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ハイスペック園児 まさや君~異世界転生クエスト編~ 第1章

はじめに

まずは京都アニメーション関係者の方達や、先にこのnoteを読んでいただいた方達にお詫びを申し上げたいと思います。

今回投稿させてもらう『ハイスペック園児まさや君~異世界転生クエスト編~第1章』は、当初『京アニ支援note』として、その売上金を全額京都アニメーションに寄付するという企画で行いましたが、2019年の10月末をもって、京都アニメーションの方が支援金の口座開設を終了する事になりました。
しかし私自身がこの情報を知らずに10月末でまとめた売上金を11月に送ろうとしていたので、受付口座の方が既に開設しておらず、振込む事が出来なくなってしまいました。
大変申し訳ございません。
note購入者の方には事情を説明して、今回の売上金を千葉の台風被害の義援金として送る事に了承してもらいましたが、今後はこのような事がないように責任を持って活動していきたと思っています。
誠に申し訳ございませんでした。

私自身は、これからも京都アニメーションだけではなく、何等かの形で社会に貢献出来る活動をしていきたいと思っていますが、今回の事を踏まえた結果、このnoteのシリーズに関しては通常のライトノベル作品のnoteとして販売させていただこうと思っています。

京都アニメーションに関わっている皆さんや台風被害にあわれている方々が少しでも早く笑顔を取り戻し、また新たに明るい未来を築ける為のお手伝いが出来ればと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します。


※ちなみに「あきらさんって何者?」という方は、こちらをご覧ください⇩
あきらさんのブログ『あきらさんの笑える為に』

あきらさんのTwitter⇩


今回の作品は、以前「小説家になろう」に投稿していた作品のリメイクになります。

あきらさんが描くショートギャグ小説の人気シリーズ
『ハイスペック園児 まさや君~より子先生!! ボクのおちんちんは見せ物じゃないんだ!!~』のセカンドステージとなる『異世界転生クエスト編』を、新シリーズとして書き起こしました。
今後も笑える作品作りを目指し、皆さんを笑顔に出来るように頑張って書いていきますので是非楽しんでください!

※まだ『ハイスペック園児 まさや君~より子先生!! ボクのおちんちんは見せ物じゃないんだ!!~』を読んでいない方は、こちらからご覧になってください

「小説家になろう」で連載中
『ハイスペック園児 まさや君~より子先生!! ボクのおちんちんは見せ物じゃないんだ!!~』

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『ハイスペック園児 まさや君~異世界転生クエスト編~』

あらすじ


ここは何処にでもある普通の幼稚園
その名も『ファンタスティック幼稚園』
尋常じゃないほどの高いIQを持ち、ハイスペック園児と恐れられている天才児のまさや君は、この幼稚園で日常的な非日常を送っていた……
担当の保育士であるより子先生は、いつもまさや君に翻弄されているが、今日ばかりはいつもと様子が違うようだった……


前書き

突如として異世界に飛ばされてしまった、ファンタスティック幼稚園のより子先生とまさや君達。
なんとそこは、幼児用天才育成RPGゲーム『異世界転生クエスト』の中だった!!
保育士1人と幼稚園児3人という前代未聞のパーティーで、果たしてこの異世界ゲームをくぐり抜ける事が出来るのか!?
ハイスペックな幼稚園児 まさや君を中心に繰り広げられる、新しいタイプの異世界ギャグストーリー作品です。


第1章 第1話 まさや君とマネーゲーム


私の名前は小松崎 より子。
ホルモン大好き24歳、保育士。
今宵も我がファンタスティック幼稚園では、何事もなく平和な時間が過ぎ去ろうとしている。
園児達は、午前中に目一杯お外で遊んでお昼ご飯を食べた後、いつも通りみんなでお昼寝をしていた。
私も今日ばかりは「頭のネジが飛んでしまったのか」と思うほど遊んだせいで、さすがに疲れていた。

三流芸能人が描いた絵本を読み聞かせながら園児達を寝かしつけた私は、みんなと一緒に横になっている内に、ついウトウトしてしまった。
これでは「保育士失格」と自覚しながらも、気付いた時には既に私は夢の中だった……

よだれが頬をつたい「いけない、いけない」と思いながら起きた私は、眠い目を擦りながら幽体離脱のようにゆっくりと体を起こした。
体の感覚は少しフワフワしていて、まだ頭がボーっとしている。
元々低血圧の私だったが『越乃寒梅(こしのかんばい)』を飲んだ時の二日酔いとはまた違った感覚から目が覚めると、辺りには見た事もない景色が広がっていた。

「……? ……こ……ここは一体……!?」

気付くとそこは草原の中……

「ど……どういう事!?」

突然、羊飼いにでもなった気分の私は一瞬ピクニックに……いや、パニックになりそうだった!!
ゆ……夢ではない!!

「さっきまでファンタスティック幼稚園でみんなと一緒に寝ていたのに、何で急にこんな所に!?」

状況とホルモンが飲み込めないまま、私は右往左往していた。

「そうだ! みんなは!?」

ここが何処だか分からなかったが、とりあえず今は「この場所に居るのが私だけなのか」を確かめたかった。
膝下まで伸びている緑の草は辺り一面に広がっていたが、見晴らしの良いこの位置からは遠くの方に町が見えて、少し離れた所には街道のような物も確認できた。
見た事もないこの風景から察すると、今居る位置から余り遠くに行くのは危険だと思い、私は起きた場所から自分の周辺だけを小走りで走りながら園児達を探し回った。

そして良く見ると私の足下には、まさや君とみどりちゃんとゆうき君が幼稚園の服を着たまま眠っていた。
園児達の寝相がお昼寝をする前の格好と全く一緒だった事もあり、その瞬間に「あのお昼寝の続きなんだ」という事がすぐに理解できた。
他の園児達や先生が居ない事も不思議だったが、とりあえず3人に異変がないか心配だった私は、体を揺すって子供達を起こした。

「まさや君!  みどりちゃん! ゆうき君! 3人共大丈夫!?」
「ボクは、マネーゲームは得意じゃないんですよ……ムニャムニャ」
「ま……まさや君!? (マ……マネーゲーム!?)」

園児とは思えないほどハイスペックな頭脳を持っているまさや君は、いつもながら園児とは思えない寝言を言っていた。
外傷もなく特に変わった様子はなかったので、私は少し安心した。
まさや君も、普段ならすでにおねしょをしていてもおかしくない時間帯だと思ったが、こちらの心配を他所よそに意外とスッキリした顔でゆっくりと起き上がった。

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「より子先生、ボク達を誘拐したんですか?」
「ち……違うわよ!! 人聞きの悪い事言わないでちょうだい!! さっきまでみんなと一緒にお昼寝をしてたでしょ!! 先生も良く分からないんだけど、みんなと一緒に寝ている内に、起きたら突然こんな場所に居たのよ!!」
「先生ともあろう人が、ボク達と一緒にお昼寝なんかしてるなんて……。そんなんで14万円のお給料を貰っていると思ったら、ボクなら恥ずかしくてまともにみんなの顔なんて見れないな……」

い……今、そこをつっこむの……!? っていうか、何で私のお給料額知ってるのよ!?

「ご……ごめんなさいね、まさや君。先生なのに…………」

何かムリヤリ謝らなきゃいけなくなってしまったけれど、確かに最近の私は少し怠慢だったのかも知れない…………反省します。
というか、こんな状況でも全く動じないまさや君のメンタルは、一体何処からくるのかしら……!?

「でも考え方によっては、午前中で体力を使い切ってしまうほど、ボク達と一緒に一所懸命遊んでくれたって事なんですかね」
「そ……そう言ってもらえると嬉しいわ」

急に物事をポジティブに変換出来る所も、大人過ぎて毎回関心させられる。

「先生としては、そんな体力しかないのもある意味問題だとは思いますけどね」

人を持ち上げた瞬間に突き落とすのも、まさや君の得意技だ。

「みどりちゃん、ゆうき君、より子先生が札束をくれるって言うから起きよう」
「さつたば……? ムニャムニャ」
「ボクはシュークリームが良いな……ムニャムニャ」

 まさや君に起こされたみどりちゃんとゆうき君は、まだ少し眠そうだった。

「みどりちゃん、ゆうき君、どうやらボク達は神様に制裁を加えられたようだよ」
「せいさいって何? みどり、わかんない」
「せいさいって言うのは、本当の奥さんの事だよ。浮気相手の第2夫人ではなく、本妻って事」
「ち……違うわよ、まさや君!! 正妻の字が違うわ!!」
「マー君、シュークリームは?」
「ゆうき君、今はそんな事を言っている場合じゃないんだ。ボク達はどうやら、とんでもない所に来てしまったらしい」
「とんでもない所……?」

眠い目を擦りながら、ようやくしっかり起きてきた様子のみどりちゃんとゆうき君は、辺りを見回して呆然としていた。

「より子先生、みどり達を誘拐したの?」

私は、どんなキャラなんだ……
誘拐が私の仕事じゃないんですけど……

「より子先生、身代金はシュークリームで要求してください」

何故か誘拐犯の設定で話が進んでいるが、今の私には悠長につっこんでいる余裕はなかった。

食いしん坊のゆうき君はいつも通りリアクションの薄い表情をしていたが、今置かれている状況よりも、お腹の空き具合が気になってしょうがない様子だった……
昼食を食べてからお昼寝したばかりなのに……

まさや君がいつも通りだからなのか分からないが、2人共思っていたよりは動じていないようだった。今はまだ現実を理解出来ていないだけなのかも知れないけど、2人は必死に羊を探している……

「より子先生。今、何時か分かりますか?」
「い……今は14時30分よ」
「お昼寝をしたのが13時30分頃だから、1時間くらい経った感じですね」

5歳の天才児まさや君は「あんたはコナンか!!」という感じで、突然この状況を推理し出した。
まさや君がウロウロしながら辺りを見回している姿を見て、みどりちゃんとゆうき君も真似をしながらまさや君の後に続いていた。
みんなで街道が見える所まで向かって行くと、そこには1本の立て札が立っている。

『⇦この先、マタタビオーデコロン』

マタタビオーデコロン!?

「より子先生、これ何て書いてあるの? みどり英語分かんない!」
「みどりちゃん。これは英語じゃないわ。カタカナでマタタビオーデコロンって書いてあるの」
「マタタビオーデコロンって、まさや君がみどりのお誕生日にくれた化粧水の名前だ!」
「みどりちゃん! オーデコロンって化粧品ではあるけど化粧水じゃないわよ!!  顔に塗る物じゃないわ!!  それに猫寄って来るし!!」
「オーデコロンって猫寄ってくるの?」
「オーデコロンじゃなくて、猫寄ってくるのマタタビね!」
「より子先生、大丈夫だよ。マタタビオーデコロンっていうのは、ボクが勝手に名前を付けた新商品の化粧水なんだ。より子先生が思っているような代物じゃないから安心して」
「そ……そうなのね。驚いたわ」
「それよりもより子先生。ボクはここに来て1つ気付いた事があるんだけど……」
「何かしら?」
「………………」
「何よ、まさや君?」
「…………果たしてこれを言って良いものか…………」
「何? 気付いた事があったら言ってちょうだい。これは、先生として知っておかなくちゃいけない事だから」

まさや君は、珍しく深刻な表情だった。
どんな時でも比較的笑顔で穏やかな彼が、いつにも増して真剣な顔をしている。

「より子先生…………驚かないで聞いて欲しいんだけど…………」
「うん。何? 何でも言ってちょうだい」
「……………………より子先生、少し太ったでしょ?」
「そこ~!? 今、それ言う~!?」
「みどりも、それ思ってた!! より子先生、絶対太ったよ!!」
「みどりちゃんまで!!」
「ボクもそう思う。だって今日もお昼ご飯、ホルモンいっぱい食べてたもん」

ごめんなさい、ゆうき君…………ホルモンばっかり食べてごめんなさい…………
確かにいっぱい食べたけど、大好きなの……みんなで私を責めないで…………

「より子先生とは言えども、曲がりなりにもレディーな訳だから、さすがにこんな事を言うのはマナー違反だと思ったんだけど…………より子先生が、どうしてもって聞きたいって言うから、敢えて言わせてもらいました。もし傷ついていたら、すみません…………」

素直に頭を下げて謝れる所が既に園児の域を超えているんだけど、正直まさや君は、謙虚なんだか謙虚じゃないんだか良く分からない……

「大丈夫よ、まさや君! 先生、全然気にしてないから!」
「太ったのに全然気にしてない!? より子先生!! それは女性としてどうかと思いますよ!!」
「いや!! そういう事じゃなくて!!」
「より子先生、心臓強~い!! みどり、もし太っちゃったら、全然気にしないでなんか生きていけないもん!!」

み……みどりちゃんまで…………
頼むから傷口にトウバンジャンを……いや、塩を塗るのは止めてちょうだい…………

「より子先生、今はそんな事はどうでも良いんだよ」

だったら言わないでよ、まさや君!!
ただ無意味に私が傷ついただけじゃない!!


「ボクが言いたいのはそういう事じゃない! もしかしたらこの世界は、ボクが1年前にクリアしたゲーム『異世界転生クエスト』の中なのかも知れないって事なんだ!!」
「ゲ……ゲームの中!?  しかも、まさや君が1年前にクリアしたゲームの!?」
「そう。実はパパが、ボクの為に作った幼児用天才育成RPGゲーム『異世界転生クエスト』通称ETQなんじゃないかと思うんだ」

パパが作った幼児用天才育成RPGゲーム??
何か略すとイッテQみたいな名前だけど…………
それに、まさや君のパパって一体何者!?

「実はマタタビオーデコロンっていう名前は、そのETQという異世界ゲームの中で、冒険者が最初に訪れる街の名前なんだ」
「げ……現実離れし過ぎてて頭がついていかないんだけど、まさや君的には私達4人はそのゲームの中に飛ばされてしまったって事なの!?」
「まぁ、そういう事です」
「みどり、良くわかんな〜い!」
「マー君、何して遊べば良いの?」
「よし! みどりちゃん、ゆうき君、あそこに見えるマタタビオーデコロンの街まで競争だ!」

まさや君が指を指した方向には、立て札に書かれている通りに、マタタビオーデコロンらしき小さな街が見えた。
もしここがまさや君の言う通りに異世界ゲームの中だとしたら、現実世界のみんなが心配しているんじゃないかと思って少し不安になったけれど、3人の無邪気な姿を見ていたらその不安も少しだけ和らいだ。

「じゃ、より子先生も一緒に行くよ!  位置について、よ〜い…………よ~い!!」
「まだ用意するの!? ずっと用意なんですけど!! これ以上用意する事ない…………あっ!!」

みどりちゃんとゆうき君は、私がつっこんでいる途中で一斉に走り出した。
その2人の後を追うように、私とまさや君は少し遅れ気味で並走していた。

「より子先生、あまり心配しないで大丈夫だと思うよ」
「どういう事、まさや君?」
「大体この手のモノは、ゲームをクリアすればこの世界から出られるっていうのが定石だからね。それに何よりも、ボクはこのゲームを1度クリアした経験がある。ゲームのように上手くはいかないかも知れないけど、クリアの仕方は知っているから、その点だけは安心して良いと思うよ」
「た……確かにそうかも知れないわね……」
「現実世界の事は今考えてもしょうがないし、大事なのは今ボク達がこの世界でいろいろな事を学び、無事に現実世界に帰る事だと思う」


さすがまさや君……
何か既に、勇者みたいな立派な発言をしている……
私は突然の事で窮地に立たされたと思っていたのに、この状況で発揮するまさや君のリーダーシップは、末恐ろし過ぎる……

でも、本当にまさや君の言う通りね。
私が今出来る事は、保育士として何とかみんなを無事に現実世界に帰す事!!
自信はないけれど、責任を持ってみんなを生還させるわ!!

「より子先生、ボクうんち出そう……」
「まさや君!  もうちょっと我慢して! マタタビオーデコロンまでもう少しだから!!」

私は、まさや君と一緒に心にある不安を抱き抱えながら、猛ダッシュで街まで向かった…………


第2話 まさや君のギリギリアウト!!

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