勉強の哲学_05

「勉強の哲学」を読んでみて:感想と学びとしてのデザイン

前回、日本に2週間帰省したのは約2ヶ月前だったかな。

ふと手に取った千葉雅也氏による勉強の哲学来たるべきバカのためにという本が非常に強く今でも頭に残っている。

大学生活をアメリカで過ごしたこともあり、
日本語で深く思考するという経験は、
英語を習得した後の自分に取ってはかなり愉しいことのように感じた。

大学では、デザインを専攻していた。デザインの学部はあるけれど、総合大学の一学部だったから多分バリバリの美術大学と比べると色んな面で専門に特化しているかと言われると、総合力的なソフトスキルの方も強いと思う。

そんな感じで専門と教養を行ったり来たりしてるうちに、昔からそうではあったけど今ではさらに情報に触れたと同時に頭の中になんとなーくその情報たちが実態のある形として繋がってくれるようになった。面白いし、ありがたい。

10月のはじめに、勉強の哲学から得たなんとなくの感覚的な体験知をどうにかして形に納めたいと思って英語版でダイアグラムを作ってみていた。それからしばらく経って、今まで放置していたけど、最近このnoteでブログを書いてみたいと思っていたのに加え、自分の学びの発信のいい機会になるかなと思って今回日本語に書き換えてみた。

ダイアグラム全体を通して、「言語を習得すること」を勉強することと書いてはみたものの、これは別に英語などの外国語を勉強するといったことに限らない。感覚としては、環境に馴染むとか空気を読めるようになるとか、逆に空気を読みつつもあえて読まないとかそんな風なことであっても当てはまる感じである。実際に所属してみないことには理解することのできない学校や職場の雰囲気だったり、数学や物理の教科書を自分の母国語で読んでいるはずなのに全く頭の中に意味が入って来なかったり。

それぞれの環境や学問には特有の言語が存在していて、そのスペースの中で一般的に使用されているルールやコードは部外者から見れば全く意味不明な記号であり、その理解と習得には気合いを入れて勉強をするしかない。逆に一度習得してしまえば、同じ言語を話す人たちとマニアックな会話をすることが可能になる。

勉強をすることで自分自身に何が起こるのか。言語の他者性だったり、自分の欲望年表だったりと面白かったことをあげるとキリがないけれど、そんな中一番印象に残ったのが、一番最後のダイアグラムにある自分の「享楽」をベースに勉強の対象を仮固定することで、有限にするというアイデアだった。

一つは、千葉氏の勉強の哲学における一通りのプロセスが、
デザインのプロセスととても類似していると思ったことにある。

デザインプロセスにおいて、「人が使うもの」以外のことは大概プロダクトやサービスごとに大きく異なり、まずそれぞれの特有の言語を勉強しようとすることから始まる。プロダクトを作る側のプレーヤーが、その特有の言語を実際に理解して、説明をデザイナーに対して出来る場合もある。しかし、大抵の場合は、実際にプロダクトやサービスを使う側のプレーヤーと直接コンタクトをとったり、なったりすることで勉強をすることになる。つまり、新しいプロジェクトの度に、新しい勉強をしていることになる。

例えば最近で言えば、医療関係の企画に関わったことで、心電図がなんとなく読めるようになって、お医者さんとか看護師の友達となんとなくその辺の会話が出来るようになった。

おそらくどのプロジェクトにおいても共通することがある。
それは、予算と締め切りだ。

幸か不幸かこの要素は、プロダクトやサービスデベロップメントのプロセスにおける範囲の有限性を担保してくれる。つまり、勉強の有限化へと繋がる。

もう一つは、自分の中でデザインの範囲を定義すべきと思ったからだ。

今色んなソーシャルメディアで、デザインデザインデザインと一番流行なUX/UIデザインにとどまらず色んな背景から使われているのを目にすることがよくある。デザインという言葉こそ、今の自分にとっても、他のデザイナーにとっても、デザイナー以外の普通の人にとってもどんな風にでも解釈できるとがゆえに全く全体像が掴めないという状況にあるように感じている。

多分その状態は、とても自然で当たり前のことなのだろうが、
日本の外でしかデザインを勉強したことのない自分にとって
インターネット上でなどで目にする様々な「デザイン」は、
なんとなくむず痒く、完璧に飲み込みきれないという感覚がある。

おそらくこれは自分にとって「未知な」デザインを日本に完全に帰国した時に勉強する必要があるということの前兆なのだろう。
そして、勉強するにあたって、改めて自分の中での「デザイン」を有限化する必要があるのだろうと思った。

さらにはこの勉強の有限化という考え方が、
自分が目指すところの学びとしてのデザインを実現するための大事なようになるのだろうなと感じた。

とまあ、久々に文章にして頭の中にあることを書き出してはみたものの、
日本語って難しい。







基本的に今後も記事は無料で公開していきます。今後もデザインに関する様々な書籍やその他の参考文献を購入したいと考えておりますので、もしもご支援いただける方がいらっしゃいましたら有り難く思います🙋‍♂️