見出し画像

出会い方

 ぼくが高1のときにマイケルジャクソンは死んだ。教室では朝からその話題で持ちきりだった。それまでマイケルジャクソンのことはよく知らなかった。ただ,ちっぽけな自分ですら偉大だと言われていることを知っていた。そんな人が死んだことの衝撃は少なくなかった。
 彼が死ぬまであまり曲を聞いたことはなかった。母が彼のことをよく思っていなかったのだ。母は自分の感情で話すことが多かった。今思い返すと,無意識の差別者であった気がする。母は彼の容姿を気味悪がっていた。容姿の印象から勝手に良くないイメージを持っていた。まだまだ子どもだったぼくには,そうやって伝わってきた。だからぼくは,マイケルジャクソンは良くない人だとずっと思っていた。
 確かに彼の生涯は,非難されるべきこともあった。それ以上に偉大なものを残したことに気がついていなかった。もっと早く,彼が生きている間に気がつけたらと後悔した。彼が死んだからこそ気がつけたのかもしれないのだけれど

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?