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【第8話】焼き鳥2本しか買えなかったクリスマス

こんにちは、堀北晃生です。

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「まだ諦めるわけにはいかない」

私はもうひとりではない。

借金を返済しようと連日寝ずに仕事をしました。

せっかくの休日もゆっくりする気にはなれませんでした。

新婚ホヤホヤの楽しい生活のはずが、猫の餌も買えないほどの惨めな生活を繰り返していました。

新しい仕事を始めようと、パートナーと契約するとなぜかトラブルになり揉め事が拡大。

せっかく事業を立て直しできると、思った矢先に、私の足元を見て、詐欺的な条件を突きつけてくる人。

お金も精神も追い詰められると、どんどん苦しくなってきます。

借金を返済するために立ち上げたプロジェクトも、一番美味しいところを、相手側に持っていかれ、時間を労力だけ使うこともたくさんありました。

「何をやってもうまく行かない」

もがき苦しんでいた時に、すべてが嫌になりました。

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12月24日。

結婚して初めてのクリスマス。

街はクリスマスムード一色。

街中はイルミネーションで美しく飾り、おしゃれなレストランでは、家族や恋人が楽しそうに食事をしている。

私は、未だに払いきれない借金と、精神的な不安でいっぱいになり生気を失った状態が続きました。

本来であれば、二人きりで過ごす、初めてのクリスマス。

人生にとって一番幸せな時間を楽しんでいるはず。

しかし、私は当時猫の餌も買えないくらいお金がなくなっていました。

「せめてクリスマスらしいことはしたい」と思い、焼き鳥2本だけを買って、家に帰りました。

テーブルに置かれた、焼き鳥2本とコップに水を入れ、妻と乾杯しました。

目をつぶって、美味しいターキーレッグがあり、それを思う存分食べているとイメージして。

その焼鳥を食べました。

焼き鳥は特別なものではなく、100円くらいで買える安いものでした。

しかし、あの時食べた焼鳥の味は今でも忘れられません。

「おいしい」と口にした瞬間、「命をかけて這い上がってみせる」という何か大きな力のようなものがふつふつと湧いてきました。

・・・・・・・

もう本格的にお金がなくなり、あらゆる金融機関にも回りました。

銀行奥にあるボックスになった、短期借入の申し込み。

最大300万円まで借りられる。

しかし、審査をしてみると、結局50万円しか借りられないことがわかりました。

「全然足りないよ」

そう言いながら次の金融機関を回りました。

支払い催促はどんどん強くなり、督促状が連日のように届くようになりました。

封筒を開けるのが怖くて怖くて、夜暗く寝静まった時に封筒を開けました。

「こんなの無理」と泣き叫びました。

・・・・・・・・・・・・・

そんなある日。

会社の銀行口座にログインしました。

毎月、従業員の給料を振り込まなければいけないので、秘書の時給を計算して振込予約をしていました。

しかし、何かがおかしい?

そうです。
口座のお金がなくなっていたのです。

あれだけお金にくるしんで、ギリギリの中で少しずつ返済していたのに。。

そのお金が差し押さえされていたのです。

月末に支払いをしなければいけないものがたくさんあるにも関わらず。

「ふざけるな!これから復活しようと思って真剣に戦っている矢先に」

「チキショウ!」

腹の底から大きな声で怒鳴り散らしてみました。

同じ部屋にいた猫は驚いた様子で一瞬こっちを見る。

しかし、攻撃性がないと感じると、そのまま眠りについた。

もちろん悪いのは自分です。

だからといってこの状態で、銀行口座を差し押さえをしなくても・・・。

恐る恐る妻に今の現状を話しました。

この状況をなんと伝えればいいのか?

妻のお腹は連日大きくなり、あと2ヶ月後には新しい命が誕生する。

「どうする?」

なんとしてでもここは乗り越えなければ。

しかし、お金も無ければ、協力してくれる秘書もいなくなった。

全く一人から再スタートできる気力は残っているのか?

「できる、できる!でも・・・」

絶体絶命のピンチを乗り越えられるのか?
それとも・・・。

続く・・・。

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次回予告
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資金繰りに苦しんでいる最中に、銀行口座の差し押さえ。

しかも子供が生まれる2ヶ月前。
その後どうなったのか?

次の更新をお楽しみに。


追伸:

この時が一番苦しかったですが、一番大きな学びになったかもしれません。

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投資コンサルタント堀北晃生(ほりきたあきお)。群集心理学と金融工学を組み合わせた独自の投資メソッド「堀北式株価デトックス理論」の考案者。作家、コミュニティ、通信講座を通じて次世代の投資家を増やして社会貢献を目指す活動を行っています。