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【#ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第22節 鹿島アントラーズ戦

akira(@akiras21_)です。
2足す2は4だし、2掛ける2でも4ですね。

【前節の振り返り】

・チアゴ・マルチンスが出場停止、エジガル・ジュニオ負傷離脱もマルコス・システム継続
・中央を固めるブロック守備に手を焼き、サイドチェンジもスピード感を欠く
お願い!ドウグラス

ピッチコンディション不良も指摘されていましたが、それを差し引いても清水に課題を突きつけられた試合でした。なかなかに辛い敗戦。おかげでレビュー公開が金曜になってしまいました。いやすいません全然関係ないです。

【vs鹿島 前回対戦の振り返り】

平成最後のThe CLASSIC
・和田拓也がリーグ戦初先発、負傷欠場していた朴一圭が1週間早く復帰
・試合序盤に失点も、後半に盛り返して逆転勝ち

この試合の前にも札幌でそりゃもうドイヒーな負け方をしてジンギスカンと美味しいお寿司を食べた記憶しか残らなかったという経緯がありました。それだけにこの鹿島戦で盛り返したので、今節も勝って再びそうした流れに乗りたい!といったところでした。

てなわけで、今節の試合に挑むメンバーは以下。

[4-2-1-3]
GK:朴一圭
DF:広瀬陸斗、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン
MF:喜田拓也、扇原貴宏、マルコス・ジュニオール
FW:仲川輝人、大津祐樹、遠藤渓太

[SUB]
杉本大地、ドゥシャン、伊藤槙人、松原健、中川風希、渡辺皓太、三好康児

基本システムはマルコス・システムこと4-2-1-3を継続。出場停止明けのチアゴが復帰したほかは先発メンバーに変更はなく、東京ヴェルディから加入した渡辺皓太が早々のメンバー入りを果たしました。

それじゃ今節も元気にいきましょう!先手必勝!

1失点目:鹿島の20秒

はい来ましたよまさかの出オチ!

いちおうおさらいすると、キックオフ後に鹿島FW伊藤翔がボールホルダーの扇原にプレス。扇原からはクリリン→喜田→広瀬とつながりますが、この時点で縦方向のパスコースはありませんでした。

そしたら下げるしかねーべとチアゴにボールが渡り、その後そのままパギへ。その時点ではフリーだった畠中につながりますが、彼の正面に伊藤翔が立ったところで畠中は再びパギへ。ボールが渡る裏で土居聖真が近付いていたので、パギは土居をいなしつつ、ゆるめのボールでティーラトンにつなぎます。

が、プレスが迫っていたこともあってか、この時点でティーラトンの体勢は後ろ向き。一瞬だけチアゴへのパスコースがありましたが、ティーラトンがボールをトラップした頃には名古新太郎がそのコースを消していました。

グイグイ迫りくる鹿島の4枚によるプレス。ティーラトンはボールを一旦クリアしようとトラップでコースを変えますが、その先にはすでにセルジーニョがスタンバイ。クリアボールをクリアし、こぼれ球を土居が拾い、再びセルジーニョにボールが戻ります。

ちなみに、ティーラトンが選んだコースとは反対方向に喜田が待っていましたが、近くにはやはり名古の姿。1人で2人のチェックを担当するこのポジショニングは、それこそシティ戦で苦しめられたものでした。

さてセルジーニョはボールを受けた後にティーラトンのプレスを千切り、ペナ角付近からコントロール重視のミドルシュート。ファーサイドポストの根元に向かってボールが綺麗な弧を描いてこの試合最初のゴールが決まりました。

なんとかできたようでなんともならなかった失点、この間わずか20秒。前節清水戦レビューの締めに書いた「ビビったら負け」がそのまま反映されてしまい、個人的にも痛恨の失点でした。ぐぬぬ。

クォーターバック・扇原貴宏

気を取り直して試合再開。マリノスは前節の教訓を生かして、サイドが空いていても可能な限り中央を使うビルドアップを展開します。

ここで気になったのが扇原の使い方。2分20秒ごろ、畠中がボールを運んでいた裏で扇原が1列ポジションを下げました。これはチアゴの隣に空いたスペースを埋める動きでしたが、畠中の縦パスが相手に跳ね返って戻ってきたのを扇原が拾うと、喜田とのパス交換と少しのドリブルを経て、左サイド前方の遠藤を狙ってロングフィードを敢行しました。

扇原がドリブルを挟んだのは遠藤のポジショニングを考慮したものだったのではないかと思われますが、以前も扇原がしばしば見せていた「最後方からのロングフィード」、いわゆるタッチダウンパスによってプレーエリアを上げることにしたのです。

前節の清水戦レビューでも触れましたが、マリノスの攻撃は「相手をハーフコートに押し込めること」が第一段階の目標。そのままピッチ半分でシュートを重ねてはセカンドボールを回収し、そのまま第二第三の攻撃へと連鎖させていくことが基本線となっています。そのため、選手のポジショニングもさることながら、ボールそのものがどこにあるか、そしてどこへ運ぶのかというのも大きなポイントになります。

その点、扇原のように正確なロングフィードを蹴れる存在、そしてそれをキチンと受けることができる技術やポジショニングを備えた存在は必要不可欠です。そしてこのタッチダウンパスは序盤のみならず、試合を通して何度も観られたプレーでした。

ヨネスケが「なかなか」って言う料理はあんまり美味しくないらしい

その後、最終ラインの裏に抜け出した伊藤翔をパギがハデに止めるシーンなどを挟みながら時計の針が進んでいく中、ちょいちょいカウンターのチャンスが生まれますがことごとく阻まれます。特にクリリンへのチェックはかなり厳しく、以降もたびたびハードタックルを浴びることとなります。

そんなもんでじわじわとビルドアップしてく感じになるんですが、鹿島の4-4-2ブロックをなかなか崩せず。一方で鹿島はネガティブトランジションがゆったりしていたので、マリノスはこれを逆手に取ってパギの素早いボールスローから縦に運ぼうと試みますが、これもなかなかうまくいかず。ていうか「なかなか」って言い過ぎてそろそろポケモンがゲットできそうな勢い。シカのポケモンっていたっけ。知らんけど。

ほんでプレーエリアを上げられたと思えば、今度は自分らが急ぎすぎて鹿島のブロックに自ら突っ込んでっちゃってロストしたりともったいない展開に。前節は突っ込まなすぎて機能不全に陥ってたのでその反動だったかもしれませんが、なんていうかこうちょうどいい塩梅を探すのって難しいですよね。崩す動きって、なかなかひとりじゃできないもんですし。

前半のうちに追いつきたかった

ここらで鹿島のブロックの動き方を見てみると、

◎ベースは4-4-2
◎重心はピッチ中央
◎鹿島中盤脇のアウトサイドレーン(サイドバック以前)は基本的に深追いしない
◎クリリンにはマンマーク
◎最終ラインはやや高めでコースを消しに行く

みたいな感じ。真っ向から行ってもアカンと思い始め、前述のタッチダウンパスを使うようになってからは徐々に主導権を握れるようになり、いくつかゴール前での惜しい場面も。ここでひとつ決めてればその後ラクになったんですがしゃーなし。

ただ、前節の清水ほどガツガツ食いついてこない鹿島のディフェンスに対して選手たちもちょっと余裕が出てきたのか、たとえば扇原が四方を相手に囲まれるエリアに飛び込んでパスを受けたりと、徐々に真ん中を使ってビルドアップするようになっていきます。パスと同時にインサイドハーフやサイドバックが上がって相手選手を惹きつけつつ、その空いたスペースに別の選手が走り込んでパスをつなぎ…というのを連続で実行するシーンも。

で、ある程度持ち上がったらサイドへパスを通す、と。遠藤ならコンビネーションで崩しにかかり、仲川なら単独突破を試みるといった流れです。欲を言えば、後者についてはもう少しサポートが欲しかったところ。ひとりじゃ抜けないと見るや、仲川はタメを作って味方の上がりを待っていたようにも見えましたしね。

ちなみに、扇原のイエロー1枚目は仕方なかったと思います。

そんなこんなでボールは回るようになったし、プレーエリアも押し上げ始めたわけですが、得点にまでは結びつかず。42分39秒ごろには遠藤のミスパスに直接合わせた土居の強烈なシュートをパギがこれまた強烈にセービング、本日1パギ目を記録したシーンもありましたが、スコアは0-1から動かず前半終了。

食いつかせといてスパーン、そして変わる雰囲気

ハーフタイムでの選手交代はなかったものの、1トップに仲川、右ウィングに大津という配置転換が行われて後半キックオフ。

すると開始早々からブエノのヘディングシュートがサイドネットを揺らしたかと思えば、直後にティーラトンが上げたクロスに後方から大津が突っ込みますが惜しくも合わず…なんて具合にスピーディーな展開が繰り広げられます。

その後もサイドを使った攻めの際に食いつかせといてスパーンといったパスが通ったりする一方で、鹿島のプレス強度がグイグイ高まっていました。もうとにかくクリリンが潰されること潰されること。これに業を煮やしたのか、クォン・スンテが裏を狙って蹴ったフィードにパギが飛び出し、トラップで伊藤翔をかわすという一幕も。いや関係ねえな。

まあそれはそれとして、両チームとも攻め上がりこそあれど最後はやらせないという比較的ソリッドな試合運びで時計が進みます。しかし、55分ごろに小池裕太が蹴ったコーナーキックにブエノが合わせ、伊藤翔の下に跳ね返ったこぼれ球がつながりつながって最終的に土居がシュート、ゴールネットを揺らす…というプレーがオフサイド判定になってから、スタジアムのムードが一変します。

1点目:仲川輝人、翔ぶ

鹿島側ゴール裏を中心に、怒りのボルテージを存分に含んだ声援が圧を掛けるようにして飛んでくる中、再三のセットプレーを跳ね返したマリノス。64分には大津に代えて三好を投入してトップ下に配置し、クリリンは1列上がって1トップ、そして仲川を右ウィングに戻しました。

すると早速ゴールが生まれます。66分34秒ごろのリスタートから流れを追っていきましょう。

喜田以降はディフェンスライン周辺でパスワークがつながり、畠中からティーラトンにボールが渡ります。それと同時に遠藤が斜めに駆け出して小泉慶を惹きつけてハーフスペースを空けると、ティーラトンはボールを扇原に預けてそのスペースを突くように走り出します。

扇原がボールを持って前を向いた66分47秒ごろ、マリノスから見て左サイドに重心が寄りつつ、その奥で仲川がひとりポツンと浮いた状態になっていました。いわゆるアイソレーションの状況が作れていたわけです。

ということで扇原は仲川にロングフィード。広瀬とのコンビネーションで小池裕太を翻弄しつつゴールライン際へ走り込むと、ボックス内でクリリン、三好が駆け出していた一方で、今度は遠藤が反対サイドでアイソレーションを作り出していました。

仲川は遠藤にマイナス方向へのクロスを放つと、わずかに反応が遅れたのか、遠藤は足を滑らせながらもボールを蹴ります。これが仲川のほうへと跳ねて、仲川はフリーで何気に打点の高いヘディングシュート。こうして67分に同点弾を叩き込みます。

この場面で鹿島が「仲川はオフサイドではないか?」という抗議をしていましたが、犬飼智也が守備の一環で一時的にゴールライン外に出ており、かつクォン・スンテがゴールライン上に立っていたため、オフサイドラインはゴールラインという判断になっていました。ちょっと昔の事例ですが、似たようなシーンとして下記のような事例もあります。

なにはともあれ、これで同点!

残り20分で立てられたフラグ

アウェーで1-1の同点に追いつき、残り20分余をどう戦うか。こう問われればもう1点を狙いに行くのは当然ですね。しかしこれは鹿島とて同じで、最近話題の上田綺世(初見だと「あやせ」って読めない)を投入します。

マリノスはその後もゴールを狙い、畠中のフィードを三好が足下に収め、後ろから抜け出していたクリリンにスルーパス、そしてシュートもクォン・スンテに防がれる…というシーン(73分ごろ)も見られるなど奮闘。そんな中、三竿健斗に肘打ちを食らわせてしまいこの日2枚目のイエローカードで退場。ここに来て1人少なくなるという非常に辛い展開となってしまいました。

扇原の退場に伴い、マリノスは布陣を4-4-1に変更。クリリンを1トップに据えてのスクランブル対応となりました。それを受けて鹿島はボールサイドに極端なまでに人数を集めるオーバーロードでマリノス守備陣の撹乱を狙います。そしてボールを持ったらじわじわと運びつつクロスを入れる、といったやり方。

マリノスは1トップこそ置いてはいるものの、ファーストディフェンスには行かずに中盤の厚みを増す方向性。同時にディフェンスラインを上げ、1人いない状況をラインの高さで補うやり方を採用しました。

対する鹿島はマリノスのビルドアップ時の喜田に狙いを定めて、とにかく前を向かせないプレスを敢行。ボールがミドルサード以降に入ると、プレスの狙いはクリリンへと移行します。そんな中でもティーラトンがかなり深い位置からグラウンダーの高速スルーパスを入れるなど、工夫を凝らした攻めが散見されました。ていうか結果こそオフサイドだったけどあれ通せるってティーラトンすげえよ…

1人減っても基本は同じ、なんだけど…

といったところで鹿島は名古に代えて相馬勇紀を、マリノスはクリリンに代えて伊藤槙人を投入しました。そりゃあれだけ狙われればクリリンは消耗もしますわな。伊藤槙人はプレーエリアに駆け寄りながら3バックへの変更をチームメイトに伝えつつ、セットプレーに備えます。この後2つほどゴール前でのシーンがありましたが、それはいずれも防ぎました。

ということで急造3バックがお披露目されることとなったわけですが、伊藤槙人とチアゴの距離感が近いのが気になりました。実際、これは後々のフラグとなるわけですが…

はてさて守備の基本は5-4-0の2ラインで守るやり方で、反対に攻撃のビルドアップはチアゴと伊藤槙人を最終ラインに残し、畠中と喜田のダブルボランチのような形が組まれました。喜田は右サイドへ、畠中は左サイドへと流れつつ、流れを見て三好が下りてくる…といった具合。敢えて表記するとすればセンターフォワード抜きの2-4-1-2といった陣形でしょうか。

しかし、この後マリノスは鹿島によって徐々に押し込まれ、とうとうあのシーンを迎えてしまいます。

2失点目:なんでブエノここにおんねん

鹿島のスローインから始まったプレーで、白崎凌兵にボールが渡った86分41秒ごろの状況を見てみると、最終ラインは6対6と数こそ足りていたものの、マリノス側から見て右サイドに張っていた相馬、そして反対サイドではブエノが浮いてしまうという状態でした。ていうかなんでブエノここにおんねん。

で、白崎から三竿にボールが渡ると、三竿は土居を目掛けて浮き球のフィードを選択。その瞬間に上田が畠中のマークから外れ、セルジーニョと被るようにして土居に近付きます。

フィードに反応してリトリートを試みた伊藤槙人でしたが、後ろに立っていたセルジーニョにぶつかってしまい戻れず。近くにいたチアゴは後ろのケアをしきれず、ボールが飛んでしばらくしてからリトリート。広瀬も土居にプレスを試みますが、土居は難なくボールを上田に折り返し。ボールを数バウンド遊ばせてからパギの逆を突くという余裕たっぷりのシュートを沈められてしまいました。ぐぬぬ。

畠中が体の向きを反対側に向けてしまっていたこともありますが、人数が足りていたという認識のもと、マークの受け渡しが行き渡らない一瞬のスキを突かれてしまったな、という印象です。ほとんど関与していない鹿島両サイドのピン留めも、結果的にはその効果を存分に発揮することに。ていうかなんでブエノここにおんねん…

焦ってばかりもいられないマリノスはティーラトンに代えて中川風希を投入。相手を背負いながらのライン際ドリブルやかなり惜しかったドンピシャのコーナーキック、そして相手を背負ってのクイックターンなど、短い時間ながら印象に残るプレーを見せました。

ただ、鹿島はここまで来たら攻めるよりも時間消費を優先。鹿島って鹿島ってタイムアップとなりました。

おわりに:やり切れ、ぶち破れ

今季初のリーグ戦連敗に終わったわけですが、悔やまれる部分があったように、前節の反省を活かして取り組めたことがあったのもまた事実。J1の中でも特にインテンシティの高い鹿島相手に実行できたことは、次節以降の巻き返しのために多分に活かすべきでしょう。

もう相手に合わせる必要なんてない…と言いたいところですが、とっくに相手はマリノスに合わせてきてるんですよね。ここ数試合の相手チームはどこも同じブロックを敷いてきてるし、同じところを狙われてるじゃないですか。その時点で相手に一定のサッカーを強いているわけで、今はもうワンステップ上、取りこぼすことなく相手をぶち破るフェーズに入ってきてるんです。

ざっくり見ててもこれだけポイントが出てきてるので、チームはきっともっと見つけてるはず。リーグ優勝・ACL出場権を手繰り寄せるためにも、次節ホームにセレッソ大阪を迎える一戦は勝ち点を取りこぼすことなく、願わくばトリパラを回してお盆休みを締めくくりたいものですね。

どこまで行ってもやること、目指すことは同じ。いろんなアプローチ、手数を増やしてきてるので、次節も勝利を期待しましょう!

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