「台風でイベントを中止するということ……」
取って出しですが、今書くやつかなと思い書くね。
わたしは大型台風が接近したら、イベントも舞台も中止しろと思う者です。普段そんな話し方しないですが、「人の命の方が大事だろばかやろう」くらいに思ってる。災害対策関連以外は仕事も出勤もなしにしてと思う。
ところが自分が「イベントを中止する」当事者になると、悩むものだと驚いたのでnote。
六月から準備していた、地元での五十人規模の呑み会を、台風19号の接近に伴い本日中止にしました。発生から三日かな。
昨日朝まで都内で仕事をしていたというのもあるのだけど、帰路、巨大化する台風情報を見ながら悩み果てた。
このイベントは四年前に、「ただの呑み会」として福島県会津でわたしの読者さん46人に全国からきていただいて行ったものと同じ、復興呑み会のつもりでした。「来てね。三時間ご一緒します」という「ただの呑み会」で、一応「ファンの集いではありません」とはお伝えしています。復興寄付もなし。普通に居酒屋に会費を支払っていただくだけで、わたし自身もその会費を払って参加する呑み会です。目的は、「東北に来てね」というイベントです。わたし一人の手にはあまる課題が残り四年悩みましたが、地元の方々の手を借りて今年開催を決めました。
普通なら即中止です。決断できなかった理由は、その五十人近くの方々を想像してしまった。わたしと同世代前後。家庭があったり、仕事があったり、いろいろあったりするかもしれない。二泊三日、まず時間を空けてくれていた。交通、宿泊はそれぞれご自身でしてくださっている。突然この予定が飛んで、六月から楽しみにしていてくれたのに。
と、昨日は決断できず、都内から戻ってすぐ深夜に予定の居酒屋に行き、11日までキャンセル可能という状態にしてもらって、キャンセルを受け付けますとお知らせしました。
でも今日、キャンセルメールが一通しか来ていない。
「わたしが中止にしないと、なんとかして来ようと思ってくれてしまうかもしれない……」
速度が速くなったり遅くなったりする台風情報を見ながら、地元の酒販店さんに電話。
「巨大台風が……。わたしイベントを組む経験がほとんどないからあれこれあれこれ考えちゃって。Aさんならどうする?」
Aさんは今回、居酒屋の確保からかかわってくれて、当日無償で四つの蔵の若い跡継ぎたちを連れて顔を出してくれるという算段までしてくれていました。そのAさんは、昨日まで都内で日本酒のイベント。普段も日本中飛び回っていて、主催のイベントにも慣れています。
「俺なら即中止」
やはりそうか、と続く理由を聞きました。
「今回の台風はかなりやばいのもあるけど、なるべく多くの人に迷惑かけたり被害及ぼしたりする前に中止は決めるよ。人数確定を昨日待ってもらったなら、店がまだ食材と予定になかった日本酒の発注してないから店に迷惑かけないで済む。参加者のみなさんもきっと迷ってるから、寸前になって掛かる宿なんかのキャンセル料を最小限にできる」
一つ一つ、今決断しないと大きくなる被害というのを教えてくれた。
「今回の呑み会がなくなってみなさんが残念なことって、一番は菅野さん会えないことだよね」
「ただの呑み会といってるものの、やはりそこが結局はわたしも一番申し訳ない。四か月前に決めてるから」
「それは命があればまた叶うことだから、危険を冒してやることじゃないよ」
その通りだ。ありがとうAさん。
こうして頼りになる酒販店さんもいてくれるので、一人では続けられないと思っていましたが、季節のいいときにまたできたらと思いもしました。
でも、しゅんとして、Aさんのところで買った日本酒でチーズ。
しゅんとしての一つは、
「巨大台風が来たらお客様の安全のためにイベントも舞台もコンサートも中止しないと、がんばって来てしまうから中止」
と思っていたわたし自身が、一日大いに迷ったこと。当事者になると即断できない自分にしゅんとした。
もう一つは、わたしも楽しみにしていたのでしゅんとしております。
引っ越さないとと思ってたんだけど。引っ越さなきゃいけない理由があってね。でも引っ越そうと思ったらここが好きだなあと、理由の方をなんとかするかと引っ越しはペンディング。
なのでまた、Aさんなどに相談しつつ、春にでもできたらと思っています。
四年前はまだまだ復興で、
「とにかく来て!」
で、やった呑み会でした。
でも年が明けて三月十一日がきたら、十年目になります。もちろんまだまだの部分もあるけれど、少し前から「被災地」と言われている地域でのイベントや飲食の在り方が変わって来てる。
もうAさんたちはそちらに向かって走っているので、手を借りながら、落ちついた形でまた考えます。
大型台風がきたらなんでも中止なのは、わたしはやはり変わらずです。
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