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苦しみを分かちたい遺棄者。

不幸なことにその先輩は先輩の中でも特に先輩風を吹かせるような人間だ。

先輩風を吹かせる神経が僕には理解できなかった。

本人は自覚して行っていた行為なのか無自覚なのかはわからないが。

もしかしたら僕も無自覚で風を吹かしていたかもしれない。

人間は無意識にやられて嫌だったことを共感、同調してもらうために、

同じようなことを他人にやってしまう生き物なのかもしれない。

その先輩は自転車で通学してきた友達と話すために駐輪所に行った。

その間に僕たちは先を越していた。

だけど焦っているかのように少し小走りで僕たちの方に近づいてきた。

首が座ってない赤ん坊みたいに下を向きながら歩いていたが、

ランニングシューズの靴底とアスファルトが擦れる独特の軽い音で

だいたいどんな感じで走っているのか想像できた。

僕たちの横を通り過ぎていく瞬間にTが先輩に挨拶した。

僕は首を上げたが挨拶はできなかった。

先輩は僕の顔を見て少しの心配と嘲笑が混ざった感じで、

「顔が死んでるぞ」と言った。

多分本当に死人のようだったのだろう。

いつもなら「挨拶は?」と言ってくるはずが言わなかった。

僕はこの瞬間に「昭和生まれじゃなくてよかった」と急に思った。

それと同時に首が倒れる。

「昭和=上下関係厳しい」っていうイメージが頭に過った所為だろう。

でもなぜか安堵の感情がない「よかった」だった。


校門に着いた。

相変わらずこの学校は曇ってて暗い。

あぁ保健室行こうかな。いやぁでもなぁ。


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了@起立性調節障害

18歳。いつか19歳になります。 noteに自分の体験談や考えをほぼ毎日書いてます。何か反応をもらえると嬉しいです。 【twitter】https://twitter.com/qSWaNGop

脱線列車

普通の高校生だと思ってた僕が起立性調節障害になって少数世界に入り込んでいくきっかけとなった日。たった一日でこうも人生が大きく変わってしまうなんて。 ある高校の一年生のあまりにも突然すぎる高校生活最後の日を書いています。少しの暇つぶしにでもなればいいなと思ってます。
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