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併願にまつわるすべらない話 7選

「併願にまつわる話」というテーマで7項目を順番に話していきます。
2023年9月の教室通信を加筆修正してアップしています。


①募集要項を隅々までよく見る

まだ入試が終わって間もないこともあり多くの学校で募集要項がHPに掲載されています。年度が変わると見られなくなる学校もありますから、新6年生の方も今のうちに気になる学校の資料をダウンロードまたはプリントアウトしておきましょう。実際は9月以降に、2025年に入試をされる6年生は必ず募集要項を手元に置いておいた方が良いでしょう。紙の形で見た方が間違いないのでプリントアウトをおすすめします。
 
埼玉女子難関校の浦和明の星のHPを例にお話しします。浦和明の星の場合、1ページ目に「入試特設ページはこちら」と書いてあります。そのページから入試試験要項がPDFで見られるようになっています。出願の期間中は何かと忙しいですから、いかに早くこの募集要項のHPにたどり着けるかというところが大事です。それで学校側の親切心がわかります。
 
明の星の募集要項の2ページ目に「スナップ写真等、個人で撮影した写真は使用しないでください」と書いてあります。これをちゃんと読んでおかないと年末年始に慌てることになります。こういう学校もあるので、募集要項を隅々まで見ておきましょう。明の星の場合は、さらに「出願情報の入力」というのがあり以下のことを記入する必要があります。
 
「小学校6年時の生活状況について」「学校での様子」「ご家庭での様子」「志望理由」などを書かないといけません。学校によっては志望理由を書く場合もあるということで、募集要項を事前に見ておけば出願の前に考えることができます。塾の先生に添削してもらうなど、あらかじめ見ておけば余裕を持ってできるので、受ける可能性がある学校の募集要項はプリントアウトして手元に持っておくと良いでしょう。また、学校ごとにファイルを分けて整理しておきましょう。
 

②志望校のHPもよく見ておく

HPは学校ごとに体裁が違うので見る方は大変ですが、いろいろと情報公開してくれる学校も多いので必ず見ておきたいです。特に過去問をアップしてくれている学校は5年生も見ておくと良いでしょう。
 
男子校で人気の海城中学校のHPを見てみましょう。海城中は「見たことのない海へ」というキャッチフレーズでデザインも非常にシンプルです。左側の「受験生の方へ」というところをクリックした後、過去問ダウンロードという欄があるのもいいですね。2018年から2023年に実施した入試問題がダウンロードできます。実物大も訪問すれば買えるそうです。(最新年度分のみ)国語は学校からダウンロードできない場合もあるのですが、海城中はありがたいことに国語もちゃんとあります。次に算数の過去問PDFを見てほしいのですが、そこの表書きに下記のような注意事項が書いてあります。

海城中学算数の入試問題の表書き(海城中HPより引用)

下からの二つ目の「分数は最も簡単な帯分数の形で答えなさい」と書いてありますが、これは海城あるあるとなっていますけど「帯分数」で答えないといけません。こういう注意事項が見られることもありますから、実物大の問題がダウンロードできる学校はチェックしておいてください。
 
次に吉祥女子中を見てみましょう。吉祥女子のHPもシンプルで見やすくなっています。吉祥女子の場合は上にタブがいろいろありまして、入試関連情報をクリックすると過去問が見られます。国語の解答のところをクリックすると、解答だけではなく記述式解答の採点に関する部分点の解説もちゃんと載っています。こういう細かいところまで書いてくれていますので、事前に調べておくと良いでしょう。「GUIDEBOOK2024 資料編」では学校側の出題意図などかなり詳しく情報開示してくれています。必ずチェックしておきましょう。基本に返って学校のHPでオフィシャルの情報を入手しておくことが大切です。
 

③過去問売れ行き動向

これは気になるところですが、中学校の先生曰く、「必要以上にビビらないでほしい」とおっしゃっていました。午後入試や併願しやすい学校が上位にきやすいのです。実際には「合格者=進学者」ではありません。本当に入りたい人が午後入試を受けているかというと違うのです。志望順位が高い人は午前入試にちゃんと行くでしょう。「今年人気だから難しいのかな」と思うのではなく、それは午後入試のレベルが上がっているだけで、つまり本命、第一志望で行きたいという人にとってはそうでもないかもしれません。
 
過去問売れ行き動向は、例年YouTubeの「声教チャンネル」にアップされています。(声の教育社から詳細な売れ行き動向は各塾にも情報提供されています。)今年の情報だと女子校編ですが、②普連土115.2% ③三輪田114.8% ⑦実践女子106.7% ⑩京華女子105.1%となっていて、この辺は全て午後入試をやっているところです。受けやすい学校は受けてみようという人が増えています。中学校の先生曰く、「入りたい人に来てほしい」というのが本音のところです。ランキングに踊らされなくてもいいのかなというのが私自身の考えです。人気があるから諦めるというのではなく、行きたい学校はしっかり受けるべきです。
私も声教チャンネルが好きで毎年見ているので、皆さんも見ることをおすすめします。

④入試2日目までに合格

ここからが実践的な話題です。埼玉であれば1月10日から始まるので11日まで、2月だったら2日までに合格校を取りたいです。その方が、後半戦向けて絶対いいに決まっています。家の雰囲気も本人の気持ちも前向きになります。これはやってみないと、なかなかわかってもらえないところもあり、体験する前にそれを伝えていかないといけないので、非常に難しい仕事です。やはり受けたいところを受けたいと思うでしょうけど、そこは事情を汲んでもらって、ここを譲って「合格の可能性が高いところを受けましょう」という提案をしていかないといけません。さきほどの「行きたい学校はしっかり受けるべき」という考えと矛盾してるかもしれませんがバランスが大切です。
 
後半に賭けて逆転できたらすごいですが、誰にでもできるものではありません。もちろん、うちはそれでいけると言うなら、それでいいと思いますが、2日目までに合格があるとないとでは、後半戦に対する気持ちが違います。
 
コロナ禍以降、入試応援に行けなくなりましたが、数年前までは行っていました。2月4日の朝、ターミナル駅に降り立つと受験生もまだまだ戦っています。顔色を見ると、そこで元気がいい子もいるし、しょんぼりしている子もいます。だから、できることであれば、4日、5日と戦うために前半でしっかりと進学できる学校を取っておく方が、後半も力強くいけるのではないでしょうか。行かない学校を受けてもしょうがないというご意見もあるので、それはご家庭が決めることですが、後半勝負するためという考えもあるということをお伝えしておきます。

併願校の見つけ方のコツとしてはお通いの教室の合格実績に複数(4~5)の合格が出ている学校を見つけることです。特に2/1、2/2の午後に受験がある学校だとその地域では併願校としておすすめだと推測できます。教室からもしかしたらおすすめされて受験されているかもしません。そのあたりの学校にまずは見学に行くのもありだと思います。

⑤併願で一番難しいのは我が子補正

私自身も本当に難しいと思っていますが、やはり「我が子補正」というのはあるでしょう。私たちからすると「教え子補正」です。あの子の感じだったら本番に強いから2割増しぐらいとかで点取れるのではないかと考えることもあります。あとは「過去問相性補正」というのもあります。
 
過去問をやっていたら何かできるかもと、上方修正してしまうことがあります。そこは気をつけないといけません。今回はたまたま模試が悪かったけど、いいときもあるからと考えてしまうので、そこは難しいところです。実際、本番に強い子がいるというのも事実です。
 
これに対しての解決策として賛否両論ありますが、数を受けることで調整はできます。これが中学受験のいいところで、数を受けると補正もフォローできるのです。一発勝負だときついですけど、何回か中学受験にはチャンスがあります。もちろん最難関校の入試は1回だけですが、何回か受けられる学校もあるので、数を受けていくとだんだん慣れてきて合格に近づけるのです。私自身の想いとしては、上方修正するのはいいと思いますが、その結果から受験校を減らすのは注意しましょう。先ほどの理由もあるので、行かない学校であっても「合格」が後半への勢いに繋がることは絶対あります。上方修正した結果から受験校が減ってしまうのは心配です。少なくとも出願できるように準備だけはしておきましょう。
 

⑥過去問は受験者平均点に注意

次に過去問の話に行きます。もちろん過去問の結果を見て併願校を調整することもありますが、過去問は受験者平均点に注意したいです。過去問はその年によって全く違う表情をしてきます。いきなり過去問を順番に1年ずつ古い方から機械的にやっていくと、とんでもないことになることも学校によってはあります。子どもに見せる必要はないですが、過去問集にも受験者平均点をほとんどの学校が情報公開してくれているので、親御さんがそこを見て、明らかにこの年はハズレ(受験者平均点が低い)だろうと感じる年があるでしょう。そういう年は外して後回しとか、回避することをおすすめしたいです。
 
ハズレの年をやってしまうと「この学校は僕に合わない」といったことになってしまうことがあります。学校の先生も受験者平均点が低い問題を作った年は反省しています。平均点を低くすることが本意ではないので、その翌年は修正がかかっています。ちょうどいいレベルの問題を作ることは難しいので失敗してしまうことも、たまには学校の先生でもあるのでしょう。だから、次の年は大抵の場合、修正がかかっています。ここで注意しておきたいのが、先入観を持たないということです。特に成績がいい子に限りますが、先入観を持たせないようにしましょう。
 
たとえば、後ろの方は難しい問題があるとか、そういう先入観を持たないようにすることです。後ろに簡単な問題があるかもしれません。自分の受ける年がたまたま算数だけ簡単になる年かもしれないです。これは誰もわからないので、私から言えることはどんなときでも全力でいくということです。順調にいって結構できているから大丈夫かなというふうに油断をしないようにしましょう。逆に難易度がすごく高くても心配しなくてもいいのです。特に算数についてですが、そういう年もあるかもしれません。過去にそういったブレがある学校なのかどうかというのは、受験者平均点のページを見ておきましょう。

⑦子どもの意見はある日突然変わることもある

これが親御さんにとって一番厄介なことです。一昨年話題になった本「勇者たちの中学受験」でもテニス部にしようと思ったらバトミントン部に入ったというのがありました。私の教え子でも野球部に入りたいと言って早実を志望していた子が麻布でサッカー部に入っています。子どもたちの気持ちが突然変わることはあるのです。だから部活を中心に学校を探していたら全然違う部活の方がいいと思ったとか、入試の日の朝、先輩に優しくされたので、その学校がすごい気になってしまったとかもあり得ます。
 
一番困るのが「やっぱり共学がいい」と突然言われたときです。これも「勇者たちの中学受験」でありました。その中で男の子が「男子校より共学がいいな」と全部の入試が終わったあとに言っていました。実際にこういうことはあるのです。6年生にとっては、これから多くの学校を見ることは難しいと思うのですが、現在5年生のご家庭でこれから志望校を探していこうとしているなら幅広く見ていくといいでしょう。入試も強気のパターンと安全なパターンと両方考えておくべきです。最初のうちは行きたい学校だけ受けると言っていて厳しめの併願を組んでいたのですが、合格が取れないと子どももきつくなって前の日の夜に電話かかってきたことがあります。そこで親御さんから「先生、明日受かる学校を教えてください」と言われたこともありました。やはり色々な準備はしておいた方がいいのです。



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