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そうだ、作詞してみよう

昔々、知人のバンドのオリジナル曲に
作詞を提供していたのがキッカケで
舞台音楽家からも声がかかり
アルバムを2枚ほか30曲ほど携わり

その後、また別の音楽家から
合唱曲の詞も書いて欲しいと言われ
東海地方の街の合唱団に
3作提供した経験があります

まさか自分の詞にメロディがつくなど
考えたこともなかったのですが
ネット上の
作詞愛好家のグループに所属した途端
作曲家に気に入ってもらえて
トントン拍子で世界が広がってゆきました

作詞は、大きく2つに分かれます

詞先か、曲先か、です
文字の通り、言葉に音符をつけるか
音符に言葉をつけるかで
多くの場合が、曲先です

いずれにしても
作詞家と作曲家の創造性は
完全に一致することはなかなかないので
【仲良く】擦り合わせが行われます

【仲良く】?

個人的な受け止め方なのですが
作曲家の方が、立場が強いです
特に編曲もあわせて作曲家がするとなると
ますます立場が強くなる

なので、ここ違う表現にしてもらえない?
とかはしょっちゅうでした

きぃー
なるならシンガーソングライター一択です

① 作詞の仕方 依頼内容を確認する

作曲家から依頼を受けたら
どんなイメージで曲を作ったのか
どんなシチュエーションで歌うのか
確認することにしています

俺の依頼主のほとんどが
小さなライブハウスか
カフェのステージセッションだったので
空間的にもコンパクトで
割合、イメージしやすかったです

ボーカルが紅茶専門のカフェの女主人で
シンプルな大人の女性が主人公
という依頼があって
これはすごく作りやすかった

内容は、紅茶にまつわる単語をかき集めて
そこに無理やり男女の情事を
ねじ込めばいいのです

ピーンときたので
すぐに詞先を要望しました
作曲家はすでに曲できてたみたいだけど
作り直しを強要
はじめて作詞家が勝った瞬間で
後にも先にもこの一度だけでした

その時できたのがtea markerという曲
稀にある直感的なものは
謎にうまくいくものです

tea marker

Aメロ

湯気たつ紅茶のティーサーバー
ひとりの今朝は たおやかだった
2Lサイズのカーディガン
今では家着にかかせないわ

Bメロ

ラジオや雑誌で あなたの名前を見つけたら
私はとても 幸せよ

サビ

あなたの知らせを 信じた日から
私は自分を歩き出す

Aメロ

去年はキルトのティーコジー
あなたが夢を 引き寄せた冬
寒さがほどよくミルクティー
今ころ思い出しているでしょう

Bメロ

カエデやツツジに 香りをのせて啜れたら
私はそれで 幸せよ

サビ

あなたの未来を 信じた日から
私は自分が好きになる

ブリッジ(この曲の場合はBメロ)

注いだカップに 涙ひと雫これからも
私はずっと 幸せよ

サビ

互いの暮らしを選んだ日から
私は自分を歩き出す

詞先の場合は、分かりやすい形と文字数の厳守
そして、なるべく韻を踏んで
メロディをつけやすく作ります

思いやり♡

②  作詞の仕方 場面設定

まず曲の構成というのがありまして
ポップスの基本形は
Aメロ→Bメロ→サビ
Aメロ→Bメロ→サビ
ブリッジ→サビ、です

この構成でいくと
最初のAメロで物語の場面設定を
しっかり作り上げます

これができないと、歌にならないんです
アンカリングですね
ドラマと一緒

↑のtea marker
であれば、ひとりの今朝、家着
という単語から自分の家を

湯気たつ紅茶、カーディガンで
寒い季節なんだな、と誘導してゆきます

主人公は女性で未婚?
2Lサイズのカーディガン、から
オーバーサイズの服を着ているなんて
それもしかして、彼氏のじゃないの?
とそこまで想像してもらえたら

大成功

こんな風に、イメージを誘導できるよう
極力コンパクトに仕上げるのが
作詞の面白いところです

③ 作詞の仕方 物語を動かす

場面設定が終わったら物語を動かします
Bメロでは、主人公の主観を入れて
時間の流れを作りました

彼氏が何かに頑張っていて
主人公はそれを微笑ましく思っている
という過去と現在の時間の移ろいです

④ 作詞の仕方 毎回、収める

さぁ曲のクライマックス、サビです
1番と2番の区切りですから
ここで一旦、話を終わらせなければなりません

1番と2番にまたがって
だらだら別れたら、気持ちが悪くなります

そこで↑では
主人公は朝のひと時を終え
朝の支度と同時に、人生をも動かしだしました
ちゃんちゃん、と
無理やりたたみかけました

ふむふむ、なかなかポジティブで
清々しい感じ、自画自賛

それでは、2番は
物語をもうちょっと深堀りしたい
ポジティブだけの応援歌もいいですが
ちょっとだけ本音を入れて
切なくしてみたくなりました

初めから初冬に設定したのは
センチメンタルにするためです

Bメロの最後、幸せよ、が
1番とはまた違った、幸せよ、に
感じられる様にしたかったのでした

と、いった具合に
詞は作られていきます
文字数に限りがあるので

普段から2文字、3文字、4文字、、、と
それぞれキーワードをかき集めておくんです

特に3文字と4文字の単語は
詞を制すると言われており

なぜ、君、明日、雨
なぜに、あなた、明日、小雨
どうして、あなたに、次の日、どしゃ降り

メロディが3の倍数や4の倍数で
作りやすいんでしょうか
その辺はよく分かりませんが
これらのフルコンボで
詞は出来上がってゆきます

これを読んだ方が
もしこの先、歌詞を作ることになった時
参考になれば

幸いですwww

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