完全スマホCamera(LM-Cam)での中継を実施。

フジテレビ様がついに

日本のテレビのキー局といえば、放送業界を引っ張ってきた方々だけに、映像品質クオリティーには相当な自負も実績もお持ちの会社ですが、コストダウンをして裾野を広げるという趣旨かとは思いますが、パートナーの株式会社ユニソンシステムズ経由LiveMediaに完全スマホベースの中継の依頼がありました。

配信の概要

対象となった中継は、春高バレー。主にスマホを使い、カメラマン付き及びハンディカメラもついた日立市での運用は次のようなものでした。

配信のシステムとしては以下の1から4の要素がメインのシステム。(システム構成図は以下の通り)

  1. メインのカメラはiPhoneのLM-Camアプリ

  2. ネットワークは基本有線LANと無線Wifi (11ac/ax) 。伝送方式はSRT/HEVCを選択。

  3. 配信用スイッチャー及びスローはvMix + PC (i9 12core相当)+CGはフジテレビ様独自の春高バレー専用のもので別PCを用意。

  4. 外部へのネットワークはSIMを6枚挿したDejeroを用意

カメラは縦(固定)と横(カメラマン操作)共に2階より、ハンディ1台(カメラマン操作)1階競技場レベルと、縦カメラの横にスコアー確認用のカメラを1台、合計4台。
・ 男女2試合を配信
・ 縦カメと横カメは有線LAN、ハンディと得点は無線(Wi-Fi)
・ 横のカメラをメインカメラとし、基本首振り+若干のズーム
・ 縦とハンディカメラを適宜スイッチ+スロー用として利用。
・ 配信映像としては、縦、横、ハンディにスロー、+CG (対戦カード、点数+セット数など)で構成。
・ 配信先はスポーツ専門のライブ・アーカイブ配信サイト

システム構成図

システム構成図は以下の通りで、基本は全てIPでのネットワークで、SDI/HDMIは使っていません。なので、LAN線を縦カメ・横カメまで引いて養生するだけです。あとはDejeroの通信状態の良い場所において、ネットワークを構築するだけですが、これも配信基地の隣でも十分な帯域が確保できていたので、数メートルのLAN接続です。

4カメ構成・システム図/日立
縦カメラ(LAN+電源)
縦カメラ + 得点カメラ

・ 縦カメラ iPhone ProとLM-Camを利用。LAN + 電源を接続。
・ 得点用カメラは光学+デジタルズームでアリーナ反対側の得点ボードを撮影。

横カメラ

・ 横カメラもiPhone ProとLM-Camを利用。LAN + 電源を接続。

横カメラ

・ ハンディカメラはwifi で対応。電源は内蔵電池を利用していたが、電源容量の問題もあり、1試合毎に充電対応。

ハンディカメラ

・ 配信ベース スイッチ及び配信システムとしてはpcベースのvMixで実施。基本このpcでスイッチ(左のモニター)及びスロー(右のモニター+キーボード)を実施。

配信ベース

・ 配信用ネットワークはDejeroを利用。SIM6枚での4G通信ですが、6回線の強い部分の良いとこ採りですので、周りに観客が増えてもそんなに影響は受けず、安定した伝送が確保できるのが特徴。

Dejeroベース本体とipad(LM-Camリモコン用)

特に拘られたポイント

  • まずは画質ですが、iPhoneのカメラそのものは素晴らしく、LM-Camアプリで機能も色々追加されていることもありクリア。

  • 遅延については、スマホ画面からpcのスイッチャーソフト(vMix)までの遅延を確認されていました。計測結果400msec以下での遅延でクリア?

  • システム(主にカメラとpc)の安定性には、相当な質問や課題を貰いました。pcでの運用だったこともあり、ホットスタンバイの用意や回線(Dejero部分)の冗長化、カメラ+iPhoneそのものの安定性など課題は少しづつあるも、夫々クリアー。なお、スマホからの伝送はNDI-HXとSRTという選択肢がありましたが、今回はwifi を利用したハンディカメラもあ、無線での安定性を重視してSRTでの運用を実施。

  • 冗長性については、やはり機材トラブル、ネットワークトラブルなどの可能性もあり、上記のシステム的な冗長性も議論となりましたが、最後のカメラ素材(iPhone録画)や黒白の素材録画を提供することでクリア。

  • アップリンク用ネットワークの安定性:これは基本wiredが一番ですので、我々としてはフレッツをお薦めしています。今回はフレッツが難しいということもあり、携帯ネットワークのDejeroを利用でクリア。

総括

 我々がスポーツのスローオペレーションに慣れていなかったこともあり、途中でバタバタしたことがありましたが、無事4カメ+1スローの中継を無事に実施出来ました。映像はスポーツブルさんのアーカイブ配信をご覧ください。日立市の茨城県決勝戦が我々の担当です。

 実際には一部デジタルズームのこともあり4Kでの撮影を行うこともトライしていたのですが、一部安定しない部分があり、今回はHDTV画質での運用に特化。結果中継は安定していました。

 スローを2カメ(縦カメラ+ハンディ)で運用をしましたが、スローオペレーターさんの慣れ次第ではありますが、横カメラもスローに入れるとさらに面白い画が作れるかと感じています。

今回はこのようなスマホオンリーの中継にチャレンジして頂いたフジテレビの方々に感謝!です。
また、このシステムの販売統括を行なってくれているユニゾンシステムズさん、オペレーションの協力をしてくれたHULAさん、データスタジアム様に感謝です。

余談

SRT/HEVC + HDTVの運用では安定をしており、基本wifiだけの運用でも大丈夫だと判断しています。(勿論その場合はwifiの干渉などのチェックは欠かせませんが。)

4K映像の課題は見えていますので、恐らく年内には解決させます。これが実現すると、デジタルズームでの運用も視野に入ってきますので、

vMixの機能より、今回はSRTの入力が直接スローに入れられないのですが、次期version upでSRTもスロー入力にできるようですので、楽しみです。



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