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筆記具沼の住人がキーボード沼に片足突っ込んだ話

ペーパーレスで使いどころが減ってしまった筆記具

子供の頃から筆記具が好きだった。
シャーペン、ボールペン、万年筆、色鉛筆、クレヨン…
仕事の資料を読み解く時はフリクションの赤、青、ラインマーカーを片手に書き込みをしながら読み、自分のアウトプットは万年筆でアウトラインをメモしてから作った。

だがこの数年、気づけば筆記具を使う機会が激減してしまった。
きっかけは新型コロナ禍に伴う在宅ワークで一気に進んだ感のあるペーパーレス化だったと思う。
執務場所が職場から家に変わったことにより、紙の資料はタブレットで見るPDFに。アウトプットのためのアウトラインはNotionに。やりにくかったが慣れないといけないと思っているうちにいつの間にか慣れた。
そして在宅ワークが終わって出社するようになった今も、ペーパーレスに合わせて一度変えてしまったやり方は戻っていない。
常に3本以上ストックしていたフリクションの替えインクは、出社するようになってからほんの一本も減っていない。

筆記具を使いたいがために誰かに手紙を書くようなマメな生活はしておらず、寂しさを感じつつ仕方ないと思っていた。
そんな時である。メカニカルキーボードに遭遇したのは。

メカニカルキーボードの出会い

きっかけは2023年にキーボード沼で話題になったハッピーハッキングキーボード(HHKB)の新作だ。
同僚が、家族が、まるで祭りのように相次いで購入し楽しげに盛り上がっているのを見て、楽しそうだなと羨む気持ちが湧いてきた。
かといって手の小さい私にはHHKBのキーは厚い。私には無縁だなと思っていたら、それよりも薄い、いわゆるロープロファイルキーボードを勧められたのだ。

色が可愛い、音がいい、持ち運びやすい3拍子揃ったキーボード

ちょうど発売されてまもないNuphyAir75V2。
見た目が好みで興味を引かれ、軽い気持ちで動画を漁っていたところ、タイピング音の比較の動画を発見してしまい、これが運の尽きだった。

筆記具沼の人は筆記具が立てる音にも好みがあると思う。
メカニカルなノック音、パチンとキャップがはまる音。筆記具は色々な心地いい音がある。
動画を見ていた私はタイピング音の中に、筆記具のメカニカル部分がもつ心地よい音と同種の気持ちよさがあることに気づいてしまったのだ。
キーボードの中のキースイッチというパーツを変えることで好みの音に変えることができ、さらに音だけではなくキーを押す重さ軽さも変えることができる。
軽い押し心地が好きか重い押し心地が好きか、自分の好みを探してあれこれ比較検討する過程は、まるでペンのインクフロー、ぬらぬらサリサリという書き味のなめらかさで好みのものを探すようで楽しかった。

好みのルックスに好みの音を組み合わせ好みの押し心地を選ぶ。もちろん音も感触もメーカーによって違う。筆記具で好みの一本を探すこととよく似ていた。

今後仕事でアナログの筆記具の登場頻度が増えることは、残念ながらないだろう。プライベートでの諸連絡ももうすっかりデジタルだ。
アナログの筆記具を愛でることをやめるつもりはない。好きなメーカーが廃れてしまわないように、好みの軸やインクがあればお金を落としていく所存だ。でもアナログ筆記具に操を立てなくてもいいのだ。好みのキーボードを見つけて日常が楽くなるんだったらやらない手はない。

そんなわけでNuphyAir75V2にCowberryのキースイッチを組み合わせてマイキーボードにした。コトコトという低めの打鍵音と軽いキータッチの組み合わせだ。入力に応じてバックライトも光る。今までデジタルの入力に特に思い入れはなかったが、キーを打つことがすっかり楽しくなって家でも会社でも使っている。

なおこのNuphyAir75V2はデフォルトで交換可能なキーキャップとしてネコが付いてくる。DELキーでもFNキーでも好きなキーをネコ柄にできる。最高。

キーボードに常駐するネコ




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