【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第13節 ジュビロ磐田戦

akira(@akiras21_)です。
先週末はなぜか寝不足でした。知らんけど。

【前節までのあらすじ】

セレッソ大阪にアウェーで完敗を喫するも、課題意識を持って横浜へと戻ってきた選手たち。それまでベースとなっていた4-1-2-3から4-2-1-3へとシステムを変更し、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキを欠くヴィッセル神戸相手に4-1と快勝。浮上への弾みを付けた。

このまま勢いに乗りたいトリコロールだったが、ミッドウィークのカップ戦は不調ぶりが拭えない試合内容でまさかのグループリーグ敗退(vsV・ファーレン長崎戦、●1-3)。好ましくない流れを断ち切るためにも、ホームで迎えたジュビロ磐田戦は勝利が望まれていた。リーグ戦連勝を懸けて、気温30度を超える文字通りの熱戦が静かに始まろうとしている…

ということで、メンバーは以下。

[4-2-1-3]
GK:朴一圭
DF:和田拓也、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン
MF:喜田拓也、扇原貴宏、マルコス・ジュニオール
FW:仲川輝人、エジガル・ジュニオ、遠藤渓太

[SUB]
杉本大地、広瀬陸斗、大津祐樹、天野純、三好康児、李忠成、イッペイ・シノヅカ

先発メンバーおよびシステムは前節・神戸戦から変更がなかったものの、飯倉大樹が練習中の負傷の影響でメンバーを外れたため、代わりに杉本大地がベンチ入り。また、ミッドウィークの長崎戦で気を吐いていたイッペイ(愛媛のカエルじゃないよ)も同じく名を連ねました。

ほんならいってみよう!今回こそサクッと!

磐田による「対マリノス対策」の全貌とは

おうそうだよ!びっくりするほど暑かったよ!溶けるかと思ったよマジで!

そんな暑さが関係あったのかなかったのか知らんけど、なぜかエンドを交換。そしてキックオフするやいなや磐田は「ガンガンいこうぜ」ことハイプレスを仕掛けてきました。「これがお前らのやり方か!!!」とか叫びそうなやつ。いやあこの天気で実に暑苦しいこと。

冗談はこの辺にしておいて、なぜ開始早々ハイプレスだったのかと言われれば、

①最終ライン整えたいし何より上げたい
②喜田に前向かれるとマジ厄介

という2点だったんじゃないかなと思います(なにげに韻踏んじゃった)。あとマリノスが立ち上がりに弱いっていうのも織り込み済みだったんでしょうね。これが名将・名波浩の言う「みんなで頭を捻った対マリノス対策」その1ですよ。知らんけど。

ところがどっこい、マリノスはこれにスピードの速いパスワークで対応します。「ナンボでもプレスに来るならパススピード上げて引っ掻き回したらエエんや」という実に明快な回答。ボールを奪われたところで磐田は陣形が整ってないので、その先の磐田の攻撃もなーなーで終わるか裏にポーンと蹴り出して終わり、っていう超分かりやすい展開になりました。

かと思えば、磐田は開始1分ちょいで前線に5人が並んで裏抜けを狙うという超攻撃偏重なファイヤーフォーメーションを早くも披露。ついでに反対サイドのことを顧みないまま猛然とプレスを仕掛けてくるもんで、まーガラ空きなスペースが生まれるわけですよ。でもそれはそれで想定内だったらしく、磐田の最終ラインには5人揃ってたんですね。綺麗に5-3のラインが引かれてました。これが対マリノス対策その2ですかね。

はい、ジュビロ磐田のマリノス対策、以上です。これ以上でもこれ以下でもない、実に分かりやすいゲームプランを開始4分にして披露し終えました。桜庭和志vsホイラー・グレイシー戦を彷彿とさせる展開です。そして売られた喧嘩は買いに行くのがトリコロールのアタッキングフットボール。もうどんどん裏取りに行くし、どんどんセカンドボールも拾いに行くし。桜庭の如き躍動感ある攻撃をバンバン仕掛けていきます。桜庭は終いにゃ飛んだしな。

とかなんとか言ってたらワー坊が流血沙汰だよ!アダイウトンも喜田にランニングボディアタックだよ!おいおい格闘技色が強すぎるぜ!そういや磐田のホームゲームの選曲はPRIDE感たっぷりだったよな!

ラブアンドピースなのほほんムードの裏で

おおむねこんな展開ですから、ティーラトンはそらもう躍動しまくりなわけで。前節は左サイドを中心に動き回ってましたが、この日はもう中央レーンにすらガンガン入ってくる勢い。だって(みんなボールホルダーにプレス掛けに行っちゃうから)空いてるんだもん。そっちが空いてるってことは遠藤にも通しやすいわけで、だから2人ともやたらと目立ってたわけですね。

まだワー坊が治療中で1人少ない状況なのに、そんなん微塵も感じさせない展開です。その後、左サイドで喜田vsアダイウトンの男と男の真剣勝負が再び繰り広げられたところでワー坊が復帰。「出てこいや!!」って感じです。知らんけど。

そうそう、磐田はこの頃にはもうスピードの速いパスワークについていくのを諦めて、世界のHATANAKAによるライナー性の縦パスなんかも見送り始めます。暑いからね、仕方ないね。それがクリリン→遠藤と通って、遠藤はゴチャゴチャしたボックス内をスルスルーっとゆる〜く抜けていくクロスを出します。そのボールの勢いはさながらボブ・マーリーの「One Love」とか流れてきそうな感じ。いい曲だから聴いてみてね。

さて、そんなクロスに対して猛然と走り込んでくるのがさきほど帰ってきたワー坊。「One Love」だった店内BGMがX JAPANの「Blue Blood」に切り替わるぐらいびっくり。

ワー坊の強烈なミドルはゴチャゴチャした磐田守備陣に跳ね返されてしまいますが、まあもう要するに試合はマリノスペースだったわけです。ついでに、

パギからどフリーでパスを受けたティーラトン

これまたどフリーでパスを受けた扇原が難なくクリリンにパス

クリリンの鋭い縦パス

エジガルが裏抜け気味に受けて、引っ張ったらふんわりやさしいクロス

三ツ沢上町駅を通過する時ぐらい勢いのあるハマのブルーライン(快速)こと仲川が惜しくも合わせられず…みたいな攻撃もありました。左サイドバック扇原なんて光景が最早どうでもよくなるぐらいマリノスペースでした。

そんな中ゴールは再三カミンスキーに防がれていたので、「対マリノス対策」というか「戦術カミンスキー」って言ったほうが近いんじゃないかこれ。知らんけど。

見たことのない景色見せてよ

すっかり勢い付いたマリノスですが、磐田のセットプレーを跳ね返した17分26秒ごろ以降のカウンターで驚きの光景が。

ボールを拾った仲川が反転して前を向きドリブルをスタートするわけですが、体の向きそのままにコースを選んだところ左アウトサイドレーンに向かってしまいます。その結果どうなったかというと、同じレーンを駆け上がっていた遠藤とカブっちゃって、東海道線と京浜東北線が並走する横浜〜川崎間みたいな光景が繰り広げられることに。ちなみにこのカウンターは不発に終わりました。

あと、仲川と遠藤がピッタリ並走している裏で逆サイドに流れていたのはエジガル・ジュニオさん。2人と同じぐらいの勢いで付かず離れず、でも2人とは少し違ったエリアを走っていたその様子はさながら京急のようでした。

その後もマリノスは順調に磐田をちゃぶっていきますが、ここで解説の福田さんがおっしゃっていたように、クリリンがまー自由に動き回ってるんです。マークに付いてきゃ別のコースが空くし、かといってほっとくと何か仕掛けてくるしで磐田からしたら嫌だろうなっていう動き方を披露します。これが具体的にどうすごいかは試合会場に訪れていた“人間力”・山本昌邦さんが世界的に信頼のおける統計データに基づいた吸水力を交えながら解説してくれると思うのであえて僕は書きません。知らんけど。

あとクリリンばっかりに目が行きますが、エジガルも相変わらず凄いんですよ。さっきの京急ロールだけでなく、ゴール前で小刻みにちょこちょこ動いて位置を微調整しつつ、「ここだ!」と直感が働いたらどエラい脚の振りの速さでシュートとか打ってたりして。

現役時代にエジガル同様ハムストリングを怪我したことがあるという福田正博解説員も「暖かくなってきて非常に体が動いてる感じがしますよねぇ」と太鼓判。暖かいどころかこの日はかき氷を浴びたくなるぐらいどちゃくそ暑かったんですけどね!!!

1点目:クリリンすげえ(その①)

セットプレーからの田口泰士のヒヤッとするシュートとかあったけどレビューがどっしゃりする前に得点シーンいくよ!

じわりじわりとワー坊が右サイドでボールを運び、センターサークルを少し越えたところで仲川とクリリンが攻撃のスイッチを入れます。ワー坊が仲川にパスを出すと、新里亮と小川大貴の2人が仲川に寄っていきます。が、単に人数を掛けて奪いに行っただけのようで連動性はなく、仲川は一旦後ろに下がってクリリンにパス。そのままワンツーの要領で仲川に出そうとすると、このボールは田口がヘディングでクリア。しかし、こぼれ球にすかさず反応したクリリンがボールを足下に収めます。

クリリンに突破されてはマズいので田口と新里が壁を作るようにプレッシャーを掛けますが、そこはクリリンが一枚上手。新里の左側に回転を掛けたシュートをファーサイドへと放ち、無事ネットを揺らしました。

この一連の流れの中で特に注目したいのは、仲川が最初に上がったときのこと。ここで既にクリリンはぐっと踏ん張って後ろに動き、フリーの状態を作り出しています。ワー坊がパスを出してそのまま走り抜けてったのも大きかったでしょうね。ついでに言うとクリリンの後ろには扇原がいたので、仮に田口のクリアがクリリンの後ろに逸れてたとしても、扇原が拾ってすぐに攻撃をやり直せたでしょう。予備動作も含めていい形の攻撃でした。

フュージョンもちゃんと決まったぜ!こんな感じで前半終わり!

2点目:クリリンすげえ(その②)

はい後がつっかえてるからサッサと次行くよ

58分47秒ごろ、セットプレーを跳ね返した後にクリリンがボールを受けたところからカウンターが始まります。このボールを受けた場面なんですが、いっぺん弾いて山田大記がボールを拾う前の段階で、セットプレーの守備でニアサイドに配置されていたクリリン、遠藤、仲川といった小机町ちっちゃいものクラブ(©お市さん)は左サイドに展開開始。山田がシュートをスカしたと見るやクリリンはギアアップし、喜田からのパスを余裕たっぷりに受けます。

もうこの時点で3対2なんですが、ファーストディフェンダー(松本昌也かな?)がスライディングを選択したところでクリリンは仲川にスルーパス。ボックス内に侵入したら一旦切り替えして高橋祥平を翻弄し、後は冷静にファーサイドへシュートしてネットを揺らします。

万が一カミンスキーに弾かれたとしても、反対サイドには遠藤がどフリーで待ち構えてました。スピード感をそのまま生かして仲川にパスを出したクリリンにあっぱれ上げてください!(ここで「あっぱれ〜」とSEが鳴る)

3点目:おいPKだ!PKだろ!!(※PKです)

てことでリードを2点に広げたマリノスですが、スコアが動くと劣勢になりがち定期を発揮してしまいます。幸い、磐田の攻撃は前後が分断され気味だったため事なきを得ましたが、いやほんと毎度ことなのでそろそろなんとかしてくださいよろしくお願いします。

さてそんなバタバタを落ち着けた後はじっくりと攻める時間帯が来るわけですが、ここでティーラトンが機転を利かせたハーフスペースランニング(ボブスレージャマイカ代表を題材にした映画みたいなフレーズっすね)からクロスを上げたところ、ボックス内にいた大井健太郎がこれをグーで弾いたためPKを獲得。暑いからね、仕方ないね。

といったところでアダイウトンoutですと。ほんでエジガルが難なくカミンスキーの逆を突いて3点目。はいドンドンいくよ!

4点目:扇原すげえ(※得点者はエジガル)

ここで攻め手を緩めたらアタッキングフットボールの名がむせび泣いてしまうので、マリノスはファイティングポーズを崩しません。扇原が荒木大吾からショルダータックルを食らって倒れても攻撃続行。思い返せばワー坊が頭から血流してたって止まんなかったわけですからね。ブレません。

給水タイムを経て一瞬磐田の動きが良くなりましたが、それも防いで再びじわじわと磐田を追い込んでいくマリノス。72分55秒〜31分10秒ごろにかけて遠藤が緩めにドリブルしながら相手の注意を惹き付け、そして押し込んでいたのが象徴的というか何というか。

この場面で本当に重要な動きをしていたのは扇原でした。遠藤が前述のドリブルで相手を引っ張る一方、空いた左サイドを扇原が上がっていくわけです。73分3秒ごろから右サイドの選手たちに寄るカメラアングルに切り替わり、7秒後の73分10秒ごろにいつもの俯瞰視点のそれに戻ると、扇原は完全に左ウィングのポジショニングをしていました。「あれ、遠藤いつの間に戻った…?」とか一瞬思っちゃったのはここだけの話。

もっとビックリしたのは扇原が裏抜けして、しかもバッチリ決まった(73分25秒ごろ)こと。扇原はそのままゴールライン際までドリブルし、エジガルの足下目掛けてグラウンダーのクロス。エジガルも足を当てただけな感じでゴールネットに流し込んであれよあれよと4点目です。あまりにも驚きが多いシーンなので、ちょっと↓のリプレイでもご覧になりながらもっぺん確認してみてください。

ここから先は、

◎チアゴがセンターライン超えどころかアタッキングサードに侵入する勢いでマツダロールを披露(77分4秒ごろ)
◎仲川カットインからエジガルのハットトリック未遂(77分47秒ごろ)
◎エジガルと仲川が下がったのにAJ10と世界のMIYOSHIが出てくるとかいう、四天王倒した後にライバルが出てくるポケモン赤・緑版みたいな展開
◎そのAJ10→世界のHATANAKAのヘディングがポスト直撃(84分32秒ごろ)
畠中さんの畠中さんに父ちゃん母ちゃんロドリゲス(86分45秒ごろ)
◎絶好機もまだまだ決まらなかった遠藤(89分5秒ごろ)
◎遠藤からのクロスに対して、足の振り抜き方とボールの軌道が全く一致しないチュンソンのシュートという2人揃ってnot his dayなゴール前(92分35秒ごろ)

とかそこそこいろいろあったんですが、スコアは結局動かなかったんで深くは取り上げずにそろそろ締めちゃいましょうか。

おわりに:真夏のピークはまだまだ先だけど

圧倒的じゃないか我が軍は!!!

って言いたいところですが磐田も磐田でなかなかアレな状態だったもんで、なかなか諸手を挙げてというわけにはいかん気分です。むしろもう何点か入っててもおかしくなかったよなとすら思ってますが、とはいえ暑かったんで本来のコンディションだったかどうかもちょいと疑わしく(いやそれでも113.518kmなんでめちゃくちゃ走ってたんですけどね)。そんな中で扇原は11.7kmも走ってたんで、影のMVPと呼ぶにふさわしい働きをしてたと思います。いやアシストしてるしあながち影でもないと思うんだけどね。知らんけど。

何はともあれ今季3度目の連勝ですわーいわーい。令和入ってからのリーグ戦は9得点4失点だし、今季はまだリーグ戦ホーム無敗だったりします。ついでに僕が現地観戦したリーグ戦も今季はまだ負けてな…ん、札幌?何のことかな?

てなわけで結果的にひと足速い花火大会を5月下旬に白昼堂々無事開催したわけですが、お次はアウェーで湘南ベルマーレとの(プレミアム)フライデーナイトJリーグ。

こっちはガチで花火上がるみたい!ぜひとも勝って5月を締めくくりたいところですね。熱戦を期待しましょう!

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