【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第6節 浦和レッズ戦

akira(@akiras21_)です。
公私にわたってアタフタしちゃって、もうシャバダバよ。

【前節までのあらすじ】

中断期間明け最初の試合はホーム・日産スタジアムにサガン鳥栖を迎えての「フライデーナイトJリーグ」。年度末の金曜に集結した2万超の観衆の前で勝利を手にするべく試合の主導権を握るも、シュートはクロスバーに幾度となく阻まれ、スコアレスドローに終わってしまった。

敗戦に等しい悔しさの残るホームゲームから1週間、トリコロールの一団は埼玉スタジアム2002へと乗り込む。昨冬衝撃的な移籍を果たした山中亮輔や、かつて攻撃の起爆剤として活躍したマルティノスらと相対する一戦には横浜からも大勢のサポーターが集結した。今季の趨勢を占う2度目の金曜夜、試合開始を告げるホイッスルの音が鳴り響く…

ということで、先発メンバーは以下。

[4-1-2-3]
GK:朴一圭
DF:松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、広瀬陸斗
MF:喜田拓也、三好康児、天野純
FW:仲川輝人、エジガル・ジュニオ、マルコス・ジュニオール

スターティングメンバーに変更はなかったものの、前日までの練習中に違和感を覚えた大津祐樹が出場を回避し、代わって山谷侑士がサブメンバーに名を連ねました。今季は比較的ギリギリな選手編成のもとでチームが動いているので、シーズン序盤にして総力戦の様相を呈しています。

それじゃ早速いってみよう!勝ちたいんや!

開始7分の先制点:蝶の羽ばたきと浦和のトロ

さっそく来たで先制ゴール!
なんか三好の位置がちょっぴりオフサイドっぽいけどこの際気にしない!

このシーンに限らず、浦和のプレスは全体的に片方サイドへと追いやっていく方式を採用していました。それに合わせて反対サイドもあまり幅を取らず、敢えて密集地帯を作っていくような位置取りだったので、なーんかどことなく既視感のあるポジショニングだったわけです。

そんな前置きを踏まえつつ、当時守備に就いていた浦和の左SB山中の視点から一連の流れを見てみると…

①松原→三好にパスが通る
「おっ、そこ通ったか。仲川もサイド張ってるし(チラッ)、パス出てきそうやな」

②三好→仲川にパスが通る
「やっぱり通してきよったか。サイドに押し込める感じで斜めのコース消して…って三好抜けてきてるやん!あっでもエヴェルトン来てるし仲川のケア任せとこ」

③三好が仲川の裏を抜け、仲川からパスが出る
「えっ、三好速っ!しかも外に膨らんでから内に絞って走ってきよる!やっば、体の向き反対側になってもた!てかボール来てるし!このままやと三好に通ってまうから足伸ばして蹴り出したろ!あっ

ということで、山中としてはチームの決まりごとである「サイドに寄せて奪いに行くプレス」をちゃんと遂行したものの、小手先の部分で裏を掻かれた形となりました。結果的には逆向きとなってしまった山中の体の向きも、当時のそれぞれの位置からすれば、あのまま行けば仲川がトップスピードに乗る前にドリブルのコースを切れるという見立ての上だったのだろうと思います。知らんけど。

あと、山中がクリアしたボールがマウリシオと西川周作の中間の微妙な位置に転がっていって、何とも言えないゆる〜い勢いが付いたままクリリンの足下へ。偶然に偶然が重なった先制点ではありましたが、西川はあのコースで走ってったんならそのまま体落として滑り込みキャッチで良かったんじゃ…と相手チームながらに思います。

この後もずーっと山中の裏が明らかな穴になってたんで、マリノスとしては当然のようにどんどんエグっていくわけですが、とりあえず山中はStop Crying Your Heart Outということで『バタフライ・エフェクト』でも観て心を静めればいいんじゃないですかね。知らんけど。

自由自在のAJ10

ということで、ここからマリノスはどんどんとやりたいことをやり始めていきます。なぜかと言われれば答えは簡単で、浦和のプレスが緩かったからです。いっぺん剥がしたらその後追ってこないとなればそりゃーもうやっちゃえNISSANってなわけですよ!

さて、すでにチラホラと話題になっておりますが、AJ10こと天野純の自由自在なポジショニングも時を同じくして見られるようになります。たとえば13分5秒ごろからの約30秒間の流れを観てみてほしいんですが、

画面左側からひょっこりはん

ボールを受けに下がってくる
(松原と擬似2ボランチ)

畠中とパス交換したらふらりと左サイドへ
(松原が高さはそのままに右へと開き、加えて三好が下りてきたため、AJ10・喜田・三好の擬似3ボランチ

そのままのらりくらりとピッチ中央へ

といった具合に、どっかの女子高生バンドの曲名みたいにふわふわとした移動を繰り返しています。AJ10はこの動きの中でいい感じにセーフティでボールを受けられるポジション取りをしてたり、あるいは相手の注意を惹きつけてたり、はたまた味方に安全地帯を示したりしてるんですよね。その昔トリコロールを牽引してたあのウルトラレフティーをちょこっとだけ彷彿とさせます。

なんでこんだけ自由に動けるかって?浦和のプレスが(以下略
しかしエヴェルトンがしびれを切らしてどんどん前にプレスしてきてはポッカリとスペースを作っちゃったりしてて、浦和控え室のロッカーは大丈夫だったんでしょうか…DAZNで解説を務めていた福田さんの「なんか3年前の浦和とF・マリノスとは全く逆のスタイルになってますね」という含蓄のあるひと言がとっても印象的です。

アクシデントは突然に

さあそんなこんなでわりとやりたい放題やってたマリノスですが、

おや
エジガルの ようすが・・・?   ▼

必死にBボタンを連打してる人もいたでしょう。29分12秒ごろ、パギからのロングフィードを胸トラップすると見せかけて、マークに付いていた槙野をいなしつつスプリントをかましたエジガル・ジュニオ。なんや自分足速いやんけ!と思ったのも束の間、中央にいたクリリンへとクロスを出した後に不穏な歩き方を見せてしまいます。

そこからプレーへの関与をやめるかのようにピッチ右奥に立っていたエジガルですが、なんとフリーになっていたためクリリンがエジガルへボールをリターン。しゃーないもっぺんクロス入れたるわ!!と右脚を振り抜きますがこれは青木拓矢に阻まれ再びボールが戻ってくる展開に。

すると今度は長澤和輝のタックルに遭い、いかにも立ち上がるのが限界な素振りを見せ始めます。その後浦和のカウンターをしのぎ、パギがボールを外へ出したところで交代を余儀なくされました。槙野にヨーイドンを仕掛けた際に思いっきり負荷がかかってしまったのでしょう。具体的にはこのような結末に。

ちなみにエジガルはバイーア時代にも右足の怪我で1ヶ月半ほど実戦を離れてたりするので、あんまり癖にならなきゃいいのですが…まさかのアクシデントによって遠藤渓太が早くも登場(山谷も準備してたけどね)するわけですが、これがさらなる展開への布石になろうとは誰も思いませんでした。

#今日の遠藤さん

たびたび思うんですけど、遠藤って別に何もできないわけじゃなくて、あれこれ考えてるうちに最初考えてた選択肢がなくなってっちゃってるような感じなんですよね。で、選択肢がなくなったらなくなったで安全策を取りに行くと。

このことから、遠藤は「あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいもっともっと欲しい 俺には夢がある」というブルーハーツなスピリットの持ち主であることは明らかでしょう。なので欲しがっちゃう前にスパッと選択したプレーは概して効果的だったりするんです。

たとえば45分45秒ごろのワンタッチプレー。サイドから切り込んでって最終的にはAJ10に落とすというプレーだったんですが、これは切り込みの駆け出しからワンタッチパスまで迷いなくしなやかにプレーできてて、かつAJ10もスパッと振り抜けたので良い選択でした。

ついでに2点目の場面も似たような感じで中へと絞っていって、三好のシュートの跳ね返りを再度シュートするなど、蔦谷好位置っていう名前がふと思い浮かぶぐらい小気味よいポジショニングを見せたりもしています。蔦谷好位置、いいですよね。いつでもDVD借りられそうな響きだし。

#今日のおパギさん

さてJ1リーグ戦デビューから2試合目にして地元・埼玉凱旋を果たしたおパギさん。立ち上がりはマリノスが攻める場面が多めだったこともあってパギのプレー機会は少なめだったんですが、びっくりしたよエジガルへのぴったりロングフィードは!

あとあれですね、スローインのボールスピードが実は速いし、緩急を付けるのがうまい。このへんは鳥栖戦でもちょっぴり見られたんですが、オーバースローでもアンダースローでもボールが走ってるんですよ。

この日で言えば63分10秒ごろに喜田に出したスローインの縦パスがちょうどいいラジオ…じゃなくてちょうどいいスピードだったんですよね。程よく緩いんだけど、転がってるんじゃなくて走ってる。だからトラップもしやすいし、次のプレーにも繋げやすい。かと思えば、65分45秒ごろに槙野からのロングシュートをキャッチングした後はすぐさまグラウンダーで畠中に速めのパスを出すというメリハリの付け方。この気遣い、おパギさんはきっといいお父さんになれると思います。知らんけど。

そろそろ締めるよ3点目:気持ちいい崩しってこんな感じ

パギに触れたところでそろそろ締めにいきたいと思います。そうです、パギが実質起点になった3点目についてです。

バックパスを受けたパギが仲川にロングフィードを出したあたりからマリノスは右サイドに選手を集めて、全体的に均整を保とうとしてきた浦和の守備配置を崩しにかかります。意図的に自分たちの配置をズラして相手にもズレを作る、砕いて言えばぐっちゃぐちゃにしてやろうというわけです。

このやり方自体は試合を通して何度も見られたものなのですが、2-0という点差、そして70分に差し掛かろうかという時間帯によるダブルのプレッシャーが浦和に焦りをもたらしました。端的に言ってしまえば「なぜそこに柏木」なんですが、ここではむしろ相手の右SBである森脇良太を中央まで引っ張った遠藤の動きに賛辞を送りたいと思います。

パギから仲川にフィードが通ったあたりから遠藤の視界がどうなってたかをチェックしてみたんですが、DAZNで見る限り遠藤は広瀬のほうに首を振ってないんですよね。ひょっとしたら視線だけを動かして広瀬の位置を確認してたかもしれませんが、とにかく遠藤はチームとしての約束事を忠実に実行してスペースを作ったということになります。あるいは、三好も同じくマークを外れていたため、ひょっとしたら三好を活かすための動きだったかもしれないですが。

そして、なんと言っても広瀬の落ち着き。どフリーで受けてそのままワンタッチシュートでも良かったところを、敢えてトラップしてボールを置き、余裕を持って力の抜けたシュート。ゴール裏にいた人なら分かってくださるかもしれませんが、広瀬がトラップしてからゴールネットが揺れるまでの間は時の流れがゆっくりだったのを今でも鮮明に思い出します。ああいうの気持ちいいよね!

おわりに:勝って兜の緒を締めよ

てな具合に、20分を残してほぼ試合が決したのでざっくりレビューもこのへんで。この後もいくつか約束事が感じられる動きや得点機があったりしたので、欲を言えばもう1点欲しかったよねという印象でした。ただ、なによりクリーンシートで試合を締めることがひとつの目標だったと思うので、最後まで集中を切らすことなく失点ゼロで終えたのは良かったといえるでしょう。

しかしながら、3-0で快勝したとはいえ、あんまり参考にならないかもしれないなとも思っています。というのも、浦和が4バックを基調としたゲームモデルに慣れていなかった節がいくつもあったからです。ブロックを組んで耐えるのか、圧縮プレスを掛けて奪いに行くのか、カウンターでスパッと攻めるのか、はたまたじっくり遅攻を仕掛けるのか…といったあたりの意思疎通があまり上手に図れていなかったのではないかと感じました。

そういった点でも、次節の名古屋グランパスは個々の高い技術に共通認識という軸を据えたチーム作りをしている相手なので、まだまだ試される試合が続きそうです。浦和戦で得た自信はそのままに、優勝戦線へと食い込んでいくためにも、次節も勝利を狙っていきたいところですね。

最後にひと言。ご唱和ください!

\#埼スタ遠すぎ/

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