福島にUターンしてきた私がFoodCampにのめりこんだ理由

FoodCampがクラウドファンディングに挑戦するにあたり、FoodCampの魅力を語る記事をシリーズ化するはずだったのですが、他にもこんな記事こんな記事こんな記事を書いていたら終了間近になってしまったので、ぎゅぎゅっと1本にまとめます。

前回の投稿の通り、地元志向、アウトドア好きの私はFoodCampにハマる素地が十二分にありました。加えて、学生時代はアルバイトを通じて食の面白さ、接客サービスの楽しさを感じていました。
極めつけは自分の結婚式でして、Crazy Weddingに依頼して赤坂のCROSS TOKYOというお店で結婚式を挙げました。南相馬出身の今の奥さんと出会って結婚したので福島にこだわりたく、シェフに福島の食材を使ってくださいとお願いしたら、「私、福島に行きますよ」と。幸運なことに福島の農業をプロデュースしている友人がいた私は生産者の紹介を依頼し、シェフと一緒に福島の畑をまわりました。シェフは生産者の話を聞きながら、食材をかじりながらその場でメニューを発想していきました。そんな風に作られたメニューですから、結婚式当日に食べた料理が人生で一番美味しい食事でした。もっとも、この経験が仕事になるとは思いもよりませんでしたが(笑)


Uターンしてきて実感したのが、福島の美しさです。
私は32年間で様々な場所に行きました。大学進学のため京都に4年間住み、学生時代には四国遍路で四国を歩いて一周しました。ヒッチハイクもやりました。そのあと、東京に移り住んで、就職したベンチャー企業を辞めてからは原付バイクに乗り東京から東海道と山陽道経由で下関に行き、山陰道、中山道を通って東京に帰りました。大学院時代にはバングラデシュに、新婚旅行ではパリと南フランスに行きました。アジア各国、アメリカにも行きました。大学院修了後には大手メーカーで6年働いたので、東京には都合9年住みました。
もともと地元須賀川が好きでしたが、日本中、世界中をまわってから福島に戻ってきたからこそ、相対的に福島の良さを実感しました。手入れされた広大な田園、山の端に落ちる夕日、山あいに維持される集落。手付かずの自然もいいですが、私は人の丁寧な営みに美しさを感じるんだなぁと理解しました。営々とした日々の暮らしがあり、そこで受け継がれている伝統、技術がある。透けて見えるその背景に感動の毎日です。

それから、福島の人の強さとおもしろさ。
様々な経緯があって孫の手トラベルに就職し、初めての仕事が凍み豆腐を作っている椎根さん丸新の熊倉料理長のインタビューでした。2人の生い立ちから、おいしい食へのこだわりと熱意、ストイックさ、哲学を聞いて、そこで撃ち抜かれました。 福島の特に食産業はどうしても原発事故と切っても切り離せません。それでも、それを乗り越えて真摯に仕事をし続けている人がたっっっっくさんいます。
先日の台風19号も大変でした。川が氾濫して農作物が全部ダメになり、種芋だけが残った生産者は何と言ったと思いますか? 「おかげで土地が肥沃になった!来年はおいしい野菜ができるよ!」 カラ元気でも頭がおかしくなったわけでもなく、悲しみながらも周囲を落ち込ませまいと本心からスーパーポジティブに話すその人を見て、東日本大震災を乗り越えた人達は本当に強いなと思いました。その日は東京から励ましに来た人達が逆に励まされるという謎の現象が起きました。

そして何より食の豊かさ。
大学院時代は、朝食はカロリーメイトを食べながら本を読み、昼食は10分で牛丼をかきこみ、夕食は学食でパパっと食べるという生活をしていました。こんな暮らしは二度としたくないと当時から思っていました。福島に帰ってからは直売所で新鮮な食材が買えるし、農家さんに訪問すると「これ持ってけ」と持たされるし、とても贅沢な生活をしています。「顔の見える生産者」とはスーパーのコーナーに農家の写真が貼ってあることではなく、どんな人がどういう思いでどんなふうに作っているかを知っていることだと思います。そして、それを感謝して食べること。命をいただくこと。それが生きるということではないでしょうか。

FoodCampは青空の下で白いテーブルクロスを敷いてバリッとした雰囲気でやっているので、お金持ちのための食い道楽とか、単なるインスタ映えのサービスにもしかしたら見えるかもしれません。しかし、FoodCampの本質は生産者にスポットライトを当て、自分達の“食“を見直す社会運動なのです。福島の美しさ、人のおもしろさ、食の豊かさを“味わえる”ツアーと言い換えてもいいかもしれません。食べた瞬間に脳天がしびれるような衝撃を体験してみてください。

個人的な話になりますが、以上が私がUターンしてきて思ったことと、FoodCampの魅力です。

孫の手トラベルHP
https://magonotetravel.co.jp/

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