【ミリしら】ドクター・デスの遺産

「お父さんが殺された。」
ある少年からの依頼を受け綾野剛と北川景子は捜査をすることになる。
しかし、少年の母に話を聞く際も、監視カメラを探している際も皆同じように調査の協力を拒む。
少年に話を聞こうとするものの母親が許してくれず、唯一得られたのは「いつもと違う男のお医者さんだった」という僅かな情報だけ。

どこの家に聞き込んでも遺体を見ることは叶わず、葬儀屋に潜入し何とか怪しい死体のサンプルを確保する。
患者の殺害には薬剤が使用されていた。
薬剤の入手経路から医師を割り出し逮捕する。
部屋には少年の父の同意書まで丁寧に保管されていた。

「私の同志は世界中にいる、たとえ私を捕まえてもこの国に安楽死制度ができない限りドクター・デスの遺志は残り続ける。」
取り調べ中にこの言葉を最後に犯人は倒れ、そのまま帰らぬ人となる。
逮捕の際のボディチェックは完璧なはずだった。死因は服毒。ドクター・デスの仲間が内部にいる。

事件がひと段落したこともあり、容疑者のことを少年に伝えにいく。
「あの時のお医者さん、あの人じゃないよ。」
しかし既に世間的には被疑者死亡で片付いたことになっている。
お互いを疑ったまま警視庁のN o1コンビだった2人はバラバラになっていく。

綾野剛は医師の部屋から出てきた同意書の中に見知った名前を見つける。
数年前、末期癌の自宅療養中だった母親の容態が急変しそのまま亡くなってしまった。
自分は間に合わなかったが彼女は安らかな顔で逝った。看取った妻も何もドクター・デスのことは言わなかった。
どれだけ妻を問い詰めても答えず、変わりに1枚の手紙を渡される。母からの自分が望んだ死であるという手紙だった。
こんなに身近に協力者がいたことに衝撃を受ける。

北川景子も自身の弟の同意書を見つける。

バイク事故で体が動かなくなり自宅で静養していた弟だった。彼は自身で依頼していたのだ。
弟は数年前に死んでいる。部屋で体が動かず世話をされることがどれだけ辛いか、楽になりたいかという日記を見つけ、何が正しいか分からなくなる。

上司に告発しようとするが「あの事件は被疑者死亡で解決だ、再調査はない。」と釘を刺される。
「これは上部の決定事項だ。君の妻もそれを望んでる。」そう告げられて取り残される。
ドクター・デスの意志は国の中枢まで蝕んでいた。国の医療費を下げるため、国ぐるみで秘密裏に行われていることだった。
それがすべての真実であり、実質の安楽死制度であった。


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