連帯保証からは逃げられない……。でもこんな手があります。 その5

「次の一手はどうする?」

彼の住んでいる街に出向いての民事調停。その簡易裁判所の調停室に、息子は現れませんでした。
民事調停の場合、出席する義務はありません。とはいえ、やはり残念です。法テラスの弁護士さんと話した「どうにかして息子さんを話し合いの場に連れてきたいですね」という作戦は、功を奏しませんでした。

僕を前に息子を待ち続ける、簡易裁判所の三人の調停員さんも、どこか困った顔をしています。話すともなく、今回の件をいろいろと話す流れになったのですが、皆さん理解のある様子でホッとしました。実の息子を裁判所に呼び立てるなんて、といった態度の人は、一人もいませんでした。

「要するにお父さん、こういうことなんでしょ?お金云々じゃなくて、息子さんにちゃんと自分で払ってもらいたいって伝えたいんだよね?」
少し年配の男性調停員の方からそう理解を示してもらったとき、救われた思いがしました。ああ、心中を察してくれる人がいた。辛くて心が折れそうな戦いだけど、本意を理解してもらって良かった……。

結局、その日彼は来ず、当日の調停は不成立となりました。
こういう場合どうなるのかというと、後日もう一度日時を指定して再度調停を開くのだそうです。当然僕ももう一度福岡に来なければなりませんが、また来るのはたいへんでしょうと、電話での調停出席扱いにしてくれました(あまり例はないそうです)。

部屋を出るとき、一人の調停員さんが励ましの言葉をかけてくれました。
「これで息子さんにはプレッシャーが掛かったと思いますよ。もう建て替えることがないといいですね」

その約一ヶ月後、再び簡易裁判所から電話がありました。その日は再度調停の日。僕は本来、福岡簡易裁判所の調停室にいなければならないのですが、遠方ということで東京の自宅の部屋で待機していたのです。

「やはり息子さんは来ません。これで調停は正式に不成立となります」

その言葉は意外ではありませんでした。そうなるだろうと、予想していたからです。
ちなみにこういった場合、申立書の内容について精査されたことは無効になるそうです。ただ、この件は成立しませんでした、という記録が残るだけだそうです。

息子には会えなかったし、建て替えたお金も回収できなかったけど、こうしてアクションを起こすことはできた。こちらの本気度を示せたばろう。旅費と調停費用(切手数千円分)は掛かったけど、これでもう彼も改心して、こちらに迷惑をかけることはないだろう…そう思っていました。

ところが。


続きをみるには

残り 204字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

ありがとうございます。サポートは事業運営のために使わせていただいます。