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ポケモンワールドチャンピオンシップス2018の記録【① デッキ選択(環境把握&練習記録)編】

 夜分遅くにこんばんは、朗です。
やっとまとまった時間が取れたのでワールドチャンピオンシップス(以下:WCS)2018の記録を書いていこうと思います。

 これから書くのは私が今年のWCSへ参加した際の様々なレポートが中心となりますが、折角なので日本のものとは大きく異なるWCSにおける大会形式・レギュレーションに向けて勝つために私がやってきたことも色々と書いていきます。この記録が来年以降のWCSに参加する予定がある方々、もしくはWCSへの参加を目指している方々に対して何かしらの参考になれば幸いです。よろしくお願いします。

項目としては以下の6つに分けて書いていきます。

【① デッキ選択(環境把握&練習記録)編】
【② WCSまでにポケモンカード以外で準備したこと編】
【③ 出国 ~ Day0編】
【④ Day1編】
【⑤ Day2(本戦レポート)編】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<上記まで執筆済
【⑥ Day3 ~ 帰国編】

ということで早速、① デッキ選択(環境把握&練習記録) 編から書いていきましょう。

《① 6/10 WCS2018へ向けてついに準備開始 まずは環境デッキとカードプールの把握から》

 6月10日にジャパンチャンピオンシップスが終了し、WCSへの挑戦を決心してから最初に取り掛かったのはWCS2018における環境を把握するところからでした。私はジャパンチャンピオンシップスを終えるまで自分が本当にWCSへ挑戦するのかどうかを決めかねていた状態だったため、それまで環境把握というものはほとんどしていませんでした。というか、この時点ではWCS2018におけるレギュレーション自体をあまり把握してなかったどころか、具体的なカードプールすらもわからずあらゆるものが頭の中でとにかくふわっとしている状態でした。

 私はWCS2018が開催される約1年前というかなり早い段階でWCSへの参加権利を獲得することができました。それにも関わらずもっと早い段階からWCSへ向けての準備に取り掛かることができていなかったのは、今思い返してみると反省点の1つとして挙げられるかもしれません。ポケモンカードにおける環境把握もそうですが、WCSへの参加を決心した時から自分が今できそうなことがあればなるべく早い段階から時間をかけて様々なことを準備しておいて損はないと思います。

 特に今日ではインターネットを通して情報を発信して下さる方々がとても多く増えたので、海外におけるポケモンカードの公式大会等の結果やデッキレシピなどの情報はわりと容易く手に入ります。それらをWCSが開催されるまでの長い期間にできるだけリアルタイムで追っていければ、海外の有名プレイヤー・チームのデッキ選択などの動向や環境推移の傾向をつかみやすいのではないかと思います。私はそれを2ヶ月ぐらいひたすら手探りでやっていたので、正直それだけでも大変でした。

 それともう1つ大変だったことといえば、WCSで使用することができるカードプールを確実に把握することができたのが、タイミング的には7月中旬と少し遅くなったことです。6月に環境把握を始めた時点では「WCS2018 におけるカードプールは日本で発売されているタイトルで表すと、赤い閃光・青い衝撃(XY8)~裂空のカリスマ(SM7)だろう」と言われていたのですが、海外ではWCS2018までに日本で発売されていたドラゴンストーム(SM6a)のカードが収録されないとの情報がありました。また、チャンピオンロード(SM6b)のカードももしかすると一部使えないのではないかという情報もあったので、正確なカードプールが把握できるまでは「このカードは本当に使えるのか?」いう不安が付きまとっていました。

 7月中旬になり公式からWCS出場選手へ向け、大会における形式・ルール・レギュレーションが記載された分厚い封筒が送られてきたことで、やっとWCS2018における正確なカードプールを把握することができました。懸念していた通りドラゴンストーム(SM6a)に収録されていたカードは使用不可で、チャンピオンロード(SM6b)も一部使用不可でした。しかしながら、これらの決定事項が自身の環境把握やデッキ選択において考えを大きく揺らがせるものになったかというと、正直そういうわけでもなかったかもしれません。いわゆる杞憂というものに終わりました(笑)

 とはいえ、日本と海外ではカードタイトルの登場タイミングが現在もなお約3ヶ月ずれているので、これからWCSへ向けて準備をしようとしている方々はこういうこともあるということを頭の片隅に置いておくといいかもしれません。

《② 6/11~6/30 仙台にてWCS2018レギュレーションで組んだデッキを試運転》

 6月中旬、手探りながらも大体のカードプールを把握しながら、海外における各大会の動向を見ていて気になったデッキがいくつかあったので早速真似をして組んでみることにします。この頃に組んでいたのはマッシブーンルガルガン、ゲッコウガスターミー、エーフィーダストダス、ウルトラネクロズマカラマネロ、ゾロアークグソクムシャ、レックウザラティアス辺りでした。

 特にマッシブーンルガルガンに関しては当時の日本で流行していた構築とは全く違うもので、非GXのマッシブーン(sm5+)を3,4枚積んで、マッシブーンGXは1,2枚だけ積むという非常にセンセーショナルなものでした。また、この頃の日本ではジャパンチャンピオンシップスを終えた直後ということもあり、多くの日本人プレイヤーがXY1~SM7という広いカードプールでデッキを組んでいたため、構築・プレイングなどの常識がそこから抜けきっていなかったのです。私もその内の1人でした。だから、海外の大会で結果を残しているあらゆるデッキタイプと構築を見ても、いまいちそれらの強さがわからず戦うイメージもつかむことができなかったため、この頃は海外で配信されていた対戦動画をとにかく沢山見て、WCS2018環境で戦うイメージを学んでいました。ある程度のレベルで環境を把握できるようになるまでおそらく1ヶ月はかかったと思います。それぐらい日本と海外の環境の溝を埋めるのは大変でした。

 また、私の場合はWCSへ向けての練習をする上でも色々な意味合いで大きな苦労がありました。1人で海外環境を考察し、1人回しなどする自主練習はできますが、1人でできることには限界があります。WCSへ向けて本気で準備をし始めた頃の私には、実は一緒にWCSへ向けて練習できる相手があまりいなかったのです。

 私の地元である宮城ではその頃からもポケモンカードが盛んでプレイヤーもそこそこいたのですが、ポケモンカードで今年のWCSへ出場するのは宮城はおろか東北地方ではチームアチャモの油さんを除くと私だけでした。その上、当時の私が所属していたチームであるチムLOLIでも今年のWCSへ出場することになったのは私だけ…だから、WCSに向けて本気で頼れる人が私の周りには身近にいなかったのです。ちょうどこの頃は多くのプレイヤーが、9月から新たに始まるスタンダードレギュレーション(SM以降)に向け、使用するデッキを移行している時期でもありました。そういった影響もあり周りのプレイヤーはみんな新たな環境(SM以降)に向けてそれぞれ模索をし始めていたので、私は自分自身だけのために「WCSに向けた練習に付き合ってほしい」と誰にも声をかけることがなかなかできずにいました。

 しかしながら、そういった孤軍奮闘し続けかねない状況下でありながらも地元宮城のプレイヤーであるシゲル君・リョーガ君・さくさん・カイリさんが声をかけてくれて、私が持ってきたデッキをスパーリング相手として回してくれたり、WCS2018レギュレーションのデッキを組んできてくれたりするなど、身近にいる貴重な練習相手として付き合ってくれました。今思い返しても彼らの存在は本当に有難かったです。

 他にもジムバトルへ自主的にWCS2018レギュレーションで出ていたこともありました。この頃は移行期間ということもあり、XY1~SM7、SM以降など様々なレギュレーションのデッキがジムバトルでマッチアップしていましたが、自身がWCS2018環境におけるデッキの勘を磨くには1人回しよりもジムバトルで誰かを相手にして実践している方が生産的でした。そうやって私は地元で6月中旬から7月中旬にかけての期間、WCS2018環境における見識を深めていきました。

《③ 7/1 より本格的なWCSへ向けた練習場所を求め愛知県で行われるGGCに参加》

 6月下旬になり、練習を重ねていくうちに段々と感覚が掴めてきたので、私はもっと本格的に練習できる場を求め、7/1に愛知で開催されるGGCへ思い切って参加することにします。愛知にはジュニア・シニア・マスターの各カテゴリからWCSへ出場される選手が多くいたこと、この時のGGCが当時の日本で初めてWCS2018と同じ大会形式(BO3)かつ同じレギュレーションで行われる自主大会だったこともあり、参加して得られるものが沢山あるだろうと考えました。また、そのタイミングで普段から特にお世話になっているプレイヤーであるTAMAさん(※千葉在住)ともWCS2018レギュにおける相談などをし始め、私のWCSへ向けた練習は新たな段階を迎えることになりました。

 GGC開催前日は大須にあるカードショップであるダイスロールさんにて1日中様々なプレイヤーとWCS2018環境の対戦をさせて頂きました。地元を飛び出してWCSへ向けて練習を積み重ねているプレイヤーに囲まれての初対戦は、その時の自分にとってはとてつもない刺激であったことは今でもよく覚えています。やはり身近にWCSへ向けて練習できる相手が1人でも多くいるというのは心強いものなのです。その環境を羨ましく感じながらも、私はその時の自分ができることを精一杯やっていました。実際のところはほとんど負けてばかりでしたけどね(笑)

 そして迎えたGGC当日…この日の参加者のほとんどはおそらく私と同じようにWCS2018環境のデッキを手探りで組んできたと思います。この頃の海外環境ではまだ禁断の光(SM6)までしか登場していなかったため、レックウザGXや戒めの祠を始めとする一部の強力なカードは加わっていなかったのです。そのため大会中のデッキ分布や環境もどうなるか正直よくわかりませんでした。

 それならば広く様々な相手を見られるようなデッキを使ってみようと思い、この日の私が握ったデッキは「ゾロアークGXジュペッタGXグソクムシャGXマッシブーンカプ・テテフ」という、自分らしいごちゃごちゃしたデッキ(笑)になりました。

1戦目 〇〇- アーゴヨンGXツンデツンデGX(にいなちゃん)
2戦目 〇×〇 レックウザGXラティアス◇(竹内ピストルさん)
3戦目 〇×〇 メタグロスGX黄昏ネクロズマGXディアルガGXダダリン(チップ君)
4戦目 ×〇× ゲッコウガBREAKスターミー(てっぺ君)
5戦目 ××- カラマネロウルトラネクロズマGXミュウ(うおんさん)

 結果は3勝2敗で、大体真ん中より少し上の成績とあまりパッとしませんでした。しかしながら、このデッキには確かな手応えを感じることができたのでしばらくはこのデッキタイプを煮詰めることにします。ちなみにこの日に一緒に出場したTAMAさんは、海外環境におけるルガルガンゾロアークに興味を持ったらしく、海外大会で優勝した完コピデッキで4勝1敗だったそうです。この頃はまだ、自分がWCS2018でルガルガンゾロアークを使うことになるだなんて、冗談抜きで想像していませんでした。


 GGCを終えて地元に戻り、7月上旬を過ごしているタイミングで、東京にて行われている自主大会であるMTリーグとポケカメモ杯がWCS2018レギュレーションでやることを知ります。この頃にはもう自分にとって本格的なWCSの練習ができる場所がとても貴重であるという認識ができていたので、無理くりではありましたがスケジュールを調整して自分が参加できる自主大会には全て参加することに決めました。

 今後の練習の場が東京中心になるであろうことを見据え、TAMAさんとの連携も次第に深くなっていきます。そのためGGC以降に参加した7/22と8/4にそれぞれ行われた2回のMTリーグ、8/11に行われたポケカメモ杯では「治験(笑)」と題して、私がその日に使いたいと思っているもう1つのデッキを彼に使ってもらうことになりました。これは彼から提案された試みですが、その後の自身のデッキ選択に対して迷いがなくなる判断材料として、とてつもなく大きな物になりました。

 また、7月中旬を迎えるタイミングで、WCS2018前に大規模で行われるものでは最後となる大会が北米であり、ゾロアークGXダストダスが優勝、ゾロアークコントロールが準優勝し、共に大きな話題を呼んでいました。当然、WCS2018環境を模索し続ける日本人プレイヤーにもそれらの結果は大きな衝撃を与え、ここにレックウザGXなどが加わる予定もあり、この環境がどのように動いていくのかより一層誰にもわからなくなっていきます。

《④ 7/22 東京で行われたMTリーグに出場するも惨敗…そこで運命のデッキと出会う》

 時間は流れ、7/22に行われた1回目のMTリーグを迎えます…この自主大会が私のWCS2018への挑戦において最も大きなターニングポイントになりました。

 この日の私が握ったデッキは「ゾロアークGXグソクムシャGXジュペッタGXマッシブーンカミツルギGXカプ・テテフ」とGGCで使用したデッキタイプの系譜を辿ったものになります。実はGGCではジュペッタラインが2:2でグソクムシャラインが1:1だったのですが、よりダストダス系統を厚く見ようとGGCで使用したものからジュペッタ・グソクムシャの各ラインをそれぞれ逆の配分にしてみました。それとこのデッキができることを増やしてみようとカミツルギGXも採用しました。

1戦目 〇〇- ゾロアークGXダストダス(しゅん君)
2戦目 ×〇× ゾロアークGXダストダス(おかぴ君)
3戦目 〇×〇 ゲッコウガBREAKオクタン(ししゃもさん)
4戦目 ×〇- ニンフィアLO(ラキちゃん)
5戦目 ×〇× マッシブーンルガルガンGXオクタン(はるき君)
6戦目 ××- ゾロアークコントロール(ゆうた君)

 結果は2勝3敗1分で真ん中よりも低い順位…TAMAさんにはレックウザGXラティアス◇カプ・コケコGXを使ってもらったのですが、こちらも3勝3敗とちょうど真ん中辺りのパッとしない成績で、明らかに自分がこの環境についていけていないことを痛感させられます。

 特にショックだったのは本命としていた自分のデッキがマッシブーンルガルガンに勝てなかったこと。ゾロアークダストダスへ対しての意識を強くしすぎたせいで、元々のコンセプトならば勝てると思っていたデッキに勝てなくなっていったのはあまりにもショックでした。さらに言うと、このデッキはダブル無色エネルギーとレインボーエネルギーしか採用していないため、複数回改造ハンマーを打たれることに弱すぎるのだとやっと気付かされます…その気持ちは特にゾロアークコントロールとの対戦で思い知らされました。しかも、この頃には既にゾロアークを中心とするデッキに、ほぼ必ずといっていいほど改造ハンマーが入ってくるであろうことが、容易に想像できるようになっていたのです。私が最も力を入れて調整していたこのデッキにとっては、知らず知らずのうちに強い向かい風が吹いていました。

 自分が好きなごちゃごちゃしたデッキで相手を翻弄して勝利を目指す攻め方ではこの環境は勝ち抜けない…だけど、できることならば世界の舞台でも自分らしい攻め方ができるようなデッキで戦いたい…でも、このやり方じゃ自分はWCSで勝てない…そういったジレンマが自主大会中にも関わらず私の頭を揺さぶっていました。1ヶ月もの間、WCSはこれでいくぞ!と決めていた自分にとって、この事実を受け入れるのにはかなりの勇気がいりました。

 そうやって悶々としている中、何かしらのヒントを求めようとしていたのか、気が付いたら私は親子でWCSへ何度も挑戦した経験があるkiraさんとつかつかさんとお話をしていました。私の様子を見たkiraさんからは「我々の毎年の苦労がわかったかい?(笑)」と冗談交じりに言われちゃいましたね。

 でも、その後kiraさんに「朗君のやりたいスタイルはわかるけれど、このBO3という形式ではその力を発揮するのは難しいと思う。あまり詰め込め過ぎずもっとシンプルなデッキを考えてみるといいんじゃないかな」というアドバイスをして下さり、つかつかさんからは「うちの息子も去年は連敗からスタートしたけれど、最終的には連勝して上位に入賞できたから意外とやってみないとわからないものだよ」というアドバイスをして下さいました。

 ちょうどつかつかさんの息子さんであるしゅん君とはこの日の1戦目に対戦して自分が勝っていたのですが、その後に彼は全勝してそのままこの日のMTリーグ優勝者になりました。言葉通りのことがまさに目の前で起こったのです。これまでWCSの苦労を経験された2人のお父さんプレイヤーの言葉はとても重みがあり、その時の自分にとってはとても心に響くものでした。

 また、同じタイミングで決勝トーナメントを観戦していてとても気になるデッキがありました。それはこうと君というジュニアプレイヤーが使用していたルガルガンゾロアーク…何が気になったって、ルガルガンGXを採用しているにもかかわらずタイマーボールではなくシンカソーダを積極的に使って盤面を整えていたことです。自分の中ではルガルガンGXはブラッディアイを使ってなんぼのような感覚があったので、タイマーボールではなくシンカソーダを使ってイワンコから進化するルガルガンGXは自分の中では衝撃的だったのです。

 しかも、彼のデッキの中にはしっかりと基本闘エネルギーが入っているだけではなく、ゾロアーク(XY8)・ニンフィアEX・マッシブーン・ミュウツー・ミュウEX・改造ハンマー・マルチつけかえ・リバースバレー等、とにかく色々なカードが入っていて、自分の中にあったルガルガンゾロアークにおける常識のようなものが崩れたような気がしました。このルガルガンゾロアークを使用したこうと君は、この日のMTリーグで準優勝しました。

《⑤ 7/23~8/3 ずっと大嫌いだったルガルガンゾロアークデッキと向き合った2週間》

 1回目のMTリーグを終え、次のMTリーグに臨むまでに2週間ありました。私はその期間を使って、今まで使う気が全くおきなかったルガルガンゾロアークというデッキを、自分なりに精一杯解釈して次のMTリーグで実際に使ってみるということに決めました。この決断をするまで正直ものすごく迷いました。実は私がこれまでルガルガンゾロアークというデッキを使わなかったことに関しては、明確な理由があったのです。それは私がルガルガンゾロアークというデッキがとにかく大嫌いだったということ…これに尽きます。

 いや、何が嫌いかってこれまで(※XY1~SM7レギュの話です)のルガルガンゾロアークというデッキって、ルガルガンGXが積極的に戦うデッキというよりも、ゾロアークGXが戦ってルガルガンGXはブラッディアイでゾロアークGXの戦うサポートをする、ゾロアークGXが倒しにくい相手をデスローグGXで一撃でぶっ飛ばす、相手のゾロアークGXを倒すためにルガルガンGXが戦う…そういうスタイルがとにかく嫌だったんです。

「ルガゾロはルガルガンデッキではなくゾロアークデッキだ!」

というこだわりのような哲学が自分の中にありまして…だから、ルガゾロというデッキを使うことには嫌悪感があったのです。ちょっと何言ってるのかわからないと思いますが、すっごく簡単にまとめると「私が使いたいのはゾロアークがメインのデッキじゃない。ルガルガンがメインのデッキが使いたいんだ」とかいう、この面倒な気持ちをクリアできなければ私の中ではルガルガンゾロアークというデッキを使うという選択肢はありませんでした。

 でもね、レギュレーションが変わると見え方が変わることがあったんですよ。WCS2018環境ではスカイフィールドがなかったためゾロアークGXがメインアタッカーとして戦い続けることが難しいのは、この頃の自分はちゃんと理解できるようになっていたのです。そして何よりも、MTリーグでこうと君が使っていたルガルガンゾロアークデッキには、ゾロアークGXではなくルガルガンGXが積極的に戦うことでゲームテンポを取ることか可能であるというとてつもない魅力がありました。

「ルガルガンGXがメインアタッカーとして戦うためにゾロアークGXがサポート役として共に戦う…これは自分の大好きな攻め方ができるルガルガンデッキになりそうだ!」

 そう確信してからは、自分が作れるルガルガンゾロアークデッキをひたすらに考えました。それと7月に発売したGXスタートデッキによりルガルガンGXのノンキラが登場したことも追い風になりましたね。キラカードよりもノンキラカードが大好きな私の心に火がついてくれたようで、気が付いたらノンキラのルガルガンGXを何としてでもWCSで使ってやるぞという万人には理解しがたいであろう動機までできていました。こういった巡り合わせというものはいつどこで生まれるかはわからないものです。

 また、同時進行で今後の環境推移における理解度も次第に深まっていったように思います。8月上旬の時点ではとにかくマッシブーンルガルガン・ゾロアークダストダス・ゾロアークコントロールの3つに勝てなければ、使用するデッキとしてお話にならない…そういったように考えていました。そうなると、次のMTリーグとポケカメモ杯でTAMAさんに握ってもらうデッキの流れも決まっていきます。

《⑥ 8/4 2回目のMTリーグ WCSへ向けてルガルガンゾロアークで再スタート》

 8月に突入し、いよいよWCSまで1ヶ月を切ります。この頃には有難いことにWCSへ向けて練習できる相手が増えていって、GGCの頃にお声かけをしてくださったTOMさんの計らいで、同じくWCSへ出場する名古屋のジュニアプレイヤー ニコちゃん、お姉ちゃんのラキちゃんとも練習することがありました。2回目のMTリーグに参加する際には、前日と当日にTOMさんのお宅に泊めて頂いたこともあり、普段はなかなかできないような練習ができたのがとにかく楽しかったのをよく覚えています。

 そのまま迎えた2回目のMTリーグでは、上記の書いた流れの通り「ルガルガンゾロアーク」を使用しました。

1戦目 ×〇× ルガルガンGXゾロアークGX(はるき君)
2戦目 〇×△ マッシブーンルガルガンGX(しゅん君)
3戦目 〇〇- ゾロアークGXダストダス(KC君)
4戦目 〇×〇 マッシブーンルガルガンGX(はやと君)
5戦目 ××- ゾロアークGXダストダス(さえこちゃん)

 結果は2勝2敗1分で大体真ん中ぐらいの成績…だったのですが、自分の中では不思議とGGCの時以上に手応えを感じていて、ここからさらに明確な改善点が見つかったぞ!といったような前向きな気持ちになれていました。

 また、TAMAさんにはマッシブーンルガルガンを握ってもらったのですが、彼は予選3勝1敗1分から決勝トーナメント全勝でその日のMTリーグ優勝者となりました。それを見て何となく自分の中にはWCSへ向けて良い流れが来ていると強く感じることができたので、次のポケカメモ杯に向けてはこのスタンスで行こうとこのまま決めることにしました。

《⑦ 8/11~12 ポケカメモ杯&突発練習会 国内最終調整を終えて迷いがなくなる》

 翌週、今度はポケカメモ杯です。私にとってはこういった自主大会形式で実践的な練習ができる最後の機会でした。ここで使用したデッキはもちろん「ルガルガンゾロアーク」です。前回のMTリーグで見えた改善点を活かすべく3枚だけ差し替えました。

1戦目 〇×× レックウザGXラティアス◇カプ・コケコGX(みなき君)
2戦目 〇×〇 マッシブーンルガルガンオクタン(ニコちゃん)
3戦目 〇〇- ゲッコウガBREAKオクタンスターミー(くろたか君)
4戦目 〇×× レックウザGXダストダスフェローチェGX(つかつかさん)
5戦目 〇〇- ゾロアークGXダストダス(キョウジ君)
6戦目 ×〇△ ゾロアークGXダストダス(しゅん君)

 結果は3勝2敗1分で真ん中よりちょっと上…WCS環境の自主大会に4回参加しましたが、最後まで秀でた成績を収めることはできませんでした。しかしながら、このポケカメモ杯を通して自分の中の迷いが無くなっていることを実感しました。ちなみにこの日にTAMAさんに使ってもらったのは、実は自分のものと1枚違いのルガルガンゾロアーク…4勝2敗だったようです。彼がそれぞれ対戦したレポートを見て「これはいける」と確信しました。

 また、自分が考えるWCS2018における環境予測においては、ルガルガンゾロアークで臨むことはデッキタイプの立ち位置的に賭けにはなるだろうが、おそらく当てられるだろうという自信も持てていました。仮にもしものことがあってルガルガンゾロアークを信じられなくなった時は、マッシブーンルガルガンかレックウザラティアス◇カプ・コケコGXを使う気でした。だけど、ルガルガンゾロアーク意外のデッキを使っている自分のビジョンが、ここではもう全く見えなかったんですよね。

「このルガルガンゾロアークならばWCSでも自分らしい戦い方ができる…自分はこれでWCS2018を戦いたい!」

 ポケカメモ杯が終わる頃にはその気持ちがこれまでで最も強くなっていたと思います。

 そして、その翌日には私、ニコちゃん、ラキちゃん、TAMAさんに加えて、同じくWCSへ出場するうおんさん、Mocky君とそのお友達のけいさんの7人で突発練習会を行いました。WCS2週間前ということもあり、ある程度煮詰まったデッキとプレイングをもって、それらを本気でぶつけ合う調整を時間の許す限りひたすら繰り返します。

 この時に解散時間ギリギリまでうおんさんとスパーリングをしていたのですが、「それルガ」で一世を風靡した彼から、自分のルガゾロとプレイングを良く評価してもらえたことがWCS2018のデッキ選択における最後の大きな決定打になりまして、気が付いたら「僕が世界で『それルガ』をやりに行きますわ!(笑)」とお話していました。

《⑧ 8/13 WSC2018に向けた国内練習を終えてから》

 ここで私のWCS2018へ向けての練習は終わりました。一応、WCSへ出発するまでに残り10日間ほどあったのですが、地元に戻ってからはもうこれほどまでにしっかりとした練習ができるとは思えなかったので、ポケモンカードに関してはここまでやってきたことを自分のことを信じて、残り期間はずっと後回しにしていたポケモンカード以外の準備に取り掛かることにしました。

 振り返ってみるとあっという間に2ヶ月が過ぎていったように思います。右も左もわからずどうやって臨めばいいのかわからないWCSに向けて、最初の1歩を歩み出した頃はとにかく不安でいっぱいでしたが、最後の練習を終える頃には自分がやれるだけのことはやったと思えるレベルに達することができたと思います。

 そして、何よりも最終的には一緒にWCSへ向けて練習できる相手が沢山できたことが本当に嬉しかったですね。この期間を通して、普段はなかなか関わることができない様々な地方の方々と共に高めあうことができました。WCSのために思い切って地元を飛び出してあちこちへ行った甲斐があったと思います。

 この期間、お世話になった全ての方々に感謝です。本当にありがとうございました。


 …と、ここまで日本で行っていたWCSに向けた環境把握&練習記録の記事を長々と書いてきましたが、実際に参加した記録などのメインディッシュはまだまだこれからです。

 その前に、次回はWCSまでにポケモンカード以外で準備したことも書いてみようと思います。おそらくこの項では「WCSのためにそんなこともやっていたの!?」と思われるような、ちょっと変わった準備の内容が含まれると思います(笑)

もしよかったら引き続きご覧下さい。


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