【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第7節 名古屋グランパス戦<後半>

akira(@akiras21_)です。
「春眠暁を覚えず」と言いますが、自分は夏以外だいたい暁を覚えません。

【前半までのあらすじ】

◎潤滑油ことHAJ(長谷川アーリアジャスール)
◎喜田パイセンの首振りとプレー精度がヤバい
◎ここまで3パギ(参考)
◎「この試合たくさん点入りそう」と不穏なフラグを立てる秋田豊解説員
◎あれだけシリアスさを醸し出してたのに筆者の帰り際は結局楽しくお絵かきしてた隣の席のなかよし女子4人組

ざっくりこの辺りを頭に入れておいていただけましたら。ハーフタイムも挟んだことですし、今一度気持ちをリセットしてざっくり後半を観てみたいと思います。

マリノスと名古屋の「プレー原則」浸透度

後半開始のホイッスルが鳴るとお互いチャンスを演出し、クリリンがなんだかちょっぴりツイてない判定を受けたり、なんかよくわかんないけど遠藤の裏抜けに名古屋GK武田洋平が思いっきり飛び出してきてあわや大チャンス!という場面を迎えたりと、なかなかにハラハラする展開へ。とはいえ互いにプレーの基本線は変わらず、片方サイドに選手を集めて距離感を縮めるというオーバーロードっぽいやり方で一進一退の攻防を見せます。

そんなやり方が特に如実なものとなったのは55分50秒ごろのセットプレー。名古屋が獲得したフリーキックをガブリエル・シャビエルが蹴るわけですが、マリノスが形成する壁に相対するときも、はたまたシャビエルが蹴った後も選手の密集を崩すことなくプレーを続けており、多い時は9人の選手がおおむね1〜2メートル間隔の中に収まっているという密度の高さを見せていました。

こんなんで崩しが成立するんか…と思ったんですが、丸山祐市がシャビエルにボールをつなげようとしたときの動き方、そしてそのプレーがファールで取り消されたときのシャビエルの取り乱し方からして、きっと練習通りの動き方だったんだろうなと。密集しといてからサイドに流して、マリノス守備陣の視線をシャビエルに集めたらファーサイドのジョーにつないでドーン、みたいな。56分3秒ごろ、丸山からシャビエルに向かってボールが出た瞬間にジョーがピクッと動いてたのが根拠です。

セットプレーからこのシャビエルの抜け出し未遂まで20秒程度、それもクリアボールが空中に浮いてたりもしたわけですが、この短時間でここまで連動して動けるのは何故でしょうねぇ。たぶん、「基本的にウチはこういうやり方でいこうね」というのが風間監督体制下の2年強で練習からミーティングからいろんなところで徹底されてきてるんだと思います。いわゆるひとつの「プレー原則」というものでしょうか。知らんけど。

さて、秋田豊解説員によるスライディング論(プレイヤーの感覚がわかるという点でわりと面白い)を聞きながら時計を少し進めましょう。59分50秒ごろにパギから喜田にスパーンと縦パスが入って、喜田はその縦パスを受け流すように三好へとつなぎ、三好はちょっとだけドリブルで運んだ後に遠藤へと縦パスをつないでチャンスを演出しました。

この一連の流れ、縦→縦→縦という3本のパスがわずか3秒の間に連続して出ています。喜田の首振りによる周囲環境の把握が素晴らしいということもありますが、これだけ意図的なプレーが続いているのも「プレー原則」が浸透している証拠なのかもしれませんね。知らんけど。

徐々に移りゆく試合運びの仕方と主導権

で、プレー原則炸裂からクリリンのハイパー惜しいフリーキック!「(ボールの軌道を)巻かなきゃよかったのに」「曲げすぎましたねぇ」という実況解説陣の言葉通り、これにはクリリンもスーパー悔しそうでした。

その後は縦に速いカウンターが数本通るものの、残念ながらどれもゴールには至らず。ただ、ところどころ喜田が際立ってますねぇ。前半編や後半ここまででも度々取り上げてますが、この試合に関してはギアが1段上だったようですね。

さて、73分ごろからはマリノスの攻め方に変化が訪れました。ここまでのマリノスはボールを持ったらできるだけ縦に早く!というやり方だったわけですが、ここに来てじっくりとボールを持ちにいく姿勢を見せ始めたのです。プレスを受けてジリジリと下げさせられてしまう場面もありましたが、それによって空いたコースに対して主に畠中が的確なパスを通すなど、名古屋の勢いをある程度いなすやり方に切り替え始めたわけです。あ、途中しれっと1パギあったのでトータルで4パギ(参考)です。

名古屋の選手たちはリトリート(後退、帰陣)が速いのでラストパスを通すことはなかなかできなかったんですが、それでも名古屋をハーフコートに押し込める時間が少しずつ増え、マリノスは徐々に主導権を手繰り寄せていきました。が、ここまで4パギ(参考)のパギに感化されたのか名古屋GK武田も2パギを記録するなどなかなか当たっていたので、これまたゴールには結びつかず。なんなんだ武田。

試合時間残り10分、扇原の投入とその効果

といったところでマリノスは遠藤に代えて扇原を投入。左サイドには三好が入り、扇原は主に中央エリアを中心としたポジションに就きました。結果から言うと扇原はこの日唯一の交代カードとなったわけですが、ボスのこのベンチワークは適切だったのではないかと思います。

名古屋はサイドに押し込んで奪うというプレスをそれなりに仕掛けてきていました。と同時に、真ん中にスペースが空くこともちょくちょく発生していたので、ここで扇原にボールが渡れば1本のパスであっという間に決定機だろうと。また、マリノスとしても大外を使った攻撃が減ってきていたので、それならばと真ん中で強みを見せられる扇原をチョイスしたのではないかな?と思いました。そのほか、喜田がサリーダ・ラボルピアーナ※を実行しやすくなったり、セットプレー守備時にジョーと競り合えるといったメリットもありましたしね。

サリーダ・ラボルピアーナ
ディフェンシブハーフ(守備的ミッドフィールダー)がセンターバックの間に入り、一時的に3バックを形成すること。ビルドアップ(攻撃の組み立て)を円滑に進めることが主な目的。

で、この扇原がなかなかいい感じに動き回ってくれたわけです。喜田のように積極的に首を振り、ボールを受ければ体を使ってボールを守りながら的確にプレッシャーから逃がす。サイドに流れたボールに名古屋守備陣が食いつけば、そのプレッシャーを外から包囲するようなポジショニングを見せる。名古屋の攻撃がスピードアップするなり扇原も走り出して攻撃の芽を摘みに行く。あんまり目立たないかもしれないけどちゃーんとチームを支える働きを見せていました。個人的には扇原を入れて良かったと思ってます。

#本日のおパギさん :重ねた6パギとその代償

そして、試合がアディショナルタイムに突入した頃にそれは起こります。

広瀬からやや強めな縦パスが飛んできた畠中がトラップを浮かせてしまい、それを見逃さなかったジョーがすぐさまプレス。畠中はジョーをいなすことはできたものの、HAJが第二波となるプレッシングを仕掛けてきます。

畠中はやや体勢を崩してしまっていたため、ボールを収めきれずHAJにかっさらわれてしまう展開に。HAJがジョーに出すと、これを瞬時に予測した扇原がスライディングでジョーのシュートを阻止。しかしこれによってボールがHAJの方へと転がっていきます。

HAJがシュート体勢を整えていよいよ打とうかというその瞬間、ピンチを察したパギが果敢にも体ごとボールを止めに行きます。が、パギはこれによってHAJの左足を顔面でモロに受けてしまい…

前半にランゲラックのアレを見てただけに、パギは立ち上がったから大丈夫やと思ってたんや…ホンマはめちゃくちゃ痛かったやん……決死の覚悟で1点モノの大ピンチを防いだわけですが、この代償は大きすぎる。ちなみにここまで6パギ(参考)でした。

救いといえばパギ本人がどこ吹く風といった様子なのと、どうやら過去に驚異の回復力を見せていたのを知ったことでしょうか。とにかくまずはしっかり養生してほしいと思います。そして、アクシデントなのでこうした言い方は語弊があるのですが、おいチャンスだぞ飯倉!

おわりに:ボールを7つ揃えたらまず無病息災を唱えたい

このあと両チームともチャンスを迎えましたが、どちらもモノにすることができずに試合終了のホイッスル。力負けしたという印象はなく、むしろあと一歩で勝ち点2を積むことができたかもしれない…という悔しさのほうが大きい試合でした。

紛うことなきトメルケールに対してブレることなく勇猛果敢にアタッキングフットボールで真っ向から挑んだ姿勢はむしろ賞賛に値しますが、とはいえ「トランキーロ、あっせんなよ」と言いたくなる攻撃のバタつきが何度かあったのが気になりました。ここに名古屋との差があったのかもしれません。

なんだか試合を重ねるごとにジワジワと戦力を削がれていく、たとえるなら兵糧攻めにあってるような気すらしますが、それでもここまでやれているあたりにチームの底上げが進んでいるような感じもします。これまでに戦線を離脱した面々が今後徐々に戻ってくるはずなので、彼らを含めてメンバーが出揃ったときにどのようなサッカーが出来るようになるのかをひっそりと期待しながら、今後とも見守っていきたいと思います。

ということで、2回に分けてお送りしてきた名古屋戦レビューはここまで。長々とご覧いただきありがとうございました。

最後にひと言!倉敷さんぶっちゃけドラゴンボール大好きでしょ!!

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