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宇宙英雄の武器ならレーザー銃じゃんよ。

【旧ソ連の宇宙飛行士が携行する予定だったレーザーガン】

 この文章は、英文翻訳したものを独自アレンジして書き上げたものになります。最後まで読む事の出来る投げ銭形式のnoteとしますので、気に入った場合はお代を払ってくださいますようよろしくお願いします。

 時は未来、ところは宇宙という枕詞で始めたいようなお題ではありますが、今回は過去の話にて御座います。

 かの宇宙英雄、ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリンが1961年にボストーク1号で宇宙の大海に始めて漕ぎ出でた時にはすでに、ガガーリンは一丁の拳銃を携行していたわけですな。
 この時、ヴォストーク1号に装備されたサバイバルキットには、一丁のマカロフ拳銃のカスタム銃が収納されておりました。これが宇宙を航行した、人類最初の武器という事になりますな。

 さて、それから約50年後の1982年。旧ソ連がミール宇宙ステーションを打ち上げる少し前になりますが、TP-82という三銃身式の小火器が開発されました。
 この銃は、上部にある二本の滑空銃身から12.5ミリ口径の散弾を発射、下部にあるライフリングの切られた銃身から、AK-74にも用いられている5.45ミリ口径の弾丸、さらには信号弾や音響弾などの特殊弾丸も発射可能、着脱可能な銃床には鉈が収納されていたという、サバイバルガンとしては至れり尽くせりの優れもので、2006年までソユーズに装備されたサバイバルキットに収納されていたわけですが、火薬には耐用年数というものが御座いまして、2007年にはこのTP-82の弾丸に使用された火薬が使用不能となり退役。現在のソユーズには、半自動式の拳銃が収められていると言われております。 

 さてレーザーガンについてで御座いますが、1984年にソ連陸軍士官学校がミール宇宙ステーションを防衛するために開発したのが、人類最初の携行レーザーガンと言う事になります。
 えっ? あの当時、衛星軌道上の有人宇宙ステーションなんかに誰が攻めて来るんだって?
 そりゃあやっぱり宇宙人、と言いたいところで御座いますが、当時は東西冷戦が未だ開けやらぬ頃。1981年にはアメリカがスペースシャトル・コロンビアの軌道投入にも成功して御座いますので、そりゃあやっぱりアメリカ人が宇宙海兵隊でも組織して、乗り込んでくると思っていたんで御座いましょう。どなたかソ連軍の上層部に、ハインラインかハリイ・ハリスンを読み過ぎた方でもおられたんでしょうかねえ?
 最初は電源とレーザー発振器を組み合わせたごく簡単なもので御座いましたが、おそらくは光線軸を安定させるために、銃身内部に光ファイバーを通す事を思いついたわけですな。こうやって出来上がったのが、ファイバーレーザーガンと呼ばれるもので御座います。このファイバーレーザーガンは最初、光ファイバーを通した銃身と引鉄の付いた銃把、電源が収まったドラムマガジンを組み合わせたものが試作されました。

 このファイバーレーザーガンの基本機構を利用して出来上がったのが上のようなレーザーリボルバー拳銃ですな。電源となる電池をカートに装弾し、1回発光させる度に電池を排莢するわけです。最初のドラムマガジン式だと電池の交換が面倒くさかったのでしょうなあ。
 画像から察するに装弾数は9発。射程距離は20メートルというところなんですがぁ、まあ何ですな。モロに、某ウルトラ警備隊のウルトラガンのようなシロモノになってしまっておりますなあ。
 さてこの銃、本来は攻めてきた敵の目くらまし程度の威力で構わないものでした。そりゃあそうですなあ。あんまり強力な威力のレーザーでしたら、ミール内部の機材を破壊したり、最悪気密漏れが発生したりしますからな。
 ですがこの銃、必要に応じて医療ツールに利用出来るレベルのレーザーが出るって言うんですから、ちょっとしたレーザーメス程度の威力の光線が出てしまった事になります。
 試作品はご覧の通りハンドメイドの一品で、さあ上手くいったから量産しようとした段階で開発は中止されました。やっぱりどなたか冷静な方が、開発を推進していた人物を羽交い締めにされたんでしょうねえ。
 そしてこの銃は現在、モスクワにある戦略ミサイル軍博物館に収蔵されて余生を送っているので御座います。

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