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XP祭り2023 市谷さん基調講演「832イテレーション・ジャーニー」を聴講しました

熱い!熱すぎるよ市谷さん!ということで、熱い思いを早速noteに起こしたいと思います!

XP祭りとは

XPはエクストリームプログラミングの略で・・・とかは省略します。
XP祭りはXPに限らずアジャイルに関連する話はなんでもあり(と聞いたことがある)のお祭りです。

Toshihiro Ichitani - 832イテレーション・ジャーニー

毎度、市谷さんのお話は胸が熱くなる話が多いので、とても楽しみにしていました。832=16年x52週の数字です。
今日の市谷さんの16年の軌跡のお話も胸熱の連続でした。

世界を変えることはできますか?

デブサミで出会った熱量から社内版デブサミを実施したお話から始まります。SIerで(本人曰く)何者でも無かった市谷さんが世界を変えるために歩み出した旅。私自身、RSGT2023で熱量を受けて動き出したので、市谷さんのお話は初めから胸熱でした。

氷河期みたいな組織でも、火は灯せる。自分の一歩が何か変化を起こせたら、それが世界に届く。胸の熱くなる言葉たちから始まりました。

400イテレーションで「正しいものを正しくつくる」に辿り着く

社内で仮説検証をしようとすると「それって何か嬉しいの?」「要件定義」と何が違うの?問われてしまう。
自分で結果を背負うために、会社を立ち上げる。不確実性に向き合ってきた結果として、「正しいものを正しく作る」に至りました。ここに辿り着くまで8年ほどが必要だったそうです。

重力の強い組織と向き合う

スタートアップや野心的な人たちと向き合う中で、最も重力の強い組織、JTCなどが存在していて、その存在に気づきつつも目を背けてきた市谷さん。
ついにそこに向き合うことが始まります。
「周りの気温が上がるのを待っているほど人生は長くない」
この熱い思いをも持って市谷さんは、自分で作った会社を去り、新しい会社「レッドジャーニー」を立ち上げたそうです。

効率への最適化、そして度を過ぎた最適化 =思考停止

100社ほどの組織と向き合う中で、効率を求めるために組織は最適化を目指します。しかし、そういった組織は必ずここに至ります。

「度を過ぎた最適化 =思考停止」

私自身、過去JTCに勤めていたので非常に良くわかります。過去カイゼン活動としてトヨタ式KI活動に取り組んでいたのですが、そもそもそのカイゼン活動自体が最適化されて、みんなが思考停止の枠組みの中で取り組む経験をしています。思考停止で継続しないことは私自身が陥らないように常に気をつけていることでもあります。

伝統組織における変革は探検

JTCに行くと市谷さんは「あなたは何をする人なんですか?」とまず問われる。打ち合わせで自分のことや提案を話すと、まるでその話がなかったかのように次の話題に進んでいく、そんな対応を幾度となくされては、自分自身に向き合ってきた市谷さん。辛い時には海に行く。市谷さんもそんな苦しい思いを抱えて乗り越えてきたと思うと、とても勇気をもらえました。
「やるべきだ」「やってください」「やってみては」「何でやらないのですか?」ではなく、「共にやりましょう」これこそがまず第一歩。
しかし、その先で組織の複雑さにさらに向き合っていきます。

外部からの取り組みに限界、組織のイチ員となる

伝統組織では、なぜか成功が前提とされるが、そもそもアジャイルな組織改革では不確実性に対応していかなければいけません。その中で、市谷さんは外部からの取り組みに限界を感じ、10年ぶりに組織のイチ員となって組織の「不足」「不十分」「不満」を自らが受けることを選択します。

組織の変革はFrom-Toだ!けど、Toに焦点が当たりがち

組織変革においては現状を把握し、向かうべき方向へのギャップを埋めるステップを踏んでいかないいけません。しかし、Toに焦点が当たることによってFromからのGapを埋めるのに何が必要なのか全く見えていない状態になりがちです。Fromが置き去りにされてしまいます。組織の中で良い未来を描きたいはずなのに、「To」派と「From」派の意見の対立になってしまうことが多くなります。
私自身、こういった「To」と「From」の対立構造になる場をよく見かけるので、意識したいと思いました。

事例信仰と言う病→打ち勝つために

自社でも他社でも過去の事例で成功した体験を取り入れようということはよくあります。一方で、その事例信仰によって現在地点とのGAPを埋めるための手段としてその「事例」が適切であるかを良く考えずに取り入れようとすることも多いです。
向き合うのは事例ではなく「人」。「人」に受け止めてもらって動き出してもらわなければ意味がない、という現実に向き合わなければいけません。
だからこそ、アジャイルを手に伝統的な企業と向き合っていきます。しかし・・・

組織の奥底で気づいたことは「組織に芯はない」と言うこと

組織の奥底まで到達してみると、結局のところ組織に芯がないと言うことに気づいたそうです。それは、組織を構成しているのは「人」であり、それぞれの人の思いがあり、それぞれの人の思いで合わせられることはせいぜい「浅いWHY」だけでした。
全ての人が思い思いの良かれと思うことをやってて組織の奥底で市谷さんが知ったこと、それは市谷さんが対峙する「悪の魔王」の存在がいないと言う事実でした。

地上に戻って自分と向き合った

組織には芯がない、だったらどこに焦点を当てれば良いか、それは自分を含めた自分達に焦点を当てました。「自分は何者なのか」「自分は何をしたいのか」。そして、自分に向き合うために自分への発信を始めたそうです。
自分の声をあえて文字に起こすと言うのはとても怖いことだと思います。そこにあえて焦点を当てて自分の思考を言語化することはとてもすごいことだと思いました。

「世界を変えることはできる」

そして、おれたちは世界を変えることができるのか?という問いの答えに到達します。世界は自分を含めた人と人が構成する関係性の中に存在するもの。だからこそ「自分」が変わることができるのであれば世界を変えることができるのです。

「自分たちの世界を、好きな場所にしていこう」

まとめ

ほとんど市谷さんの言葉をそのまま書いた感じになってしまいましたが、それほどまでに熱く胸を打たれる講演でした。
16年に及ぶ市谷さんの旅は私たちアジャイルに関わる全ての人にとっても大切な宝物になるのではないかと思いました。

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