【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第8節 北海道コンサドーレ札幌戦

akira(@akiras21_)です。
よし、書くぞ。

【前節までのあらすじ】

アタッキングフットボールを標榜するマリノスと名古屋グランパスの一戦は壮絶な打ち合いの様相を呈し、1-1というスコア以上に濃密な内容で多くの人々を驚嘆させた。しかしその代償は大きく、飯倉大樹に代わってゴールマウスを守っていた朴一圭が試合終了間際に負傷、戦線離脱を余儀なくされた。

シーズンもファーストクォーターの終わりを迎える頃、トリコロールは一路北の大地・北海道は札幌へ。前節に引き続き色濃い攻撃スタイルを持つ北海道コンサドーレ札幌の本拠地・札幌ドームへと乗り込んだ。三好康児にとってはブレイクのきっかけを掴んだ、慣れ親しんだスタジアム。果たして赤黒を身にまとうファンにゴールで恩返しとなるか…?

ということで、メンバーは以下。

[4-1-2-3]
GK:飯倉大樹
DF:松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、広瀬陸斗
MF:扇原貴宏、喜田拓也、天野純
FW:仲川輝人、三好康児、マルコス・ジュニオール

[SUB]
杉本大地、ドゥシャン、和田拓也、大津祐樹、山田康太、遠藤渓太、山谷侑士

戦前はサイドバックの人選がどうなるか不透明と言われていましたが、最終的には前節と同じ2人が選ばれました。そして、中盤の底に扇原が入り、それによって喜田がインサイドハーフ(IH)へ、三好がセンターフォワード(CF)へとスライドしました。

エジガル・ジュニオが離脱してからはクリリンがCFを務めており、そのプレーぶりはいわゆる一般的な1トップのそれとは異なっていたため、同じような役割を求めるとすれば三好でも面白そうだな…と思っていました。いました。

それでは、「俺、札幌にサッカー観に行ったんだよな」というのを思い出すためにも気合いで書こうと思います。やっぱ書きたくな…いや書きますとも。さあいつも通りざっくり行くよ!これ書き始めた時点でミッドウィークのカップ戦も終わっちゃってるけどね!!

1失点目:見慣れない光景と嫌な予感

三好をCFに据えたところでマリノスの意図は特に変わらず、ハーフスペース(そろそろ定着してきてるんで解説つけなくてもいいですよね)を使った縦にスピードのある攻撃を軸としていました。これに対する札幌も、ボールのあるサイドに人数を割いてオーバーロード(これもそろそろ解説いいかなと思うんだけど簡単に言うと人海戦術のこと)気味にプレッシャーを掛けに行く、というマリノスの対戦相手としては定石なやり方を展開。ボールを狩り始めるのもセンターサークル周辺と、これまた見慣れた光景でした。

ただ、見慣れない光景が実はありました。そう、マリノスのパスミスです。

2分40秒ごろ、喜田からのボールを受けた松原がハーフスペースをスルスルと上がってきていた扇原にパスを出しますが、これが合わずにボールが流れてしまいます。が…こんなズレ方したことあったかな?と。どうも違和感がありました。

とかなんとか思ってたらチアゴの横なんだか斜めなんだかなんとも言えない角度にこれまた微妙なボールスピードのパスが畠中に合わず、あれよあれよとボールを奪われ。ボールを持ったアンデルソン・ロペスが喜田、チアゴ、扇原の注意を惹きつけながら、その裏に抜けたチャナティップに通して後は技あり。

相手も同じ条件下でプレーしてるのであんまり言いたくはないんですが、ピッチの状態がこの一連の流れに影響してたのかなと思います。マリノス側コーナー付近やセンターサークル周辺など顕著な箇所もありましたが、その他にも怪しいところがちらほらと。ぐぬぬ、高い入店料…じゃなくて勉強代を払わされてしまいました。

じゃあその後何もできなかったかというとそういうわけではなく、チャナティップからボールを奪い返しーの三好→クリリンとつないでもっぺん三好の流れとか、その後のセットプレーで畠中が見せたヘディングとか、「これが決まってれば」というシーンがあるにはありました。

2失点目:福森晃斗のフリーキック

(※すげーFKだってのは見りゃ分かるし筆者が疲れちゃったので割愛)

支配率70%と遠い1点

16分25秒ごろに飯倉からビルドアップが始まり、右ハーフスペースと仲川のスピードという質的優位を活かした攻めでしたが、仲川のライナー性の低弾道シュートをクリリンが押し込もうとして触りオフサイドに。

DAZNの実況解説陣は「クリリンが触ってなきゃゴールだった」と仰っていましたが、触ってなければ多分ゴールを外れてました。あとものすごく微妙ですが瞬時に判断してこのオフサイドを裁定した線審はすごいなと思いました。仲川の一瞬のタッチ差でほんとにほんのちょっぴりクリリンの体が出てただけだもの。

その先はどうだったかというと、支配率70%という数字が表しているようにボールを保持する時間が長かったわけですが、それじゃボールを持たされていたかというとなんとも微妙で、マリノスはひと通り前に運ぶこととギャップを作り出すこと、そしてシュートで終わることを念頭に動いていました。実際いくつか惜しいシーンもありましたしね。ここで1点取れていれば…

3失点目:ゴール前の人数は足りていた

ということで、28分ごろから相手左サイドを中心にボールをつながれつながれ、密集地帯から遠く離れたところで1人フリーになった(いわゆる「アイソレーション(孤立)」の状態)ルーカス・フェルナンデスへとサイドチェンジのロングボールが通り、スペースに走り込んだアンデルソン・ロペスがヘディングを押し込んで3失点目を喫しました。痛い。痛すぎる失点です。

で、このシーンなんですが、ルーカス・フェルナンデスにボールが通った後のゴール前の様子を見てみると、人数そのものは十分足りていたんです。広瀬がルーカス・フェルナンデスに、チアゴが鈴木武蔵に、松原がチャナティップに付いていて、アンデルソン・ロペスに向かって扇原が走って戻ってきていた上、畠中がフリーの状態で浮いていました。

しかし、この畠中が浮いていたことによって生まれていたスペースを札幌が利用します。まず、札幌の3人のアタッカーは互いに近寄ってマリノスのマークを撹乱。そして、ルーカス・フェルナンデスがスペースに浮かせたボールにアンデルソン・ロペスが反応したわけです。畠中は鈴木武蔵の位置こそ首振りで確認していたものの、アンデルソン・ロペスの位置は確認しきれていなかったのかもしれません。

このシーンに限らず、札幌はオーバーロード(密集)→アイソレーション(孤立)へのボール供給…という攻撃の形を何度か展開していたので、練習の成果を発揮していたことになるでしょう。ぐぬぬ…

超絶印象論:背番号13の面影と、タッチダウンパスと、ボールの位置と

後半になるとマリノスは松原に代えて和田拓也ことワー坊を投入。ワー坊は左サイドバックに入り、広瀬は右サイドバックに入りました。

時間軸がちょいと前後してしまいますが、札幌戦の後に行われたルヴァンカップグループステージ第4節の湘南ベルマーレ戦でも思ったように、ワー坊は違和感のないプレーぶりがいいなぁと思うのです。シーズン開幕前のキャンプはおろか、移籍期間の終盤も終盤に加入が決まったにもかかわらず、出場時間に比べてフィット具合が実はすごいんじゃないか?と。堅実な動き方をしてたかと思えば時折ドリブルで持ち上がり…というスタイルは、個人的にパンゾーこと小林祐三(現:サガン鳥栖)を彷彿とさせます。

なんてふうに過去を懐かしんでる間に飯倉は2回ほど得点機を防ぎ、そこからタッチダウンパス※をクリリンに通すなどフワッと大きな展開を見せてたりもしました。

タッチダウンパス
アメリカンフットボールの花形ポジション・クォーターバックのように、主に守備の選手(DH、DF、GK)が精度の高いロングパスを最前列の選手にピッタリと通すことを指すらしい。知らんけど。
手数を掛けずにチャンスメイク・相手ゴール前まで展開を持っていけるため、主導権を一気に手繰り寄せることができることが利点。
(参考)https://www.footballista.jp/special/41453

タッチダウンパスを受けたクリリンは結局このチャンスをモノにできなかったわけですが、この場面で進藤亮佑が見せていたように、球際の競り合いで強く出られるとマリノスは概して分が悪くなる傾向にある気がします。

札幌はマリノスにボールを持たせて、ボールがミドルサードに差し掛かった辺りからプレスを掛けてサイドに追いやる…など守備組織をしっかりとオーガナイズしつつ、ボールを奪ったら前線のルーカス・フェルナンデス、アンデルソン・ロペス、鈴木武蔵といったアタッカー陣を使ってサクッと攻撃を仕掛けるという、前節の名古屋戦同様マリノスがやりたかったことを実行していました。

「ほんじゃどうすりゃエエのよ」というお話で、2つ前の項と若干被ってしまいますが、傍から見てるいちサポーターとして思うのは「ボールを持つ位置を高めに持ってったらエエんちゃう」ということです。昨季も度々言われてましたが、「ボール支配率が高すぎると勝てない傾向」って、ボールを持ってた位置との相関関係はどうなってたのかな?としばしば気になっていました。低い位置でずーっとボールキープしてたとしたらそりゃなかなか点は取れませんし、逆に高い位置(たとえば相手陣内など)でずーっと持ってたとしたらああ決定力不足だね、と言えるわけですが、個人の印象ではどちらかというと前者寄りな気がするのです…

ていうかしこたま印象論でごめんね!でもざっくりレビューだから許してね!(ノ≧ڡ≦)てへぺろ

(陣容的に)ギリギリ崖の上を行くように

とかなんとかやってるうちに扇原に代わって大津が出てきまして、後半が始まって10分ちょいでボスは早くも2枚目のカードを切ってきました。1トップ(実質0トップ)だった三好は位置を下げ、そこに大津が代わってやってきます。が、前線の運動量こそ増えましたが得点への糸口はなかなか見つからず、そうこうしているうちにまたもやアクシデントがマリノスを襲います。

70分24秒ごろに菅大輝のスローインから札幌が攻撃を始めますが、続く70分32秒ごろ、ボールを追う流れの中でチアゴがアンデルソン・ロペスと接触。チアゴは不穏なステップを見せるも、プレーが切れるまではとシュートコースを塞ぎに行きます。そして、ルーカス・フェルナンデスのシュートがゴールを逸れていった後にチアゴは倒れ込んでしまいます。おい、またか…

後々のリプレイで判明しましたが、アンデルソン・ロペスがチアゴの右足首を踏んでしまっていたようです。一時は担架がピッチ内に運び込まれるも、チアゴはなんとか立ち上がり自分の足でピッチ外へ。

程なくしてプレーを再開しますが、やはり右足首を気にしてぎこちない動き。「カウンター食らったらヤバい」と思ってたら案の定カウンターを食らって、ぎこちないながらに走って戻るもチアゴ60%ぐらいだったのでヒヤヒヤものでした(後日の報道によれば軽傷で済んだそうで、不幸中の幸いでした…)。

おわりに:ダメダメだったわけではないけれど

78分、この試合では低調さを見せる結果となってしまった天野純に代わって山谷侑士がピッチ内にやってきます。ルーキーながらなんやかんやで着実にプレー時間を重ねてますね。これにより大津がIHへと下りてきて、山谷が1トップの位置に入りました。

…が、このあとは大津→山谷のヘディングやクリリンのFK→チアゴのヘディングが惜しかったぐらいで、その他に際立っていいシーンがあったわけでもなく、そのまま試合終了のホイッスル。

開始間もない失点からプランが崩れ、巻き返せないまま失点が重なり最後までズルズルと行ってしまった形ですが、むしろ前半のほうが惜しいシーンがあったので、そのうちのひとつでも決まっていれば…という感想でした。だから飯倉のせいじゃないよ!

あとは、全体的に素直な(言い方を変えてしまえば、単調な)プレーが多く見られました。それでも通用する相手には通用するんですが、札幌のように練度の高いチーム相手だとバッチリ対策された時に何もできなくなってしまい、ひたすら繰り返しやり直しを続けることになります。そうなるともうゴリゴリのフィジカル勝負にすらなってしまいかねません。

なので、「これがうまく行かなきゃ次はこうだ」というように、次善の策に切り替えていく余裕とクレバーさをチームとして身に付けていってほしいな、というのが願いです。寄せられたから敢えて攻めに行って押し切る姿勢も良いですが、寄せを食いつきと捉えてヒラリとかわすマタドールの精神があれば面白いですし、なにより調子がいいときのマリノスはそれができています。「パンがなければ菓子パンを食べればいいじゃない」ということを言ってるわけではないのです。

とかなんとか言ってますが要はスタジアムですげープレーをたくさん見てワーキャーしたいわけですよ!次の鹿島アントラーズ戦は見応えのある平成最後のThe CLASSICをよろしくね!!

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