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自宅待機中その2

 自分のために不要不急の外出は控えており、時間を持て余している。この機に普段はほとんど観ない海外ドラマの一気観とかしているが、これがなかなか面白い。
 ロシアの大河ドラマ『タンク・ソルジャー』では、富士学校研修の際に乗せてもらった戦車と指揮車を思い出し(二次元少女の〝戦車道〟なる寝言にはしゃぎ回っている連中は、一度、真夏の炎天下の演習場の戦車の中に5時間くらい空のペットボトルを持たせて放置しておけばいい。考えも変わるはずだ)、米国ナンバーワンのロングラン・ドラマ『NCIS』では、ビショップ捜査官が捜査のために載った駆逐艦でもらった赤道祭の赤道通過証を見せびらかすシーンで、マクギーが「僕も欲しかったのに!」という台詞に思わず、「あっ、自分もそれ持ってるよ!」と反応。つい愛猫さんに向かって威張ってみたりする。
 この海軍の赤道通過証は、以前ツイッターで披露したことがある(鍵アカだから、たまにこうした個人的な思い出の品の写真も載せている)。リオン・ハヤマのシリーズには赤道祭に関する長編もあり、何かにつけて自分の作品に登場してきた海の男の儀式の一つだ。
 『HAWAII5-0』では、退役後はハワイの真珠湾で公開されている戦艦ミズーリに感激する。この艦は湾岸戦争時に、イラクに向けて開戦の狼煙とともいうべき28発のトマホークを撃ち込んだ歴戦の雄だが、ちょうどそのとき日本に開設された在日米軍の湾岸戦争臨時指揮所で増強要員という名の雑用係をしていた自分にとっては、ことのほか感慨深い。自分が知る限りミズーリで銃撃戦をしているのは『沈黙の戦艦』のスティーブン・セガールと『HAWAII5-0』のアレックス・オローリンだけ。いいな、羨ましい。どっちもカッコイイけど、一番カッコイイのはやはり戦艦ミズーリ。
 もう一つ、ハワイを舞台にした『私立探偵マグナム』では、リオン・ハヤマの育った家がある山間部のタンタラス地区がたくさん登場していたので嬉しい。この辺は全裸に近い水着の連中がいなくて、静かでいい場所だよね。かつてここに住んでいたアメリカ軍属の日系一家が、リオン一族のモデルだ。
 無駄に豊富な人生経験は、その一つ一つが物語に投影されている。自分が経験した世界を残しておこうと考えたこともあったが、「面白くないものはいらない」と言われてあっさり終わった。いまは友人たちだけがこの経験を共有している。
 そして、新番組の『ザ・シューター/極大射程』(映画『極大射程』のドラマ版)だけど、大昔に扶桑社から発売された日本語の初版文庫の解説を書いているのは、実はわたしです。だけど版元の扶桑社はゴミ作家に解説を書かせたのは汚点だと思っているらしい。仕事で銃を撃っていた人間の解説よりも売れっ子の書評家の解説の方がいいと……まあ、そりゃそうだろうな。出版業界とはそういうとことだ。
 まだまだ当分自粛生活は続きそうなだけに、次に何を観ればいいのかな悩みつつ日々をやり過ごすしかなさそうだ。


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