【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第11節 セレッソ大阪戦

akira(@akiras21_)です。
後々出てくるあの名曲、ベースを弾いてるのはいかりや長介だそうです。

【前節までのあらすじ】

鹿島アントラーズ相手に逆転劇を演じ、勢いに乗ったまま広島へと乗り込んだトリコロール。堅いブロック守備の網の目をかいくぐれずに攻めあぐねる時間帯を経て、こじ開けたゴール1点を守り抜き2連勝を収めた。

ミッドウィークには札幌でカップ戦を戦い、中2日で夏並みの暑さとなった大阪へと移動。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督率いるセレッソ大阪との試合が刻一刻と近付いていた。一部メンバーのコンディションを不安視する声もあった中、チームはリーグ戦3連勝を掴むべく長居のピッチに足を踏み入れる…

ということで、先発メンバーは以下。

[4-1-2-3]
GK:朴一圭
DF:広瀬陸斗、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、和田拓也
MF:喜田拓也、三好康児、天野純
FW:仲川輝人、マルコス・ジュニオール、遠藤渓太

[SUB]
飯倉大樹、ドゥシャン、ティーラトン、扇原貴宏、大津祐樹、李忠成、エジガル・ジュニオ

第6節・浦和レッズ戦で負傷し戦列を離れていたジュニ男ことエジガル・ジュニオがサブメンバー入り。チュンソンや椿直起含め、離脱してたメンバーが徐々に戻ってきた感ありますね。高野遼もリハビリが進んでるみたいですしこれまた良き。

その他は、前節契約の関係で出場できなかった和田拓也ことワー坊が先発復帰。その他はいつものメンバーといった様子ですが、チアゴ、畠中はミッドウィークのカップ戦アウェーゲーム(北海道コンサドーレ札幌戦、○4-0)も先発フル出場しており、特に畠中はここまで公式戦6試合連続フル出場となっていました。そりゃサポとして心配にもなりますわ。

何が何であれチームの勝利を願う気持ちはいつもと変わらず…なのですが、対戦成績から見る相性だけでは片付けられない試合展開が我々を待ち受けているのでした…ちょいと気分は重めですが、いつも通りざっくり試合を見ていきましょう。

1失点目:ぐぬぬ

試合開始から数分は大抵お互い様子見で大掛かりなことはしないもので、観る側としては「あー今日はだいたいこんな感じで進めていきたいんだな」とかそういうふうに捉えていく時間なわけです。1分31秒ごろに松田陸のスローインから始まって、マテイ・ヨニッチがキム・ジンヒョンにバックパスをしたセレッソの一連の流れも、まずはボールを密集地帯から逃して、体制を整えてからビルドアップするのが目的だったんじゃないでしょうか。

そこで「バックパス緩いしボール奪取いけるやん!」とぶっ込んだのが何を隠そうマルコス・ジュニオールさん。鬼気迫るハイプレスでキム・ジンヒョンのロングフィード阻止に成功しますが、ボールが左サイドバックの丸橋祐介に渡ったところからあのシーンがスタートします。

丸橋が大きく蹴り出し、ボールは中盤を飛び越えて一気に前線へと入ります。これに反応したのはワー坊と水沼宏太。ワー坊は背後に水沼宏太を背負いながら走っていったわけですが、水沼がワー坊に体をぶつけて跳ね除け、ほぼジャストな位置でトラップします。

首を振って水沼の位置を確認した頃には既に減速して体を張る準備をしていた(であろう)ワー坊に対し、水沼はプレスの勢いそのままにやや強めなタックルを敢行。あとは水沼がトラップした後の間合いが近すぎたのも、ワー坊にとっては不利な状況になってしまいました。ぐぬぬ。

その後水沼はワンバウンド挟んでからのロングシュートがマリノスのゴールネットを揺らしました。パギも危機を察知して小走り気味に戻ったものの、あと一歩追いつけず。むしろよーあそこまで腕伸ばしたわ。

教科書通りのマリノス対策とマツダロール

といった具合に、試合開始2分で早くも先制点を許してしまったマリノス。こういう展開になったときほどリスタート直後の試合の持っていき方が大事なんですが、って言ってるそばから3分8秒ごろに都倉賢がミドルシュート!なんだかすっごくフォルランみたいなやつ!!都倉のシュートはクロスバー直撃で辛くも失点は逃れましたが、すごく嫌な予感…

はい、案の定ここから先のセレッソは「攻めは広く、守りは狭く」という原則に従って試合を進めていくわけで、マリノスも比較的いつも通りやろうとするわけですが、なかなかプレーの方向を前に向けることができません。

マリノスの選手がトラップしてから二手三手と焦れているうちにパスコースを消し、出しどころがなくなってボールを後ろに下げたところで全体を押し上げつつ、ボールに対するプレスの強度も上げる…というマリノス対策としてほぼ定石なやり方で、セレッソはトリコロールを封じていきます。

これの対抗策としては①ボールホルダーに対するサポートを素早く行って相手のプレスを集中させない、②1対1の局面を個人技で剥がす、という大きく2点が挙げられるわけで、①については喜田や三好が積極的に実行していましたが、これをやり過ぎると中盤の選手の位置が低めになってしまうので、今度は前線にボールを運ぶのが難しくなってしまいます。

なので、たとえば7分5秒ごろからチアゴが敢行していたマツダロール※やCB→SBまたはSHへの斜めのパスなど、相手の意識や陣形をズラすようなやり方が重要になってくるわけですが、いざ持ち上がったところで広々と取った選手間の距離が仇になり、その先につなげられない…といった状況が多く、なんとももどかしい形で未遂に終わってしまいます。

マツダロール
松田直樹(元マリノス、日韓ワールドカップ日本代表)の特徴的なプレーのひとつであった「CBがドリブルを行うこと」を指す。一般的に、ドリブルで相手の陣形に切り込んでいくようなCBは少ないので、相手の意表を突く効果が見込まれる。
ちなみに、名称の元ネタはダビド・アラバ(バイエルン・ミュンヘン)の「アラバロール(=偽サイドバック)」。

その他セレッソはとにかくマリノスのサイドバック裏を狙って、パスが通ったら駆け上がってきた味方に折り返してシュート…というこれまた一般的な手法で攻めていきます。前述した都倉のフォルランっぽいミドルシュート含め、13分50秒ごろの清武弘嗣のミドルシュートなど、正直決まっててもおかしくないものがいくつかありました。ああ、封印されし札幌戦の記憶が…

アップタウン・ファンクなベースラインで踊りに踊って踊らされ

などとやっていたら、15分44秒ごろにマリノスは再びサイドバック裏を狙われるピンチを迎えます。ブルーノ・マーズのバックバンドにいたら間違いなく浮くであろう風貌のブルーノ・メンデスからサイドに流れていた都倉へとボールが渡って、うんたらかんたらやったけどうまくいかなかったので都倉はブルーノ・マーズじゃなかったブルーノ・メンデスにバックパス。これをAJ10が必死のスライディングでカットし、よっしゃ俺のターンや!と言わんばかりに三好がドリブルで持ち上がります。

ひたすらドリブルで駆け上がる三好の前にはマテイ・ヨニッチと瀬古歩夢(同じ歩夢なら個人的には仲田歩夢も好きです)がいましたが、これまたひたすら駆け上がるクリリンの姿も。三好はマテイ・ヨニッチと瀬古の間にパスを通すことを選択しますが、これがクリリンの左足に僅かに合わず惜しくも不発。これには悔しさを隠しきれなかったのか、16分1秒ごろにクリリンは「もっと落ち着けよ!!」と高速ヒゲダンスを披露。

そうだな、ヒゲダンスのあの芸も落ち着かなきゃできないよな。それぞれの落ち着きと、阿吽の呼吸と。そういうのがあって初めてできるんだよな。ずいぶん古いネタまで持ち出して、日本のことを分かってるじゃないかクリリンよ。見直したぞ。いやそもそも見損なってないけども。知らんけど。

覚えてないけど覚えてるよあの日のことは

以降マリノスはなかなか前に運べないことに焦ってしまったのか、アンカーはおろかインサイドハーフまでもが低めの位置までボールを受けに下りてくるシーンが散見されます。下りて、受けて、叩いて(その間に最終ラインを上げて)戻る…というパターンを繰り返しながら一応は前進してるんですが、この流れに対してセレッソは敢えてプレッシャーを掛けず、代わりにパスコースを消しに掛かります。そらそうだよなぁ。

パスワークだけじゃいかん、と遠藤が中央レーンまで運ぶドリブルを実行したりと僅かな撹乱はあったんですが、そこから先の攻撃のスイッチを入れるには至らず。誰かがマークを惹きつけてスペースを空けて、そこにまた誰か別の選手が入ってきても、それを活かし切るだけの周りのサポートや予備動作が十分でなく、結局は普通に運ぶのとあまり変わらない状況に。どん詰まってしまうよりはマシですが、サポーターとしてヤキモキしてしまうのも仕方ありません。

とかなんとかやってたら、都倉が倒れ込みます。畠中のタックルを受けて重心がズレてしまったのか、シュートで振り上げた右脚を着地させた際に体重が変な掛かり方をしてしまったようです。右膝の裏を痛そうにしながら一度はピッチに戻りましたが、結局は高木俊幸と交代。ううむ、似たような流れを2年ほど前のアウェー甲府戦で見たような気が…その先どうなったか(※負傷の経過について)はマリサポなら誰もが知るところなので、あまり大事に至らなければ良いですが。

といったところで、41分51秒ごろにパギの好反応を挟みつつ、前半はだいたいこんな感じ。万策尽きたわけではなく、むしろ改善の余地はあったので、ハーフタイムの修正で多少は何とかなるんじゃないかな?なんて思ってたんですが…

後半の滑り出しはいつもわりといい感じ

ささ、そんなわけで後半も見てみましょう。マリノスはハーフタイムで遠藤に代えて李忠成を投入。遠藤も連戦でプレーしっぱなしだったので予定された交代だったのではないでしょうか。これによってチュンソンが1トップ、クリリンが左サイドに入ります。

後半の立ち上がりもセレッソのやり方は変わらず。まずはパスコースを消すポジショニングを取って、その間にマリノスがCBまでボールを下げたところで攻めあぐねているのを見るなり2トップがハイプレス。カウンターの場合は徹底して裏を狙うというオーソドックスなやり方です。

こうした相手にはとにかく手数を掛けずに選手間の距離を短く保ち、パスをつないで相手のマークを剥がしたり意表を突いたりする動きを狙うのが効くわけで、50分21秒ごろからスタートしたカウンターではこれに沿った攻め方ができていました。徐々に攻撃のリズムが出てきたので、願わくばこのまま同点にしたかった…

2失点目:ちょっとの差が大きな違いになる

58分33秒ごろ、高木のシュートを広瀬がカットしたクリアボールを松田陸が収めると、藤田直之、奥埜博亮と水沼を経由しつつ、マリノス最終ライン左に出来たスペースへと走り込んだ松田へ再びボールが渡ります。

松田の走り出しに畠中が引っ張られ、最終ラインの形成がグラついたところで高木が広瀬を出し抜くようにスプリント。松田がクロスボールを上げた頃には既に趨勢が決まっていました。ボールは高木のヘディングを経由してマリノスのゴールへと吸い込まれていきます。

あくまでも強いて言うなら、ですが広瀬にはもうちょい高木のことを気にしててほしかったなぁと思います。サイドバック的な間合いならあれでもよかったかもしれませんが、当時広瀬がいたのはCBの位置であり、バイタルエリアでもありました。距離が3歩分もあればこれだけ引き離されてしまうんや、という高いお勉強代になってしまったのです。

3点目:ぐぬぬ

ささ、ボスは気を取り直してエジガルを呼んだそうで…ってところで今度はパスミスから素早いカウンターを食らってしまいます。64分30秒の時点ではボールホルダーの高木を含めて3対3の同数ながら、左サイドバックのワー坊が高めの位置にいたため、ワー坊の裏のスペースを水沼に使われてしまいます。チアゴが「これはイカン」と付いていきますが、これによってブルーノ・メンデスがフリーに。水沼がそれを見逃すはずもなく、グラウンダーのパスをスルッと通していきます。

急いでプレスに向かったワー坊と後ろから走ってきていたキー坊のダブル坊やによって一度はピンチを防ぎますが、チアゴが食らいついたため今度は水沼がフリーに。特にプレッシャーもなく、水沼はハーフスペースの位置から落ち着いてグラウンダーのシュートを放って3点目。ぐぬぬ。

ボールホルダーにプレスが掛かってなければ誰かが行かなきゃいけないので最初水沼に掛けたのは仕方がないとして、ブルーノ・メンデスには少なくとも2人チェックに行けてたのでチアゴにはそのまま水沼を見ててほしかったんですけどね…カウンターを食らってる最中なのでそこまで気が回らなかったんだろうと捉えるしかなさそうです。

後半残りのざっくりお品書き

まだ25分近く残ってるんですが全編追ってくのも辛いので、ここから先は個人的に気になった点をざっくり簡単に追っていこうかと。

◎三好との交代でピッチに戻ってきたエジガルは中央に
エジガル投入後のシステムは流動的でグニャグニャ、敢えて書くとすれば4-2-4と2-3-2-3の中間ぐらい?
ラインはとにかく高め、センターラインとほぼ同じ?
◎71分50秒ごろ、オーバーラップした松田に付いていったのがクリリン
◎最終ラインからの縦パスが通るようになるも、その先につながらない場面が散見
◎セレッソはピッチ中央のスペースを埋めるブロック、サイドはある程度捨てる
◎73分37秒ごろ、扇原にボールが渡ったと同時に前線3人(仲川、チュンソン、クリリン)が一斉に前進。一方、エジガルはややゆっくり目の走りでセレッソ中盤ライン〜最終ライン間に残る動き
◎エジガルはその後も中盤に。75分44秒ごろからの被カウンター時も高木に付いていく形で最終ラインのスペースを埋めるなど
◎扇原投入後は2CB(チアゴ、畠中)の前に2DH(喜田、扇原)に加えてSB(主にワー坊)が加わって、2本のラインが形成されるパターン多め
バイタルエリア付近に残る選手が多い。多い時は4人+両WGでアタッカー6人状態も
→セレッソはボールがあるサイドとバイタルエリア付近のスペースを埋めに行くため中央スペースがガラ空きになるが、誰もいないので有効活用できない
→キーパスが入ったサイドとは反対側の選手が前線に張り付いたままで、ギャップを作り出す動きが足りない
◎エジガルのスペースに走り込む動き。4人が張った状態の前線に人数が足りてると見るや、人数不足気味な中盤中央スペースに下りていってパスの受け手に
時折映るセレッソ大阪レジェンド・森島寛晃社長
X JAPANのHIDEよりは薄いピンクの髪した田中亜土夢(ていうかHIDEの髪色がビビッド過ぎるんや)
◎87分38秒ごろ、丸橋祐介からのミドルシュートをストップしてこの日1パギ目を記録(パギの体がめっちゃ綺麗に伸びてた)
◎89分40秒ごろに扇原からの絶妙なキーパスがグラウンダーで通るも足を当てられず、その後悲痛の雄叫びを上げるチュンソン(俺も同じ声出たわ)

といったところで試合終了。パターン化されたものもあれば偶発的なものもあるでしょうが、なんとなーく見えてくるものがありました。

おわりに:1歩踏み出す勇気とトランキーロ

残念ながら3連勝とはならず、負ける時はハデに散るという道化のバギー的な感じでパターン通りの負け試合になってしまいました。早々の失点からリズムを崩し、そこに付け込まれてボコボコにされちゃう試合展開から言えるのはただひとつ、もうトランキーロですよトランキーロあっせんなよ。

さあ、1歩踏み出して新たなロス・インゴ…じゃなかった、常勝トリコロールの原動力に加わるのは果たして誰だ!(動画の内容はマリノスの現状ともそれなりにリンクしてるので、せっかくですしちょっと観てみてくださいね)

同じように1点先制されながらも試合をひっくり返せた鹿島戦とは何が違ったのか?そのヒントは試合後の各々のコメントからして共有できてそうな雰囲気があるので、あとはそれを実行に移すのみ。まずはしっかりと体を休めたら、勇気と、落ち着きと、そして強い気持ちを胸に、かのヴィッセル神戸を我らがホーム・日産スタジアムで迎え撃とうじゃありませんか。

来週こそハデに勝つとこ期待してるぞ!
あとみんな沸騰ユニの引き換えを忘れないようにね!俺はすっかり忘れてたよ!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?