢山ある。全世代型社会保障改革、憲法改正、デフレ脱却、そこに全精力を集中させていきたい。

芹川:焦点は解散総選挙。野暮かもしれませんが。2021年の任期を考えると、来年の通常国会と臨時国会、2021年の通常国会と臨時国会。4国会しかないのだが、どう考えているのか?

安倍:芹川さんのコラムを拝見し、さすが日程を見ながら組み立てをしておられると思ったが、様々な政策を前に進めることができたのも、選挙で国民の皆様から支持を頂いたからだ。その意味で選挙は大切。国民生活に直接関わりのあること、例えば、消費税の使い道を思い切って子育て世代に振り向けていく。この決断をしたときには解散総選挙を行い、その結果、この政策を実現することができた。国民の真を問う時期が来た時には、躊躇なく解散の決断をしたい。

芹川:枝野さんは、前回(この番組に)出て頂いた時に、通常国会の冒頭ないし補正が成立した後だろうと身構えていた。一方、公明党の山口さんは、オリンピックまでは日程的に無理だろうと、皆さん色々仰っている。重ねて同じ質問で恐縮だが。

安倍:野党の皆さんは、私達が野党の頃と違って受け身。私達が野党の頃は、一日でも早く解散に追い込む、と。解散しなければ政権交代はないのだから。そこはちょっと違うと思っていた。いずれにしろ、7月に参議院選挙で付託を頂いた。これに応えていくことが使命だろうと思う。

榎戸:選挙といえば、7月に都知事選挙があるが、小池知事に対して、自民党としてはどういう態勢で臨むのか?

安倍:自民党の中でも色んな評価がある。その中で、まずは東京都連で議論をして早めに結論を出してもらいたいと思う。

芹川:都連に任せるということ?

安倍:もちろん、都知事選は地方選挙の中でも特別な意味があるが、まずは順序があるので、都連で議論してもらいたい。その中で、党本部四役の議論をしながら判断してもらいたい。

芹川:二階幹事長は、小池さんでいいみたいなことが言っていたらしいが、安倍さんとの会談でもそういう話があった?

安倍:色んな報道はあるが、今言った基本線で進めていく。やはり都連が主役でなくてはならないと思う。

榎戸:年末年始のお休みはあるのか?

安倍:年末年始はゆっくりしたい。時間があれば本を読んだり、ゴルフ、映画も見たい。

榎戸:ゴルフのスコアはどれくらい?

安倍:ゴルフのスコアは国家機密だ。

榎戸:(笑)今日はお忙しい中、ありがとうございました。

安倍:ありがとうございました。
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書き起こしここまで

るんるーん♪