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マニュアル露出でスナップを楽しむ

(※中初心者向け記事)

その昔、昭和のオトーサンはAEのないマニュアルカメラで露出計も使わず家族写真を撮っていました。
しかし現在、カメラの測光精度や処理エンジンが進化し、便利になった反面、露出感覚というものが失われつつあります。
そこそこ写真を続けている人でも、目の前の景色をどのくらいのシャッタースピード/絞りで撮れば良いのか見当がつかない人も増えています。
写真とは露光記録する行為ですので、それを掘り下げて理解し、写真創作活動の幅を広げてみてみるのは如何でしょうか?



マニュアル露出撮影のメリット

迷いのない撮影

田中長徳氏は街撮りに於いてファインダーを長い時間覗いちゃダメとどこかでおっしゃっていたと記憶しています。
また、ブレッソンは来たるべき瞬間をひたすら待ち、その時が来たらシャッターを切ることしかしなかったそうです。
僕も先人と同じくファインダーを覗いてからアレコレしたくない派です。

例えば、Aモード(露出優先)でファインダーを覗き、撮影したとするとやることは5つ。
①フレーミング
②フォーカスを合わせる
③シャッタースピードの確認(SS上限・手ブレや被写体ブレのリスク)
④露出補正(EVF)
⑤シャッターを切る

スナップは瞬間が命。一期一会の世界です。
狙った瞬間でシャッターを切ることに集中したいですよね。
出来ることは予め完了しておく事でそれが可能になります。
・必要ならフォーカスは予め置きピン。
・露出はマニュアルで設定。
…しておけば、②③④を省略することができ、フレーミングとシャッターを切ることに集中することができます。

創作力の強化

Aモード/Sモードなど、優先撮影モードは便利です。
とりあえず撮影しておき、帰宅してから画像をPCに取り込み、じっくり調整出来ることは現代の大きなメリットです。
しかし、撮れた写真を見ながら気分で調整しても創作力の探求に限界があります。
「撮影現場」でイメージを膨らませ、どんなアウトプットを作るか創作意識を持つことが大事です。
(スナップなら可能な限り撮影時に一発で決めたい、PCでの調整は最低限にしたい…そんな風に思うものではないでしょうか…)
絞りを調整し被写界深度を決めるのと同じ様に露出も自分の意志で決め、カメラの適正露出より自分の表現を優先する、マニュアル撮影ではそれが自然に会得できます。

加えて、目の前に見えている景色の明るいところ、暗いところが何段差なのかが見当がつくようになり、写真の明暗コントラストを想像することが出来るようにもなります。
また、同じ場所で少々アングルをずらして複数枚撮影したときに露出設定が変化し写真の明るさが変わってしまうことも防ぐことができます。
時には見当違いでNGカットも撮りますが、それはご愛嬌。

手ブレと被写体ブレ

前記の通り、自分でシャッタースピードを決めておけば手ブレのリスクは事前に把握することが出来ます。
また、通過する人やクルマがどのくらいのシャッタースピードでどのくらいブレるのか、分かるようになってきます。
勿論、後でLightroomなどにイメージを取り込んでからExifから知ることはできますが、Aモードで撮影した場合、シャッタースピードはカメラのエンジンによって、小刻みに選択されているのでパターンで覚えにくいです。
自分がシャッタースピードを決めてその結果を知ることで、自分なりのナレッジを身につけることができます。

クラシックカメラも

もちろん、AEのない機械式のクラシックカメラも抵抗なく使うことができます。


露出設定早見表

センパチ
シチュエーションと露出設定の早見表

センパチ

元々報道業界が出処で、フィルム品質や現像プロセスが標準化され、現像機で自動現像&プリント時代に対応したものなのでオススメです。
人によってややアンダー傾向に感じるかも知れません。
※紙面に印刷された時、白飛び箇所があると紙の色が出てしまうので、それ嫌っていたため。

サニー16(シックスティーン)、露出分の16

サニー16はクラシックカメラの背面やフィルムの箱に早見表が記載されたりしていましたよね。
出自は古く、フィルム感度がメーカー毎に差があったり、現像方法や薬剤レシピが個性的であったりした頃からのものなのでメーカーや時代により内容にバラツキがあり、参考程度に。
※早見表は適正に近い設定を掲載しています。



次回

実際のシチュエーションを例に挙げて、どの露出を選択するのか、紹介したいと思います。