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【洋楽】Andy Taylor/Man's A Wolf To Man

発表されてから聴き込んできて、このnoteも書き始めてから下書きのまま色々書き足してようやく完成しました。元Duran Duranの初代ギタリスト、アンディ・テイラー30年ぶりのアルバムです。少し彼の作品(とても少ない!)を振り返りながら聴いてみましょう。

The Power Station、DD脱退、ソロ作品〜Thunderリリース

The Power Stationに続き、バンド離脱後出したシングルデビュー後にリリースされたソロ一作目Thunderはとてもいいアルバムで、実力のあるアーチスト、ギタリストであることを証明していました。当時の来日コンサートも大変良かったことを覚えています。

When The Rain Come Down

TVドラマMiami Viceに提供した曲です。とても快活な感じでソロキャリアをスタートさせたばかりですが期待をさせる出来でした。ちなみにVideoで曲が始まるまでに流れている曲はソロアルバムThunderの曲です。

Take It Easy

映画American Anthemのサウンドトラックに3曲提供しているうちの1曲です。このアルバム、今は簡単に手に入らないようなので探してます(LPはあるのですがCDがないのです…)

Thunder

そして初ソロアルバム、Thunderです。

元Sex PistolsのSteve Jonesと仕上げてきました。名作です。 Steve Jonesのアルバムにもこの縁で客演しています。のちに喧嘩別れしたとかしないとか。なお、Jon Taylorは随分経ってからNeurotic Outsidersで共演しています。DDの結成時のコンセプトにSex Pistolsって入ってましたから二人ともファンだったんでしょうね。

Steve Jonesのアルバムはこちら。これも渋くて泣かせてくれます。極め付けはLove Letterです。

Dangerous

二作目は1990年のDangerousというカバーアルバムでした。選曲・アレンジがカッコよくて、好きなバンドの曲を自分好みにアレンジしてやってくれてます。未聴の方は是非聞いてほしい。

さらなる作品を期待していましたが、このあとずーっと出ることなく表舞台から消えてしまいます。

その後の活動状況

The Power Station - Living In Fear

96年リリース。John TaylorがNerutic Outsidersに行ってしまったため、参加せず他のメンバーだけでやってしまった二作目です。少し渋めの曲もあったりでいいアルバムではあったのですが、一作目ほどのフックがなく、大きなブレイクは得られませんでした。この時ベースはBernard Edwards、ドラムはTony ThompsonというChicの二人で最高なんですがお二人とも相次いでなくなり、ヴォーカルのRobert Palmerも2003年に亡くなっています。合掌。

Astronaut

2002〜3年ごろDuran Duranがオリジナルメンバーで復帰するということでAsronautというアルバムに参加してツアーに出たのですが、その後事情はいろいろあったようですが、また辞めてしまいました。このツアーを見ることは叶わなかったのですが、後にリリースされたライブDVDで相変わらずキレキレな彼のカッコ良いプレイを見ることができます。

Nobody's Business

実はThunderとDangerousの間にアルバムが一枚完成していたようで、ブートレグで出ているNobody`s Businessというものがあります。先日Youtubeで見かけ、聞いたのですが、これもなかなかの完成度で、なぜ出してくれなかったのか、惜しまれる一枚です。

Andy Taylor / Nobody's Business (1988) (Full Album)
Unofficial Release : 2020
00:00 01. Try A Little Love
04:29 02. Who You Foolin' Jimmy Boy
08:56 03. Rock On
12:57 04. Nobody's Business
18:20 05. Sarah (Look What You Done To Me)
22:57 06. Ring Ma Belle
26:53 07. Mission Of Mercy
31:05 08. Do Anything That You Want
35:05 09. She Was Mine
40:05 10. I'm On A Winner With You
43:44 11. Dead On The Money

Cheat

2019年 Apple Musicでリリースされたシングル。シンプルなコードのバラードです。

Love or Liberation

同じく2019年リリースのシングル。ストリーミングでのみ見かけていますが、Man’s A Wolf To A Manへの流れを感じさせる一曲です。

Man’s A Wolf To A Man

そしてさらに年月が流れ、がんを公表した後にリリースされたのが本作です。もうこれが最後になるかもしれない、そんな思いで聴きましたが、病気とかを全く感じさせない変わらぬパワー、曲の良さ、歌声を聞かせてくれます。

なんだかイメージとちがうアルバムジャケットなんですが…

さて曲紹介といきましょう

  1. Man's a Wolf to Man

  2. Influential Blondes

  3. Did It for You

  4. Try to Get Even (Feat. Tina Arena)

  5. Reachin' Out to You

  6. Getting It Home

  7. The Last Straw

  8. This Will Be Ours

  9. Gotta Give (Feat. Gary Stringer)

  10. Big Trigger

  11. Man's a Wolf to Man (Reprise)

まずはアルバムタイトルトラックとなるMan's a Wolf To Man。すこい憂いを帯びたブルースロック。渋いです。Andyのヴォーカルスタイルはどうか気になっていましたが変わらずいい声ですね。ゴリゴリにギターを聴かせると言うよりはしっかり歌を聴かせてくれます。

2曲目Influetial Blondiesはアコースティックで始まるスローテンポなバラード、途中で重めのギターリフに変わります。曲の構成は実にオーソドックス。これでええんです。これがええんです。流行も悪くはないですが、ベーシックが飽きなくていいんですな。途中サックスも入りますが後ろでギターもいい感じで入っています。派手な曲ではないですがいい曲です。

3曲目Did It For You、明るい感じのギターリフから始まります。サックスの入り方がDavid Bowieの曲っぽい。Andyなりのオマージュなのか?後半待ちに待ったギターソロを聴くことができます。素晴らしい。そこにハーモニカもかぶさってきます。これでもか、と。素晴らしいの一言。必聴。

Try to Get EvenはTina Arenaが一緒に歌っています。ここでのAndyの歌声がなんかカッコ良いのです。デュエット用とでも言うのでしょうか、ちょい低音というか渋めなんですね。Tinaはベリンダカーライルっぽい声質なのでAndyの好みなのかな?カントリーっぽい掛け合いのところなんてぜひライブで聞いてみたいですね。

さてちょっとハードな雰囲気で始まるのはReachin` Out To You。少しエフェクトをかけて、アップテンポなリフで始まります。Duran Duranでやってもいいような感じで、ちょっとクセになるフックのある曲です。

続けてヘビーなロックで攻めてきます。Getting It Home。ヴォーカルはここでも少しちがうエフェクトをかけた感じに聞こえるのですが、これは何か意図的にしているのかな?曲にぴったりくる感じのものを選んでいるのでしょうか。短い曲ですがいいギターも聴けました。

次はThe Lasy Straw。どんどんいきます。ここまできて感じているのはこのアルバムは(もちろんいいギターソロを聴かせてくれますが)そこまでオリエンティッドなアルバムではなく、聴かせるロックアルバムという感じです。というのもこのアルバムは2曲目のinfluential Blodies以外一曲あたり3分ちょい、長すぎず聴きやすく、次々楽しめます。

This Will Be Oursなんで思わず踊り出したくなるような楽しい曲調ですよ。

楽しかったアルバムもあっという間に終盤。Gotta GiveはGary Stringerが参加しています。少しエッジの効いたギターリフから始まります。かっこいい曲です。Power Stationっぽいかも。そう思うとRobert Palmerっぽい声や歌い方に聞こえてくる。フェードアウトしていく終わり方でドラムがずーっと続くのが実にいい。

荘厳な感じのオープニングにアコースティックな弾き語りで始まるBig Trigger。この曲はすごく作り込んでいるな、と感じます。リフ、ソロ、ヴォーカル、曲調、エフェクト、もうできることを全部入れてやる、みたいな感じです。出だしと終わりのアコースティックに騙されますが途中バックで流れているギターソロ、すごくいいです。

そして最後はタイトル曲のRepliesという締め方。

実にいい。本当にあっという間に終わってしまうのが勿体無いというか、またもう一回、もう一回と繰り返し聴きたくなる久しぶりに出会ったいいアルバムです。ここまでが一つの作品としてワンパッケージで提示されていて、どうだ、よかっただろ、ってニヤつく作者の顔が目に浮かびます。


あまり曲は多くありませんが色々と知る範囲で追いかけてきました。ぜひAndy Taylorのロックをみなさんも楽しんでもらえたら、と思います。

おススメ度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(正統派ロックの養分不足な昨今、稀有な一枚かと)

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